敗北からの復活は定番だよね!
ディザスターの城に向かってまず驚いたのが、城の最上部の形が変わっていることだった。
「なにあれ……。闘技場みたいな?」
闘技場というか……。広い舞台? 屋上が変形していて、そんな形になってる。
そんな場所にいるのが、ティアフレイムたちとディザスター一味。ちょうど相対したところだったらしい。
遠くにはなんかドローンも見えるね。多分この場所の様子を撮ってるんだと思うけど……。勇者くんはそれに対して何かするつもりはないらしい。
明菜ちゃんたちはそもそも気付いてすらいない。差を感じるね。大丈夫かなこれ。
「待っていたぞ、ティアフレイム。ティアアクア」
勇者くんが口を開いた。明菜ちゃんが勇者くんを睨みながら言う。
「急にこんなことをして……。どういうつもり!?」
「言っただろう。準備ができたと」
「準備!? ティアストーンを集められてないのに!」
うん。それはその通りだけど、勇者くんの側にいるリッパーとメルトが頬を引きつらせてる。見事な流れ弾だ。事実だけに言い返せないやつでもあるね!
勇者くんは明菜ちゃんに対して鼻で笑って、続ける。
「やはり気付いていなかったのだな。我らが欲していたのは魔力だ。それさえあれば、ティアストーンなどなくても構わない」
「その魔力のためにティアストーンが……」
「いいや? 魔力はいつも多くあった。お前たちがまき散らしてくれたものがな」
「え……」
「まさか……!」
静香ちゃんの方が先に気付いたらしい。勇者くんはとっても悪そうな笑みを浮かべた。
「ああ、そうだ。お前たちが戦うたびに、お前たちがまき散らしていた魔力を回収していた。お前たちは正式な修行をしていないからだろう。思っていたよりも多く集まってくれたものだ。ティアストーンなど途中からどうでもよくなるほどに、な」
「そんな……!」
「どんな気分だ? 自分たちの行動が完全に無駄だったことを知って。なあ、ティアフレイム?」
これは、悪の組織の首領だ! とても、いい! とてもいいよ勇者くん!
明菜ちゃんはぎゅっと剣を握って、そしてその切っ先をディザスターに向けた。
「でも! ここであなたを倒せば! 関係ない!」
「うん……。すべての悪巧みは、ここで、終わり!」
ティアアクアも槍を構える。最初から全力、だね。
ディザスターはにやりと笑って、言った。
「いいだろう。相手をしてやろう。ティアフレイム。ティアアクア。安心しろ。戦うのは俺一人だ。俺一人倒せば、ここは引いてやろう」
「バカにして……!」
「後悔しても、知らないから!」
そして、二人がディザスターに挑みかかった。
結果なんて、語るほどのものじゃない。
「あぐ……ぅ……」
「こんな……ことって……」
明菜ちゃんと静香ちゃんの二人は、満身創痍で倒れていた。完膚なきまでの敗北、だね。
まあそうなるよね。勇者くんは私の世界で魔王を倒した経験を持つ本物の英雄だ。つい最近魔法の力を得たばかりの二人が、そう簡単に勝てる相手じゃない。
キャスティアに勝てるようになっただけでも奇跡みたいなものだ。一対一なら勝てないだろうし。
でも……。こんなところで終わるわけじゃないよね。
「きゅ! 二人とも、がんばるっきゅ! みんなが応援してるっきゅよ!」
キュルが倒れた二人に呼びかける。すると光の粒子が二人を包み込み始めた。
「ほう?」
それでも勇者くんは余裕そうだね。完全に油断しきっている。
この光は……陳腐なことを言えば、みんなの勇気。そんなところ、かな?
この戦いはみんなに見られてる。遠くにヘリコプターが飛んでいて、この戦いをずっと撮っていたんだ。
この戦いを見ていたみんなが二人を応援してる。負けないでほしい、勝ってほしい、そんな願いの力が魔力へと変じて、二人へと吸い込まれていく。これがキュルの力なのかもしれないね。
「力が……わいてくる……!」
「まだ、戦える!」
そうして二人が立ち上がった。
うーん……。これだよこれ! こういうのだよ! ラスボスとの戦い! 力尽きるニチアサヒロイン! でもみんなから力をもらって立ち上がって、悪を打ち倒す! まさにニチアサ! これぞニチアサ! いいねえいいねえ! こうでないとね!
さすがにこの二人のパワーアップは彼らも予想外だったのか、リッパーとメルトが慌て始めた。
「ディザスター様!」
「加勢を……!」
「必要ない」
けれど勇者くんは、軽く手を振って拒否してしまった。明菜ちゃんたちの強化された魔力を感じているだろうに、それでも余裕を崩さない。
「先に宣言した通りだ。俺が負けたのなら撤退しろ」
「で、ですが……!」
「くどい! それに……」
にやり、と。ディザスターが笑った。
「俺に負けはない!」
うん。どっちが主人公だよと言いたくなるね!
明菜ちゃんたちと勇者くんが睨み合い、そして、また戦いが始まる。
壁|w・)みんなの想いを一つにして! 最終決戦だ!
魔女さん「キャッキャッ(喜)」




