表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/109

ミノオルグスステーキ。





 暗くなるまでスパルタルビー先生と特訓をしたおかげもあって、エンリルはだいぶ上手に飛べるようになった。次からは狩りの仕方を教えるんだって。



『(中々スジが良いぞ。明日は狩りをしに行こう)』



『はーい!』



 ルビーさん、次の目的地へはまだ出発しないの?



『(イオリが少し強くなったと思ったら、子供のエンリルを引き取ってきたからな。エンリルも強くしておかねば、今のままだと死んでしまうぞ。我が守るよりも、エンリルに成長してもらう方が確実だ)』



 どうもすみません……。



『あるじーおなかすいたのー』



 エンリルがばさばさと翼を広げて、私に訴える。翼を広げたら、ルビーと然程大きさが変わらなくなっていた。

 日に日に大きくなってる気がするよ、とエンリルの頭をなでなで。角が生えるであろう場所はぽこっとふくらんだままで、まだ柔らかい。



『(宿に戻るか。腹が減った)』



『かえるのー!』



 真っ暗になっちゃったね。早く帰ってご飯にしよう!







…………………







 宿屋に戻り、お風呂に入ってからご飯の支度。エンリルは羽根が濡れると病気になりやすいと聞いていたので、濡らしたタオルで身体を拭いてあげた。ルビーの毛と違って、あまり汚れがついてないし、エンリルも嫌がらずに拭かせてくれたし、お世話が楽かもしれない……!



 私の独り言に、ルビーの視線が痛かった。



 気を取り直して。ワンクルーに必要なものを買って来てもらった。初めて見るワンクルーに、エンリルは驚いてルビーの背中に隠れていたけれど。説明すると敵じゃないって解ってくれた。臆病なのはライグルの習性だもんね。



 ミノオルグスのお肉はしっとり柔らかくて、赤身が多い。見てる感じだと火を入れたらかたくなっちゃいそうだけど……。



『(そのままでも美味いぞ)』



 いえ、生はちょっと……。



 お肉を2センチ幅のステーキ肉に切って、にんにくと玉ねぎのスライスを乗せて少し放置。

 その間にウインナーと人参、玉ねぎ、じゃがいも、キャベツにトマト、しめじを小さく刻む。みじん切りよりは少し大きいサイズで、硬いものからまずオリーブオイルで炒めていく。



『いいにおいだねー!』と、お鍋の中を覗き込むエンリル。



 炒めている野菜から少し水分が出てきたら、お水とコンソメキューブを入れて煮る。目安は人参がほろっと柔らかくなるまで。待ち遠しいのか、エンリルがお鍋のそばを行ったり来たり。かわいい。



 煮えたら塩コショウと、おしょうゆで味を整えて、コンソメスープは出来上がり!



 そして本番ー! ミノオルグスのお肉に乗せたものを別皿に寄せておく。お肉に塩コショウをして、フライパンに牛脂を敷いておく。牛脂が溶けたら寄せておいたにんにくを入れて香りが出たらお肉を入れる。



『(美味そうだ)』



 みんな食いしん坊だね。ルビーも尻尾を揺らしながらフライパンを覗いている。



 お肉の両面をしっかり焼いて、お皿に取って、フライパンに残ったお肉の脂で寄せておいた残りの玉ねぎを炒める。さらに玉ねぎベースのソースを入れて、ひと煮立ちして出来上がり!



『(早く喰いたい)』『おなかすいたよー!』と、落ち着かないふたりにまずお肉とスープを出してあげたけれど、私が自分の分を構えるまでちゃんと待っててくれた。



 いただきます!



『あるじ!! おいしい!! これ!! おいしいの!!!』



『(……)』



 大興奮のエンリル。かわいい。ルビーは無言でがつがつ食べてる……美味しいのは間違いないんだろうけど、ちょっと顔が怖いよ……。



 コンソメスープも上出来。お野菜もほろほろになってて、スープにも溶け込んでて美味しい!お肉もかたいかと思いきや、噛み切れるほどの柔らかさで、ジューシー。牛肉に似ていて、玉ねぎソースがよく合って、かなり分厚目に切ったのにペロッと食べてしまった。脂が全然しつこくなくって、これはいくらでも食べられそう。



『(このスープも美味いな)』と、ルビーさん完食。



『あるじーこのはっぱおいしいのー』と、エンリルはスープに入れたキャベツが気に入った様子。やっぱり鳥だから葉っぱが好きなのかな……?



 ルビーにお替わりしてもいいよと言うと、エンリルも聞き逃さず、結局スープもミノオルグスのお肉も全部なくなってしまった。



『おいしかったのー! あるじのごはんおいしいねー』



『(そうだろう、イオリの料理はとても美味い。他では喰えぬぞ)』



 褒めても何も出ないぞー! と言いつつ、ワンクルーにデザートのプリンを頼んでる私はとっても扱いやすい人間だな、と自分で思った。



 プリンもふたりの口に合ったようで、ペロッと食べてしまったのでした。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ