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異世界帰りな最強魔女の気まぐれ観光 ~帰ってきた日本はニチアサヒロインが戦う世界でした~  作者: 龍翠
第三話 劇場版にもお邪魔する魔女さん

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「あいつ」がいるなら「こいつ」もいるよね!

「よっし、次はサウナだ!」

「はい!」

「わたしは……遠慮しておく……」


 静香ちゃんはあまりサウナが好きではないらしい。仕方ないので明菜ちゃんと二人でサウナに入る。じっくり入って、そして水風呂、休憩……。


「サウナ……いいよね……」

「とてもいいです……」


 この不思議な感覚がとても好きです。

 サウナで満足した明菜ちゃんと、のぼせそうになってる静香ちゃんが去っていくのを見送って、私は露天風呂に向かった。

 外の空気はほんのりひんやりとしていて、温まった体に気持ちいい。露天風呂に入って空を見上げれば、いつの間にか赤く染まり始めた空が視界に広がった。

 夕焼け。どこの世界でも、綺麗だと思う。本当に。


 そうしてのんびり眺めていたら、誰かが露天風呂に入ってきた。他にお客様がいるのは当然だから、誰かが入ってくるのは別に気にしないんだけど……。今入ってきた人だけは別だ。

 露天風呂に入ってきたのは、タオルで体を包んだ銀髪の美人さん。髪色についてはこの世界ではわりと珍しくなかったりするけど、でもこの世界の人とは決定的に違うものがある。

 魔力。とても強い魔力を持っている人だった。


「失礼しま……」


 そしてその女性は、私を見て大きく目を見開いた。


「おん。そんなにびっくりしてどうしたのかな?」

「あ、いえ……。申し訳ありません。綺麗な人だったので、驚いてしまっただけです」

「あっはっは。君が言うとわりと嫌味に聞こえると思うよ」

「そうでしょうか?」

「そうでしょうとも」


 んふふ。もしかしなくても、私が気づいてないと思ってるんだろうね。あの時、私がディザスターに会いに行った時には、直接顔は合わせていなかったから。

 けれど、私は知ってるよ。


「ディザスターは元気?」

「……っ!」


 女性が息を呑み、その手に杖を呼び出して構えて……。


「くぁぁ……」


 私のあくびを見て、一瞬だけ困惑した表情をしてから杖をしまった。


「今日はオフ、ということでしょうか?」

「おん? オフも何も、私は君たちと敵対しているつもりはないよ?」

「よく言いますね……。ティアフレイムたちに修行をつけているでしょう」

「仕事を紹介してもらったからね。その対価ってやつですよ」

「対価、ですか」

「私自身は手を出してないでしょ? そういうことだよ」


 確かにあの子たちの実力はかなり底上げされたと思う。今なら幹部と戦っても、ある程度はまともにやりあえるんじゃないかな。

 けれど、そこまでだ。私が直接戦うことはない。私に剣を向けない限りは、ね。


「そう、ですか……。今はそれで納得しておきましょう」

「あっはっは。そうしてほしいね」


 納得されなくてもいいんだけどね。襲われたらそれこそ開き直って片っ端からぶちのめすだけだし。

 今も私はのんびりと赤い空を眺めているんだけど、女性は私の顔をじっと見てる。私の顔に何かついてるのかな。照れちゃうよ。なんて。

 まあ、理由は分かってるけど。


「あなたは……」

「おん?」

「あなたの世界では……その……どう、でしたか?」

「すさまじく抽象的な質問だね」


 どうって何がどうなのか。何を聞きたいのかそれだけだと分からないよ。

 でも……。ふむ。


「最初は本当にクソだなと思ったけど……。今となっては、まあまあ楽しめてるよ」

「そう、ですか……」


 女性は少し考えるような素振りを見せていたけど、やがて何も言わずに首を振った。そのまま立ち上がって、出口へと向かう。


「もういいの?」

「はい。ああ、ですが、そうですね……。では、これだけ」


 女性はそう言うと、私へと振り返った。


「ありがとうございます。救われた気分です」

「おん?」

「いえ……。お気になさらずに」


 救われた、ね……。この人がそう思えたのなら、出会えて良かったのかもしれないね。


「それでは、またお会いしましょう。シオン様」

「はいはい。またね、名無しの女性さん」

「…………」


 ぴたり、と女性が動きを止めて。


「キャスティア、といいます」

「あっはっは。キャスティアさんね。りょーかい」


 名無しの女性改めキャスティアさんは、小さくため息をついて今度こそ立ち去っていった。

 さて。さてさて。


「やっぱりあの人だったかあ……」


 元勇者くんがいるんだから可能性はあると思っていたけど……。でも、まさか本当にいるとは思わなかったかな。どんな確率だよと言いたい。

 あの人、私の世界の聖女さんだ。勇者くんと結ばれた、と風の噂で聞いたことがあったし、勇者くん含めてちゃんと生きて亡くなったはず。二人そろってこっちの世界に転生してるなんてね。

 本当に……。不思議なこともあるものだよ。

 それにしても。それにしても、だ。


「なあんであいつらまでこっちにいるんですかねえ」


 どうやらディザスター一味がこの旅館に泊まってるみたいなんだよね。なんでだよと言いたい。誤解されないように言うと、あいつらに関しては本当に何もしてないから。

 これは、あれか? ニチアサ的なお約束ってやつですか!? 旅行先で敵組織と巡り合って、そこでも戦う! 劇場版みたい! いい! とてもいいよ!


「んふふ。楽しみだなあ」


 何かあるとすれば……夜、かな? とても! 楽しみ!


壁|w・)聖女さんもいるよ!


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― 新着の感想 ―
> どうやらディザスター一味がこの旅館に泊まってるみたいなんだよね。なんでだよと言いたい。誤解されないように言うと、あいつらに関しては本当に何もしてないから。 > これは、あれか? ニチアサ的なお約束…
勇者君と同等以上なんやなぁと思ってたら、勇者君が亡くなってからも修業続けてた訳か。 そもそも例の世界上澄み部分がめちゃくちゃやばそうだからそれ以前の問題かもしれないけど。
「向こう」ではちゃんと亡くなった…王国がクソとかはなかった? したらば何がどうなってニチアサ悪の組織に? そして今回は…敵さんも慰安旅行? 意外とホワイト?
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