23.連想ゲーム
管理所から山小屋まで歩いて帰るのはかなり久しぶりで、足首を痛めてから体を動かせていなかったこともあり、山小屋が見えてきた頃にはクタクタになってしまった。毎日動き回っていると一時間程度の距離はまったくつらくないのに、約一ヶ月怪我した足を庇って動いていなかっただけで筋肉の衰えをひしひしと感じる。非常に足がだるく背中と腰も疲れて痛い。
「うー、きつい」
「でもさー、ここに来た頃よりは全然健康になったよね!」
チビが比べているのはシャーヤラン管理所に来る前の私。巨大竜チビが出現した騒動時の際に精神的に追い詰められていたときの私は誰が見ても貧相だっただろう。もうあの頃の私ではないのに印象はそう簡単に払拭されないのも知っている。
「到着!」
「頑張った! おつかれ!」
チビの助けを借りずに山小屋まで帰ってこれたのはいいことで、足首にも痛みはない。
先週のいつだったか山小屋を掃除していたとき、足首に痛みではないが違和感が走り、また痛みだしたら困ると立ち止まってしゃがんだことがあった。リハビリの際に筋肉整体医さんに話したらすぐに診てくれて、大丈夫と言われ安堵したけれど、あれから動くことに慎重になり過ぎていた気がする。
シシダはまだ雪の季節。地熱の恩恵で雪のないところもあるけど、街のすべてが地熱の恩恵ではないので大半は雪に埋もれている。除雪していても雪が凍っている道もあるから、しっかりと踏みしめ、ときに踏ん張れないと怖いが、これだけ歩ければ大丈夫だろう。
山小屋の玄関前で背を伸ばした。思いっきり筋肉を伸ばせることが気持ちいい。
チビは今日もイチゴちゃんを伸したいけど我慢しなきゃならないストレス発散をすると言って、道の拡張工事現場に飛んでいった。表面上は落ち着いたようでいて、チビはまだ不納得でイチゴちゃんに対して怒っている。
私が二匹の間を取り持てる妙案は浮かばず、ため息しか出てこない。もう、なるようにしかならないと悟り始めた。大事にならないよう、祈るしかなさそうな気がしている。
さっきペニンダさんに、財務資料の提出後は何をすればいいのか尋ねてきたら、予想以上に私が財務資料の確認を終わらせたので、今すぐお願いできるものが用意できていないと言われた。何なら苔の研究の時間にしなさいと言ってくれたこともあり、一息ついたら苔のデータを眺めよう。教授と私の発光苔の生育環境の差異だけでなく、協力者として発光苔を育ててくれている苔愛好家の方からのデータが届いている。三つの場所の違いを照らし合わせた資料を作りたい。
そんなことを考えながら山小屋の玄関を開けて横に見えたリビングに脱力した。出かける前よりも明らかに交差し合う枝の数が増えて、草を干す場所が増設されている。
「ス~ラ~イ~ム~、リビングじゃなくて二階じゃだめー?」
そう言ってみたところで山小屋の中に気配はなく、また出かけているようだ。
ひとまず水分補給をして洗面所で軽く体を拭く。まだ暑いというほどではないが、長雨の隙間の曇天は湿気が多くて作業服が肌にまとわりついてくる。汗でびっしょりになるのとは違う不快感で、拭いてみたもの山小屋の中もムワッとしているから拭いても気持ちよくなった気がしない。作業服を着直して、もはや拭いても意味がない真夏の汗だくのほうが諦めがつくと思ったりした。
空調を調整してリビングと台所の除湿を強めた。草も干してあるから湿度は低くていいだろう。
スライムにリビングを草干し場にされてしまってから、台所のテーブルが事務作業場。これまでもそうしていたことはあったけれど、リビングのテーブルのほうが広いので印刷した紙を広げるならそっちなのだが、……横のリビングを見る。見事な組み合わせで棚のようになっている枝、枝、枝。草を干していると知らなければ枝のバリケードといってもいいだろう。そのバリケードに囲まれるようにあるリビングのテーブル。この枝たちを取っ払ったらスライムと大喧嘩になるだろうし、溶解液で山小屋を溶かされたくもない。
スライムのボディーランゲージの読み解きを間違っていなければ、「今だけ! お願い!」という懇願に近い感じだったので許してしまったけれど、枝が増えている様子に不安を覚える。
道の拡張工事で抜かれてしまう草がもったいない! となって、集められるだけ集めていると想像はする。
リーダーやニット先輩から、根から掘り起こせたものはコンテナ住居前に植え直していると聞いているけれど、そこでもスライムは忙しく跳ね回っていると聞いた。掃除をしろと言われるよりいいかと諦めた。
聞こえてくる工事の音に少々意識が引きづられたが、苔愛好家の方からの「発光苔の成長おめでとう!」の熱いメッセージを読んだらあっという間に苔の世界に没頭した。
その方が育てている発光苔からも実は興味深いことがわかっている。私が発光苔の研究に携わる前に、その方は教授から預かった発光苔を枯らしてしまったことがあった。カラカラになった発光苔を捨てきれずそのままにしていたら、あるとき一部が復活したというのだ。その経緯から発光苔は休眠の性質がありそうだとして、その方面の観察を継続してくれている。
教授も私も本音をいえばその方にも苔の研究者になってほしいけれど、自分は芸術家として生きていきたいとして苔愛好家に留まっているが、提出してくれる資料などは完全に研究者のそれ。
「休眠状態と完全に枯れているのの違いの見極めは困難か。成長する要因もわからないし、本当にわからないことばかりだな」
そして常はボヤーと光っている。つくづく変な苔だと思う。
苔愛好家の方が枯らして減ってしまった分は教授から分けたそうだが、私の発光苔も成長したので少し分けられる。
発光苔は絶滅危惧種は指定されていないが生息している場所としてわかっている場所は少なく、採集は森のプロに依頼しないとならない奥地の奥地。シャーヤランの森の奥にもあることはわかっているけれど私一人では採集に行くことはできない。
発光苔の休眠状態と完全に枯れる見極めが難しいから、苔愛好家の方も慎重になっているのがわかった。いろいろ研究するには量の確保が必須。育つ要因特定を頑張らねばと読み終えた。
「読み終わったか?」
「うわあっ!」
頭の上から声がかかって驚いた。
「ふ、フェフェ、ど、ど、どうっ」
「普通に玄関から入ってきたぞ?」
ぜんぜん気が付かなかった……と思ったら、私を驚かせたのが成功したとキャラキャラと笑うフェフェ。
その背後をスーッと飛んできたのはキィちゃんだった。
窓から覗いたら資料を読むのに没頭している私が見えて、扉の音が鳴らないようにこっそりと入ってきたのだと明かされた。異能で音を消すのは反則だと思う。
「ははは!」
「もー!」
「でもすごい真剣に読んでたから邪魔しちゃだめだと思ったのも事実なのよ?」
キィちゃんもしてやったりな顔だけど、一区切りつくまで待ってくれていたのもわかったので笑顔で許した。
苔の世界から戻ってきたらトイレに行きたい体からのシグナルと空腹があって、時計を見たらもう昼だった。
「実はな、あの文字の伝言板が気になってな。アロンソとたまに思いつくまま話していると気が付くこともある。そういうことをしてみようと思ったのだ」
「フェフェ、面白がってる?」
「リリカは面白くなかろうが、わしは関係ないからなー」
それはそうだ。フェフェにとって大事なのは相棒のリーダーで、リーダーの部下だから私のことも気にかけてくれている。実際にはそんな言葉では足りないほど気にかけてくれていて、イチゴちゃんの伝言板のことを好奇心としても何かわかることがないかと考えてくれるのはありがたい。
「アタシはフェフェが山小屋に向かっているのを見かけてついてきちゃった」
「いやな、チビとキィから伝言板に触れなかったと聞いたのも気になってな? 適当に言い散らかすから、聞きながらリリカは昼を食ったらどうだ? わしにはリリカの故郷の茶をくれ」
「焙じたやつね。氷は?」
「氷は、いらん」
「アタシにもちょーだい! アタシは氷で冷え冷えにしたのがいいわ!」
トイレを済ませてから保冷庫にあるもので昼食を用意することにした。フェフェは湯気の立つ焙じたお茶を香りから楽しみ、私とキィちゃんは氷を入れる。
私が昼食を用意している間もフェフェはあーだこーだとぶつぶつ言って、キィちゃんと一緒に伝言板を作って検証もしていた。
「異能の伝言板は物理的な質量があるわけじゃない。だから叩く物体にはならん」
「普通はそうね」
「ゴゴジの伝言板を頭にくっつけていたとき、読むのが遅いと頭の上で跳ねて痛かったよ?」
「それは伝言板そのものじゃなく、異能でそう感じさせているだけだ。ぶつかっている、叩かれていると思うのは異能のこれだな」
「イッタッ!」
フェフェが私の額に向けて異能の何かを飛ばしてきた。なんでおでこを狙うのさ。
「人が知るもので近いものは空気砲だが異能でどうしているのかまでは説明できん」
「痛かったんだけど」
「フェフェ〜、加減しなって」
「すまん、すまん」
その後も私は冷製麺を食べている間、フェフェとキィちゃんで試行錯誤していたけれど、妖獣として辿り着いた答えは今回のイチゴちゃんの伝言板は三段階あったのではないかという。
私経由所長宛て。私宛て。チビ宛て。
「一つの伝言板にもう一つを仕込むとやはり濁る。しかしなぁ、わしではうまくいかん」
「セイに作らせたいわね。前に二段階構築できていたもの」
「ねぇ、三つっていうけど、私で出現したのがチビに向かって飛んでいったように思うんだけど」
「チビには、まあ、言葉で使える内容ではなかったんだろうなぁ」
そこで遠い目にならないでほしい。
フェフェからしてもチビは若手になり、異能の制御は本当に頑張らせたいという。
「相棒を持つなら相棒を守りきる覚悟が必要なんだ。単に『相性のいい相棒が見つかったワーイ!』ということではないのだ」
巨大竜になれば人がどう見るかは知っていたのに、人目の多くある王都の学院で妖獣化。大騒動を引き起こし、私のプライベートが世間に出回るという失態はよくなかったという。そういう意味で、出会ったときのチビは相棒の私に対する配慮が欠けていた。
「トウマのときも世間を騒がせたが、まったく違う。あのときはヴィスファスト家が正式に当家の者が妖獣の相棒になったと発表した内容を受けての騒動だったからな。オニキスはあの巨体だから隠れきれんし、トウマはまだ幼児だったし、トウマの保護者たちと管理所の上層部が随分話し合ったと聞いたことがある」
他にも王族の式典などでよく見かける猛禽類の姿に似た妖獣はまあまあ特殊で、相棒が王族護衛隊員となるまでは小さい姿だったが、相棒が王族護衛隊員に抜擢されたことで体を作り変えて、相棒を守るために巨体になったという。妖獣が目立つことが牽制になる。そう考えてのことだったらしい。
「話がズレたな。シシダの妖獣のことをよくは知らんが、『相棒を世間の目に晒し、なおかつ危険な状況にするとは何事だ!』という説教がチビを構う根底にあるのかもしれん。そして今シシダではリリカに恨みつらみを持つ人物が生まれておるじゃろ? その原因はチビが歌うことに事を発していて、『妖獣として相棒に身の危険があるようなことを起こすとは!』と思っとる可能性が高いと思うんだ。それが眉間アタックだったんじゃないかというのがわしの推測だ」
「アビーも似たようなこと言ってたものね」
「私、そこまでイチゴちゃんに心配してもらうほど接点はないと思うんだけど」
「そこはわからんのだが、まあ、一つの推論だ」
フェフェとキィちゃんもチビがシャーヤランにやってきたとき、巨体出現して私のあれこれが世間に流れたことには苦言を呈したそうだ。そうは言ってもシャーヤランの管理所に来てからチビとフェフェ、キィちゃんは出会ったので、終わっていることをクドクド言ってもしょうがない。
相棒の私が許しているとはいえ、心理ダメージはあとから来ることもあるから、精神的に苛まれて病気にならないようしっかり見守るように言ったのだという。
そう言われてみて、管理所で山小屋に住めることになった際、チビは山小屋前の広場を寝床にして、管理所の会議室で研修を受けている際は管理所の近い場所に蹲って私のそばにいてくれた。チビ自身も心配だったのもあるだろうが、フェフェやオニキス、キィちゃんなどに言われてずっと見守ってくれていたんだとわかると目が潤む。
「チビに文句の一つも言いたいが、伝言板を三つ仕込むのは流石にできなくて、あの形になったとか」
「アタシも作れないかとやってみてるけど、できないのよねー」
「わしもうまくはできん」
「たしか映像も仕込んできたことあったわよね?」
「うん、伯父さんの姿を見せてくれた」
「どんだけ変な構築したらそんなことできるのかしら」
変人──妖獣は人じゃないから変妖獣。とにかくイチゴちゃんが妖獣の中でも特異だということはよくわかった。
「あと気になるのはチビへの眉間アタック前の、リリカ宛ての伝言板だな。暗号かもしれん文字があったというやつ」
フェフェは伝言板の文字そのものより、伝言板の本体に意味があるのではないかと言い出した。
妖獣は面白おかしい無意味なこともたくさんするが、本気で無意味ならやらない。そして嘘はつかない。
「アタシもさ、もしかしたら文字にはあんまり意味ないのかもって思えてきたの」
「どうして?」
「シシダの妖獣はあの文字をリリカは見ただけで解読できると思ってたってこと? そうは思えないのよ。それにすぐにチビのところに向かって消えちゃったでしょ? 覚える暇もなかったわ。」
うーんと考え込むキィちゃんだが、言っている意味はわからないでもない。
「わしもな、文字そのものより伝言板の存在を考えてみたのだ。伝言板を相手に届ける。内容はさておき、届けるという行為」
「つまり?」
「あー、うまく言えんが、文字が読めなくても、伝言板の出現と消失の過程に意味があったということはないか? と思ったのだ」
頭の中に疑問符がいっぱいだ。
「えーと、それって例えになるかわからないけど、手紙を書いたのに封筒に書いた紙を入れ忘れて、封筒だけ送ったっていうことになるけど間違いない?」
「送ったという行為は残るじゃろ?」
「あー? うん? んんん?」
「その封筒に意味があった、ということだ」
ごめん、フェフェ。私の頭が追いつかない。
「わしが妄想の域に飛躍し過ぎているのかもしれんが、起きた事実を言葉にしてみよう、『わからん文字が出現した』、『わからん文字は消えた』、『未知の消失』──」
「フェフェ!?」
未知という言葉に私も過剰反応した。
「連想ね! 『未確認』『不明』『謎』……、他になにかあるかしら」
キィちゃんも思いつくまま言葉を重ねてくる。
「シシダの妖獣に会ったことはないが、話を聞くに何か意味があるような気がするのだ。それで昨夜も寝ずに考えてな」
「フェフェ寝ようね。私たちすごく怒られたから」
「残念だったな。わしは怒られたメンバーに入っとらんし、叱る側でもない」
「なんか悔しい」
フェフェに大笑いされたけれど、確かにフェフェは妖獣世話班メンバーで寝なかった事件などの際にいなかった。チビは私たちを心配してくれたけれど、フェフェはリーダーの身の危険がなければ自由最高で過ごしている。
「どうもちょこちょこ話がズレるが元に戻すぞ。シシダの妖獣も解読できると思ってない可能性はあると思う。ではなぜ読めぬ文字を使ったのか」
「パッと思いつくのは『読ませたくなかった』よね? 伝言板を送りつけているのに酷く矛盾するけど。だって前のときは公用語だったでしょ?」
「うん」
伯父さんのときはストレートに「殺される」と書かれていた。
「伯父さんのときは、実はなかなか切羽詰まっていた状況だったと聞いたぞ」
「あと何日か遅かったら、保護していたとしても衰弱が酷くて助からなかったかもって」
「助かってよかったな。シシダの妖獣も気にかけておるようだし」
そう思い返すと前のときは待ったなしだった。だから通常はありえない二重伝言板という異例さはあったけれど、文字は公用語だったのではないかという。
今回はそういう意味では切羽詰まっているということではない。ただしイチゴちゃんには何か懸念があって伝言を寄越した。
「ねぇ、暗号って隠したいことがあるときに使うものよね?」
「隠したい、または知られたくないこと、バレたくないことだろうなぁ」
バレたくないこと。
知られたくないこと。
程度の差はあれいろいろあるけれど、伯父のときのことが思い出されて、口を衝いて出た言葉は不穏だった。
「また犯罪……?」
「リリカはどうしてこう面倒事に巻き込まれるのかしら?」
自分でもそう思う。
「まあでも最悪は考えておかんとなー」
若干連想ゲーム化してきたが、何かが繋がりになるならと思いつくまま挙げてみた。
「文字が消える、未知の消失、不明の喪失──、未知の、犯罪?」
「犯罪で未知と言われてもよくわからんが、不明の犯罪、不明、知られていない犯罪……」
あ!
「「「表面化していない犯罪!」」」
「隠された犯罪。隠されている犯罪。隠している犯罪」
「他には? 『わからない』、『消える』、『隠す』などから連想されるとしたら……」
「行方不明」
「誘拐」
「スパイ」
三者三様に出てきた推測。
どれもこれも、えぇぇ……である。
一人と二匹の間に横たわる沈黙。
なかなか物騒なことを想像して雰囲気も重たくなってしまった。
「でも、イチゴちゃんがそんなことを私に伝える意図がわからないよ」
「そうだなあ。犯罪をリリカに伝えてくるのは謎だな。でも前もそうだったといえばそうだったろう」
「もしかして、また伯父さんが絡んでる?」
「リリカの伯父さんはどこかでしっかり保護されとるんじゃろ?」
「そうなんだけど……」
私が知る限りイチゴちゃんが明らかに贔屓にしているのは魚屋のおっちゃんと酒屋のおばあちゃん、そして伯父。私宛てに伝言板を送ってくるとなると関係者は伯父になる。
これ以上は考えたくない気持ちが勝り、意識が散漫になった。
ちょうど遠くで重機が動き出す音が聞こえてきて、工事現場の昼休みが終わったらしい。その音を合図に私たちもお開きにした。
「随分飛躍したわよね〜。全部間違いならそれがいいわね~」
「そう願いたいよぉ……」
「まあ、楽しい話ではないが、何も考えていないより一つ心構えになったとしよう。こういうのは外れているのが一番だがな」
夜の集まりのときにこの想像を言うかは流れ次第にしようとなった。
「チビとオニキス、あとは兄貴たちには伝えておくか」
「そういえばセイが合流するのよね? 念で送っておきましょ!」
「アイツはすごくマトモだもんなぁ」
「あら、アタシはマトモよ!」
キィちゃんは何かをお願いしたときの対価が突飛なだけで、そのほかはだいたい常識的だと思う。フェフェに関しては何も言うまい。
「じゃ、また夜な。所長の説教が長くないといいのだがな~。詫びに鉱石を渡しても抜け毛を渡しても怒るしなぁ」
「さすが所長。賄賂には屈しないんだね」
「はははっ。別にあれらの本を読んだところでリリカが悪用しないってわかりそうなもんだろうに。わしは許可が出るまで何枚誓約書や申請書を書かされたことか。これでも妖獣だぞ?」
「フェフェはやりかねないって思われたんだね」
「わしにも常識はあるのだがなぁ」
キィちゃんと同時に「どのあたりに?」と突っ込んだのは言うまでもない。
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