56 ゴリマッチョ
人間国の入り口で五十鈴は銀月に抱き付かれていた
「主様! 」
大型犬にしか見えない。
獣人国もドワーフ国も一緒だったからか、今回一緒じゃなかったことが寂しかったらしい
狼族達の登場で人間国の者が騒ぐかと思ったが、一切そんなことはなく
五十鈴の料理にシャンプーリンス、男よりも強く凛凛しい。
食の神、女性の神、主の鏡等と呼ばれ信者ができた。
やっぱり人間国怖い
「頭、嬉しいのはわかりましたから離れてください。」
琥珀が五十鈴から銀月を剥がそうとしている。
「今回も家族が沢山増えますよ」
「女性も多くいるようですし、桜国の女性陣が喜びますね」
アイリーン率いる女性騎士団にはアリスもいる。
それと弟子集団も何人か来ることになった、一気に国に人が増える。
嬉しいが連れて帰るのが大変だ
「五十鈴がこの国から居なくなると不安が強いんだが」
そう言うのはジュザント
「副官なんですからしっかりしてください」
「こんな主だろ? 不安しかねぇ」
確かに不安だ、出会い頭に腹筋してたのだから。騎士団長も裸だったし
そう思いながらジュザントの肩に手を置く
「負けるなジュザント、頑張れジュザント、私は何もできません」
出来るのは応援だけである。ジュザントはガックリと肩を落としている
「二人して酷くないか?」
「「全く酷くありません」」
ピシャリと言い切る二人にリンクは涙目だ。
「五十鈴ありがとな、来てくれて。」
ニッと笑いながらそう言い手を差し出すリンク。なんだかんだと国を思う気持ちは強い。
しっかりとその手を握り返してから桜国に出発した五十鈴
ーーーーーーー
「結婚してくださいませ」
黒い体毛に包まれた人物に抱き付くのはアイリーン。
桜国に帰ってから数分の出来事である
「嬢ちゃんが連れて来た嬢ちゃんに告白されたんだか、どうすりゃいい?」
困り顔でそう言うのはガッツ。
確かにアイリーンのタイプはゴリマッチョ、条件的には完璧だ
「結婚したらいいんじゃないですか?」
「おい、なげやりだな」
なげやりにもなる、アイリーンはガッツに抱きついて離れない。
ハートが顔に当たって地味に痛い、お幸せに
「主おかえりなさいませ」
「ただいまです黒桜」
「人間国で不審者には会いませんでしたか?」
……裸で葉っぱ一枚の騎士団長に会ったとは言えない。
「そうですか、裸で葉っぱ一枚の男が出てきたんですね。任せてください、すぐにでも始末してきますから」
「心の声を読まなくていいですから、むしろなんで読めるんですか!」
「私の主だからです」
ごめん、自信満々に言うけれど理由になってません。
「とりあえず、始末しなくていいですから。」
五十鈴の言葉に残念そうな顔をしたが、始末されたら困る。
「「主様! おかえりなさいませ」」
「ただいまです、火花に雪音。アリスともう仲良くなったんですか」
二人は真ん中にアリスを挟んでいる。
「私達が見れなかった主様の様子を教えてくださるから」
「盛り上がって仲良くなりました」
「火花さんも雪音さんも優しくて素敵な方で、桜国は華やかですね。さすが五十鈴様のお国です。」
ふふっと笑うアリス、初めて会ったときと違い自信にあふれた表情だ。
そんなことを思いながら周りを見る、確かに華やかになった。
鬼神、狼族、獣人、ドワーフ、エルフ、人、皆笑顔で会話してる。
繋がりがちゃんと出来てきている
「まだまだ華やかになりますよ」
そう言って笑顔を浮かべた五十鈴。
五十鈴は桜国に戻ってから数日、コンと一緒に騎士団のための予算やら新しい仲間達の家など意見を出しあっていた
「桜国は義肢とハイポーションを薄めた、ウーハイの売れ行きがすごいんや。稼ぎに問題はないで」
「そんなに売れたんですか?」
「ほれ」
見せられた紙に書いてあったゼロの数に驚愕である
「こんなにですかっ!?」
「そやで?」
シャンプーとリンスを売り出したらもっとヤバイことになるんじゃないだろうか……国とか作れそうな稼ぎだ
「観光に来る人の量は?」
「獣人国とドワーフ国が多くて、エルフも来てるからまぁまぁやね」
後々人間国の者達も来ると思う。
今あるのは、温泉に呉服屋、茶屋に宿屋、他にも色々と。
最初主殿を旅館にしたらどうだろうかっと提案したら全力で止められたので、温泉は外からも出入りできるようになった。
やることはまだまだある。
まだ行ったことのない国も沢山あるし、魔神についても全然わからない……。
「でも、まぁ。やっと一息つけますね」
テーブルにでろっと溶ける五十鈴。
獣人国、ドワーフ国、エルフ国、そして今回の人間国。
全部が全部、問題があって大変だった。
「まさか他国でゴブリン退治をさせられるとは思いませんでした。
新しい技を編み出せたのは良かったですけどね」
疲れた様子の五十鈴を見て、コンはポンポンっと五十鈴の頭を撫でる
「五十鈴はんが他国でも認められててわいらは嬉しいんや。
わいらの主はんは世界一やね」
「コンの優しさが身に沁みますよ」
騎士団も出来たし、順調に繋がりもできている。
だが一つ問題があるとすれば
「冷蔵庫が欲しい……」
切実に欲しい!
食べ物が腐るっ、確かに氷石という道具があるけれど。
この氷石、一週間しか冷たくない石なのだ。
「ずっと冷やしてくれる物ってないですかね」
「それやったら、氷宝国に行ったらどうや?」
「氷宝国?」
五十鈴が首をかしげるとコンが丁寧に説明をしてくれる。
「氷魔法を使う国やで」
魔法ですか……ん、待てよ
「そういえばエルフも魔法が使えますよね? じゃあ魔法国ってなんなんですか?」
「魔法国は魔女とか魔法使いの育成や魔法道具の開発をしてる国や。
他の国にも火魔法や水魔法を使えるやつはおる。
獣人は魔法は使わんが一族によって力が強かったり足が早かったりするんよ。
ドワーフは技術と手先が器用なのが特徴やね。
鬼神の鬼火は鬼神しか使えんものやし、狼族は耳と嗅覚がすごくええし、足も早い。
鍛えたら色々と出来るやろね」
一気に異世界感が出てきた。
「食べ物の腐りを回避するには氷宝国に一度行ってみたほうが良さそうですね」
氷魔法とやらも気になりますし。
「よし、次に行く国は氷宝国に決定です!」




