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鳥居をくぐったら、森の主になりました  作者: 千羽鶴
第三章 人間国編
55/114

55 ゴッサム

地下水路のゴブリン大量発生は騎士団の怠慢(たいまん)が原因だった。

スラムの者達が犠牲になったが街の方は無事だ

けれど、街の者を守る立場の人間のせいで犠牲者が出てしまったのが事実である

その事実に民が黙っているわけもなく、アイリーン達がいち早くマリク達を拘束した。というか、女性達が勇ましくしばきあげていた。


「で、ゴムパン以下男達をどうするんですか、リンクさん」


「騎士団を解雇だな、あいつらには魔物討伐に向かわせる」


「魔物討伐ですか」


「金がないなら作ればいい、この国の周りにいる魔物は旨いんだろ?

散々暇してたんだ、行かせてばんばん働かせる事にした。

殆ど外での生活だ」


魔物達を加工して売りに出す事にしたらしい、確かに売れるだろう。


「カカオ豆だっけか? あれも栽培するつもりだ」


「……どちらも桜国に売り付ける気ですよね」


五十鈴の言葉に、ニィッと笑うリンク


「買うだろ?」


「買いますね」


即答である、迷いなどない。


鰻にカカオ豆、いい食材なのが悪い。

桜国では多分カカオ豆は育たないだろうと予想できる。人間国の近くから取れた物だから、この国では栽培可能だろう。


「アイリーン達は五十鈴の国に行くんだってな。書類と印章をお願いされたよ」


「女性騎士団が出来上がったみたいですから」


ベルサイユってる感じに、薔薇が似合う女性騎士団だ。

強さも申し分ない、ゴブリン退治でも力を発揮していた。


「この国の騎士団より頼もしくなってないか?」


「なってますね」


女性騎士団は全員大根を握り潰せるレベルだ。

しかもアリスまで笑顔で潰せる、その姿を父親に見せてから縁を切って女性騎士団に志願したらしい。


「そうだリンクさん、ゴムパンを膨らませるために使われてた野菜なんですけど」


「ああ、ゴッサムか?」


「そう、このゴッサム凄いですよ」


「何がすごいんだ」


このゴッサム、見た目がセロリみたいな野菜。

パンに混ぜると膨らまし粉がわりに使えるらしく混ぜていたのだが。

鑑定してみると面白い結果が出たのだ


「これ魔物避けになりますよ」


「は?」


「そういう効果があるんですよ、このゴッサム。」


なんでスラム街だけにゴブリン達が繁殖草を紛れ込ませてたのか不思議だった。

この国は地下水路が張り巡らされ、色んな場所から出る事ができるのに、だ。


「スラム街以外の水路の入り口はゴッサムが生えてるんですよ」


このゴッサムは何処にでも生える野菜、ど根性野菜だ。

最初に国に来たときに気になっていた草で、国の至るところに生えている。

鑑定してみたら面白い結果が出た、それが魔物避けだ


「唯一生えてない場所がスラム街なんです。だからこのゴッサムを液状化させ商品として販売したら売れますよ」


むしろ地下水路にゴッサムを沈めれば魔物は入ってこないだろう、水に浸けただけじゃ味はでないので水が不味くなることもない。

立派なアイテムになれる野菜だ


「知らなかった……」


「ゴッサムがなかったらこの国潰れてたかもしれません」


ゴムパンは不味いが原材料は優しさで溢れているのだから驚きだ。

体内に入れても効果がないのが残念なところではあるが


「これでお金問題も解決ですね」


女性問題も解決したことだし。人間国の問題は全て解決した。


「なぁ五十鈴。

この国は強いものも使えるものも殆どない。

獣人国みたいに様々な国との繋がりはないし、ドワーフ国みたいな技術もない。

唯一自慢できるのは騎士団があることだ」


リンクは唇を噛みながらそう言う。


「でも民を守れる力がほしい。五十鈴の力はゴブリン退治でわかった。

同盟なんておこがましいことは言わねぇ。

せめて、この国を桜国の傘下(さんか)にしてくれないか?」


「傘下ですか?」


「ああ、何かあれば騎士団ぐらいなら派遣できる。人は多い国だからな、それぐらいしかできねぇけど……。

何かあっても俺だけじゃ国も民も守れない、だから傘下にしてくれ。頼む」


民を守りたい一心でリンクは床に膝をつき頭を床に擦り付ける

五十鈴はそんなリンクの前にしゃがむ


「国は宝で民は家族、国との繋がりは未来に繋ぐためのもの」


五十鈴の言葉にゆっくりと顔をあげるリンク


「私は種族と種族、国と国が交友できる国を作りたいんです。

だからリンクさんの国とも交友出来ることを嬉しく思います。

傘下なんて寂しいこと言わないでください、国をよくしたいって気持ちは同じですから


同盟組みましょう」


よろしくお願いしますっと手を差し出した五十鈴。


その手をリンクはしっかりと掴み、桜国との同盟が成立したのだ。


「まぁ、クウとマトンみたいに他種族に何かしたら本気で怒りますけどね」


そう言って握ったリンクの手にギリギリと力を加える五十鈴に冷や汗が止まらないリンクだった。



ーーーーーー



ゴブリン退治が終わり、人間国とも無事に同盟を組んだ。

だが桜国に帰る前にやることがある、それは



「「神の食事が食べたいのなら! 解体を手伝え!」」


「「「神のお導きのままに!!」」」


だから、どこの宗教ですか


今からやるのは巨大なバジリスクの解体作業である。

下ろしても身を切り分けなければ食べれないので、街の者達に手伝ってもらうことにした。


広場でやるから祭りみたいな雰囲気になったので、住民皆で手伝い最終的に食べさせることになった。

ゴムパン舌など捨てさせるチャンスだ


「やりますわよ! 女性騎士団の米研ぎですわ!」


「「「はい! アイリーン隊長」」」


全員が大きなボウルみたいな物に米を入れてシャカシャカ

と研ぎ始める


逆にウィル達の騎士団は


「焦がさないようにするんだ! タレが不味くなるのはいけない!」


「「「はい団長!」」」


うなぎのタレ担当である。いや、うなぎじゃないからバジタレか?


「五十鈴、焼けてきた」


「まだまだありますから、じゃんじゃん焼きましょう。それとソラ、近寄りすぎると体が蒸発する可能性があるから気を付けてください」


「○」


三人でバジリスクを焼きまくる。ソラは気合いが入っていて、ねじり鉢巻を巻いて焼いている。


焼き終わったやつにタレをつけ米に乗せる、流れ作業でバンバン作っていく。


今日は土曜の丑の日ではない!

エルフ国よりは食べないだろうが、人が多いのが問題だ。

あと


ドスッ


「ぐふっ」


「リンクさん、つまみ食いしてないで手伝ってください。

髪の毛むしりとりますよ」


バジリスクを焼きながらリンクの腹に拳を一発叩き込む。

パルドさん、つまみ食いする悪い子を閉まってください、切実に


『しまっちゃおうねぇ』


「うおわぁ、なんかゾワッてした!?」


両腕を擦るリンク、後に彼は一瞬ピンクの動物が見えた気がしたと語る。


大量のバジ(じゅう)を作り終え、いざ食べ出すと人間国の住人は涙の海を作った


「うめぇっ」


「くっ、俺達が今まで食べたものはなんだったんだ」


「「「だから、ゴムパン」」」


五十鈴の料理を食べたことある面々の言葉に呆然とバジ重を見詰め、地に膝をついた


「「「ゴムがゴムしたパンを食べていたと言うのかっ!」」」


やっとあのパンの不味さに気付いたらしい。

バジ重のおかげで人間国の悲惨な食事事情を認知したようだ



人間国の食事の改善もクリアでいいだろう、多分。


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