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48話 んー美味しい!

「お、オランタ様、いらっしゃいました」


 ナルシュ君の怯えが尋常じゃない。

 尻尾がお尻を覆い隠すように縮こまってて、でも猫型獣人の尻尾って小さいから庇えないんだよね。


 ナルシュ君の働いてる洋服屋さんに、オランタさんリリファさんの3人で来たけど、やっぱ違う店に誘うべきだったかなあ。


「あらあら随分と可愛らしい店員さんね。お姉さん愛しちゃう!」


 ぎゅーっとハグ! ナルシュ君ってば総毛立ってる。うん、慣れてないもんね。多分ナルシュ君の性別はストレートだろうし。


「今日はダンディーな店長さんはいらっしゃらないの?」

「あ、いや店長は奥で作業してて」

「おや、こないだのお客様かい。いらっしゃいませ」


 あっ店長さんだ。すかさずナルシュ君は接客を店長さんに押し付ける。


「そういえば凄かったよな。エンシェントドラゴンの演説」


 ナルシュ君はそそくさと離れて話題反らしに必死だ。


「ちげーよアリス! ホント違うからな本当に。つーかアリス達が連れてきたんだろ、アイツ。奴隷商で見掛けたときはそんな迫力あるように感じなかった、やっぱドラゴンってスゲーんだな」


 ングスさんってステータスALL700超えだもんね。あんな強いのになんで人間ごときに捕まったのか不明だけど。


 ングスさんの討伐依頼を国王じきじきに発表なさったけど、それは建前で。

 

 真の目的は奴隷制度を当然と考えているアスタルト国民に対して意識改革を促したいのだそう。それが本音かは疑わしいけどね。


 リリファさんの予測では、国王を始めとする王宮派閥の貴族が更なる領土拡大を狙ってて、その為にエンシェントドラゴンを後ろ楯にしたいって考えているのだとか。


 うーん微妙。だってングスさんがアスタルトに味方する理由がないし。

 まあ演説サプライズは効果絶大だったみたいだけど。これって外交面でも役立てるのかな。


 オランタさんは女性用のカーディガンに魅入っているみたい。

 今回は多めに給料が支払われるから、たくさんショッピングを楽しむのだそう。


 にしてもさすが店長さん、オランタさんみたいな客にも丁寧に対応している。やっぱり年季が違うなあ。


 ちなみに依頼者はカニエとかって貴族らしい。

 確か私を誘拐しようとして、そのあとお兄様に殺されたって聞いてたけど。

 まあ貴族を死なせちゃうのは流石にヤバいし仕方ない。しょーがない水に流しちゃう。


 にしてもングスさん。しれっと人化してたのには驚いた。

 ずいぶんと威丈夫な方に化けてらしたけどモデルとかあるのかな?


 演説のクライマックスで変身を解いて、雄大なドラゴンの姿で周囲を睥睨するシーンは読めてても『おおっ』となってしまった。


 ちなみに演説内容は、予想に反してテンプレートな内容だった。具体的には、奴隷制度廃止とか、動物愛護とか、戦争反対とか。


 観衆は圧倒されてたけど、アスタルト的には面白くない内容だったんじゃないかな。はてさてどう転がるか。今後の流れは注視しないと。






「んー美味しい! お肉の汁が口でジュワっと広がっちゃう。アリスちゃんオススメなだけはあるわね」


 ナルシュ君の洋服屋さんでショッピングを楽しんだ後、私達は公園のベンチで串焼きのお肉を齧ってる。


 屋台の強面おじさんとはすっかり常連になっちゃって、今日も一切れサービスしてくれた。

 一緒に注文した薬湯が脂っこさを中和していい感じだ。


「獣人の嬢ちゃんの食べっぷり見てるとおっちゃんも清々しいよ、よっしゃもう一本サービスしたる」

「有難うおじさん、私もおかわりするわ」

「毎度あり!」


 リリファさん達もサラダ焼きを注文してる。美味しいもんね。

 にしてもリリファさん、今日はいつもの奴隷の女王様っぷりが鳴りを潜めてるな。


 もしかしてリリファさんって、オランタさんのことを……?


「次はアリスや私の御用達のアダルトショップに行きましょう」


 そうでもなかった、普段のリリファさんだ。てか私はいつからHなお店の常連扱いになったんだろ?




「失礼お嬢さん達」


 のんびりベンチで和んでたら巡視の兵士さんに声を掛けられてしまった。


「アリス君、済まないが詰所まで同行してもらって構わないかな」

「アリスに何用です」


 リリファさんは私を庇ってくれるように、少々キツい目付きで兵士を睨んでる。


「いやいや、彼女が問題を起こした訳ではないんだ。寧ろ彼女は被害者と言うべきか。じつはアリス君の兄を名乗る男が、君達をストーカーしているという通報があってね」


 ストーカー? なんだか嫌な予感が。


「先ほど、下半身を露出させている青年を捕縛したんだが確認をしてもらっていいかい?」


 え゛。何してるのお兄様。






「ラズ、何か俺に言うべきことがあるだろう、言え」

「アリスとにゃんにゃんしたい」


 こ、このアホ……!


「巡視兵さん、ラズを3日ほど拘束してやってくれませんか? 頭を冷やさせるんで」

「勘弁してくれ、こっちはエンシェントドラゴンの演説のせいで当分は騒乱が続きそうなんだ」

「あぁアリス、アリス……」


 奴隷身分のリリファ達では身元引き請け人になれない。なんで仕方なく俺に連絡してきたんだろうけど、あー情けない。

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