暴れたい、ルビー。
『(我らがイレイドの谷を目指すのを見て、シャラトを封じ込め、守りのドラゴンを我らに倒させようといった所か……教会の奴め)』
やっぱりトリシャ様が谷の奥に隠したエルフの宝が目当てなのかなぁ。
『(そうだろうな。トリシャは生き物、特に人間族とは関わらぬ。イオリと会った時も初めは姿を隠していたであろう? 我が世界を飛び回っていた時分、エルフは人間族に迫害されていたのでな……)』
ドラゴンを使役したり、毒を作ったり出来るのに?
『(迫害されていた過去があるゆえ、エルフにしか伝わらぬ手技手法があるのだ。……我が身を守るためにな。今は管轄の土地を守る存在になっておるが、トリシャが居る事を知るのは人間族以外の者だけだ)』
そういえば、シバの町のクランマスターのエドさんもゴブリン族の血が入ってるって言ってたもんね。
『(隠された宝というものは誰しもが気になるものだが、自らで手に入れようと向かうのではなく人の手で手に入れようとするのが気にいらぬ)』
オコですね、ルビーさん。
話し込んでいたら、飽きちゃったのかエンリルとシャラトはぴったりと寄り添って眠っていた。
オコなルビーを宥める意味もこめて、ワンクルーにトマトとシュークリームを4個頼んだ。
ルビーに渡すとしゃぐしゃぐとトマトを食べてしまってから、シュークリームを頬張っていた。
それにしても谷の奥に魔導士が居ないのなら、私達も行く意味がないよね。どうする? 谷はスルーして先に進んじゃう?
『(うーむ……)』
守りのドラゴンさん突破する気? トリシャ様に怒られない?
『(……)』
多分怒られるよね。しかも、教会の人が着いて来ているならルビーが守りのドラゴンさんを突破しちゃうと大問題だよね。
『(……る)』
何? はっきり言わないと聞こえないよ。
『(トリシャが隠した物が気になる……)』
はぁー?! そんなのハイラの森に行った時にでもトリシャ様に訊けばいいでしょー!
『(探す過程が楽しいというか……モニョモニョ……)』
……ばかルビー!
『(ばっ、馬鹿とは何だ)』
ばかでしょ! トリシャ様が私達人間族に知られたくないから、守りのドラゴンや毒で立ち入りを禁じているのに突破する過程が楽しいだなんて! ばか!
『(む……)』
戦ったり、宝物を手に入れたいならダンジョンにでも行ってあげるから、ここは我慢しなさい! あんなに優しいトリシャ様を悲しませちゃだめ!
『(ダンジョンに行ってもいいのか!?)』
うっ、うん。トリシャ様に迷惑かけないのなら、どこでも行ってあげるよ!
『(本当だな! 約束だぞ!)』
あれ? 何か、私うまく誘導された気が……。




