表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【連載完結】ただ互いに憎み合っていただけなのに、周囲が勝手に溺愛だと勘違いし、愛の権化のように崇拝されました。  作者: 逆立ちハムスター


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

81/145

狂気の聖愛国誕生

王都の空を切り裂くようにそびえ立つ、巨大な複合施設。その名は『エターナル・ドロップ』

各教派の執念が物理的な形を取り、地下一階から頂上まで「逃げ場のない愛」が詰め込まれた塔の落成式が、今まさに始まろうとしていた。


「……ねえ、ルナ。あの塔、今にも爆発しそうだよ。……っていうか、歪んでない?」


テオが指差す先、塔を巻くように走る【熾烈愛・屠殺派】のコースターが超高速で火花を散らし、背後にある【純愛・福音派】の観覧車からはサーチライトのような「管理の光」がネオンのように放たれている。そして地下からは、何百人もの【不変愛・仮死派】が発する「無の波動」が地鳴りのように響いていた。


「……計算するまでもないわ、テオ。あれは建築物ではなく、三つの異なる狂気を混ぜ合わせた『時限爆弾』よ。……見て、式典の檀上に立つあの方たちを」


檀上には、今日のために特別に用意された「聖地用礼装」に身を包んだ、エドワードとソフィア、そして聖夫婦の姿があった。


「「「聖地完成、おめでとうございます!!)」」」」


信者たちの地鳴りのような咆哮。それに答えるように、エドワードが威厳たっぷりに(しかし目は少し虚ろに)宣言した。


「国民よ! 今日、この王都に『愛の恒久機関』が完成した! 私も昨日、地下で便所の神と語り合い、確信した……。真の平和に満ちた愛とは、落ち、縛られ、そして動かなくなることだと!」


「ええ、エドワード。……さあ、エルゼ、アルフォンス。完成のファンファーレ代わりに、お二人の『最高の殺意』をこの塔に捧げて頂戴♪」


ソフィアの慈愛(狂気)に満ちた合図で、エルゼとアルフォンスが同時に飛び出した。


「いいわよ、ソフィア様! この塔ごとアルフォンスを粉砕して、王都に愛の破片ダイヤモンド・ダストを降らせてあげるわ!」(お前がやれと言ったと宣言してやるわ)

「クク……。この塔の全機能を停止させ、君を『不変の檻』に閉じ込めるのが、設計者としての私の責務だね」(盛大に処刑されろ、エルゼ)


二人が塔の壁面を駆け上がりながら殺し合いを始めると、アトラクションが連動して暴走を開始した。

コースターが加速し、観覧車が回転し、地下の穴から「便所の神」の偶像がから発せられる信者達の狂気が立ち込めてくる。


「「「「管理して……!」「不変の愛を……!」「死ねえええ!!」」」」


三つの叫びが混ざり合い、塔の頂上から「氷」と「毒」と「管理体操の紙吹雪」が豪雨のように降り注ぐ。それは美しくも、この世で最も不健全なパレードだった。


テオはエトワールに顔を埋め、震える声で呟いた。


「……終わった。僕たちの平穏な日常は、今日、この塔の下に埋め立てられたんだ……」


ルナは、降り注ぐ「管理の紙吹雪」を一枚掴み取り、真っ白な顔で手帳を閉じた。


「……いいえ、テオ。これは終わりじゃないわ。……ここが、新しい『地獄』の基準点ゼロ・ポイントよ。……管理しましょう。これから始まる、もっと支離滅裂な毎日を」


王都を揺るがす大歓声の中、二人の子供たちは、狂った者達が支配する「愛の聖地」を、ただ呆然と見上げ続けるしかなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ