11 〜 征司 ver 5 〜
しばらく、辺りを見渡し、見知った顔を発見すると、挨拶に繰り出す。
仕事を受けている以上、人脈作りは、大切だから、こういう場にお呼ばれした時は、がんばらねば。
いそいそと仮面をつけて、愛想を振り撒く。
――うすら寒い、笑いですね〜〜
昔、彼女に言われた言葉をふいに思い出す。
仕方ないだろう、いまさら、変えられないさ、と毒吐く。
そうこうしていると、会場近くの入り口に、皆の視線が集まっている事に気づく。
やっと、メインの到着かな?
なんでも、今回は、ドラマ化の話で、めずらしく『作家』が来てくれるとか言ってたかな。
落ち着いてから、挨拶、いや、二人とプロデューサーに任せるか。
じゃあ、遠くから、見守るかな?
そう思った私は、テーブルに置かれているワインに手を伸ばし、一口飲む。
あっ、これ、おいしい。
そう思った俺は、ワインを飲み干す。
軽く何かつまみ、また、ワインを飲む。
料理もわりとおいしい。
しばらく、料理とワインを楽しみながら、辺りを見渡す。
すると、最近、見知った顔が、談笑しているのが目に入る。
なぜ、彼がここに?
よく見ると、後ろには、女性がついている。
なんか、くたびれてないか?
顔は、微笑んでいるけど…
じーっと、目を凝らすと、いつの間にか、二人が接近してる?
様子を見て、それから、帰ろうかな…
などと、ぼんやり考えながら、歩き出す。
付き添いで来ていた、藍澤に近づき、つい、帰っていいか?、と聞いてしまう。
すると、ゲッ、という…?
どういう事だと思い、声の主を見てみると、あのくたびれた感満載の女性……??
さらに、帰って来なくていい、だと?!
なぜ、初対面の女性に言われなければいけない?
言い返そうと、改めて、女性を見る。
そこで、ようやく、声の主が、彼女、「河森 美咲」だと、気づいたのだった。




