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【第二章完】重機王フェリドゥン ~ロボで戦う社畜、気付けばハーレムラブコメ展開になる~  作者: 沢クリム
第三章

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36.展示会を前に

 


 展示会準備という名目で、格納庫に集められたのは我ら『黒鉄重工先端重機開発室』一同。


 展示会に出展するのはもちろん、対巨大災害双腕重無限起動機アジダハーカ。


「ワタシとしては、会場の中央を陣取り、『特殊輸送車両クリンタ』との変型合体ショーをやることを提案したのだがね。

 様々な観点から、ボツをくらってしまってね」


 肩を落とす室長のニワさん。

 ちなみに変型合体後の名前こそ、フェリドゥンである。


「会場を調べたんだけど、高さは屋外だからいいとして……。

 安全作業半径で考えると、フェリドゥンを中央に配置すると他の展示が難しくなるわね」


 エルさんは会場データをタブレットから見ながら確認している。


「展示会のメインは、やっぱり建築重機ですね。黒鉄重工の主力商品です。

 うちは……隅っこの一角ですね」


 ティアさんは、そのタブレットを覗き込み予定されている配置を見た。


「うーん、これだと……予め変型させたアジダハーカ、言い換えると『上半身だけフェリドゥン』を整備用台座に置いて展示する感じっすね」


 初めて聞いたな、上半身だけフェリドゥン。

 俺は結構好きだけど、メンテナンス中の巨大ロボットって。


「そうなのだよ!需要の高い商品を並べるのは鉄則ではある。

 しかし!技術力の高さとインパクト重視ならフェリドゥンに敵う者が無いと言うのに!


 ……と、力説してみたいところなのだが、この展示会が発案計画されている最中は、フェリドゥンは色々未認可だったので、このくらいのスペースでも、確保出来たのは僥倖と言える」


 コロコロと表情を変えながらも、最終的には素面に戻ったニワさん。



「それで、どうして格納庫に集められたんです?俺達?」


 問いかける俺に、ニワさんは我が意を得たりとばかりに、不敵に微笑む。

 なお、格納庫に連れて来られる前にも、同じ顔をしていた。


「フッ…キミ達に、フェリドゥンのプロトタイプ、所謂試作腕部を見せたくてね!」


「まぁ…」「プロトタイプ!」「…っすか?」


 返事はエルさん、ティアさん、レイさんの順だ。

 俺が居ない間に打ち合わせとかしてた?


 この場に居る全員が、ある程度のロボマニアなので、試作機などの言葉にめっぽう弱い。

 かくいう俺も、開発初期案とかの資料を見てるだけども楽しくなれるタイプだ。


「ふむ、いい反応だ!

 今でこそ、出現が予測される巨大災害に対してある程度の予測を立て、様々な腕部を付け替えているフェリドゥンではある」


 それは、俺もよく知る所だ。

 現に、運用実験第一回では、

 右、超油圧クローブレーカ。

 左、クレーンアームを装備し、ネズミ型巨大災害を撃退した。


 第二回では、左をサーチ機構付きランチャーネット換装し、カニ型巨大災害を撃退した。


「しかし、初期案ではあったのだよ。

 マニピュレーターユニット、人の手を模した機械の腕で様々な工具を扱う案がね。

 ちなみに、予測されるスペックを今、エルくんの携帯端末に送ったよ、確認したまえ」


 今度は三人に混ざり、俺もタブレットを覗く。少々、女性の人口密度が高めなので、遠慮気味に。



「あー……これって…巨大災害どころか、家屋の解体とかも難しいレベルじゃないっすか?」


 整備技師でもあるレイさんが、真っ先にタブレットから離れた。


「そうね…。強度的にも、仮に剣と盾を装備したなら、剣の一振りで指がどっかいって、盾で巨大生物の突撃を受け止めたら指が変形するんじゃないかしら……」


 あまり、自分に置き換えたくない想像をするエルさん。



「ですがお姉様。『試作腕部を見せたくて』と先ほど仰っていましたが、作ったのですが?」


「うむ!検証用に左腕だけね。

 それこそ、後に出力問題や強度をクリア出来るかもしれないから、その時の為のノウハウの蓄積だよ!」


 案内された格納庫の一角には、吊された腕があった。

 その手先を見れば、確かに五本指と手の平で構築されている。


「おお、これが…!……って、シミュレーターでも登場しなかったですよね、これ」


 フェリドゥン専属パイロットである俺は様々な状況で、対巨大災害の模擬戦を繰り返して来たが、マニピュレーターユニットを使ったことはなかった。


「はっはは。さすがに検証用までシミュレーターに組み込む余裕は無かったからね!」


 なるほど、そもそも実戦向きでは無い装備か。

 だが、今こうして、日の目をみたということは……。


「だが!人と共通する部分を持つとは、それ即ち、分かりやすくヒロイック!

 広報用には、これ以上の装備はあるまい!」


 確かに。

 正義のヒーローロボットで思い浮かべるのは、異形の腕よりも、このような分かりやすいカッコよさかもな。



「というわけで、展示会当日の担当割りを発表しよう!

 フェリドゥン内部より操作、ガズくん!

 外部バランサーユニットより操作補助、レイくん!

 現地システム監修、ティア!

 一般来客対応、エルくん!

 そして、企業向け来客対応、ワタシ!

 この布陣で、我々『黒鉄重工先端重機開発室』は展示会に臨むこととする!」


 こうして始まった事前準備。

 各自担当の確認事項や事前シミュレーションをこなしつつ、すべては順調に当日を迎えるはず『だった』。



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