↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
44/44

今後の方針

翌日、改めてロドゴ家の方々と今後の身の振り方について話し合った。


クリスティナの神聖力については宰相はやっぱり公にはしたくないみたい。

まだどのような力や影響力があるかわかってないからっていうのもあるけど、たぶん王妃に知られたら、都合よく利用されそうっていうのがあるのかも……。


(うーん、私もその意見に一票だなぁ。確かにロクでもないことしでかしそうよねー)


というわけで、神聖力についてはしばらく様子見とし水面下で教団の動向を探っていくことで合意。


後は、あの怪しい暗紅石と護符のことを打ち明けたんだけど

「今はアイリーン嬢が持っているのが一番安全だと思う」

「ああ。父上の言う通りだ、アイリーン嬢。君に任せるのが一番安心できる」

と、二人とも同意見だった。


(えー、いやなんだけどー。早く手放したかったのにぃ……)


結局、泣く泣く私の手元で管理することになった。くそう……。


そして最後、クリスティナとフェリクスが行方不明になっていることについて。

宰相の当初の予定のクリスティナ死亡説にはきっぱりと反対した。だって彼女にはこれから歩むべき未来がある。

なにより奴らがそれで引き下がるとは思えない。きっと遠からず嘘を見破ってくるはずだ。


ただ、やはりクリスティナが今すぐ王都に帰るのは得策ではない。

危険が伴う今の現状では、しばらく身を隠しておいた方がいい。

何より、彼女は度重なる心労で弱っているしせめて体力だけでも回復させなければ。


話し合いの中で判明したのは、クリスティナがかなりの成績優秀者だったことだ。

学園を休みがちだったにもかかわらず、試験では常に上位に名を連ね、履修状況も完璧だという。


(あらっ、これなら私と同じでしばらく学園行かなくても問題ないんじゃない?)


私ほどの余裕はないにしても、もう少し休ませてあげることはできそうだ。

せめてあと1か月くらいは、このままここにいても大丈夫な気がする。


ならば!


教団の脅威はあるけど、やっぱりまだスローライフあきらめきれないのよ。

もう少しだけ療養を隠れ蓑にしてクリスティナと一緒にうふふ、おほほ、な優雅な別荘生活を堪能することにした。


それに、私が重い体調不良で引きこもっていることにしておけば、教団側も依り代として使い物にならないと諦めてくれないかなー。

なーんて、甘い考えも半分くらいあったり、あったり。


一方のフェリクスも、学園を休んでいても問題なさそうだけど…。


「貴方は無理ですわ。王太子の側近なんですもの。これ以上行方不明のままでは殿下が乗り出してきますわよ。大問題になりかねませんわ」

私はぴしゃりと言い放った。


そんなわけで、これ以上お忍びで休ませるのは無理。

宰相も公務が詰まっているのでこれ以上の滞在は国家の停滞を招く。


ということで宰相とフェリクスは早々に王都へ“バーイ”してもらうことにした。


「嫌だ! 私は残る! アイリーン嬢とクリスティナを置いて帰れるはずがないだろう!」

フェリクスが予想外に駄々をこねて残るって騒いでいるけど、無視よ無視。


なのにも関わらず、彼はあろうことか私の手を取り、熱を帯びた眼差しでこう宣った。


「アイリーン嬢、君を守りたいんだ! 君のためなら、私は何だってする!」


いや、なんで?

守るのは私じゃなくてクリスティナじゃない?


いやあ、よく考えたらエリーゼのイベントぶんどってしまったからなあ。

やばいフラグがこっちに向いているような気がするので、最短ルートでフラグを叩き折るべく有無を言わせず馬車へ放り込んだ。


しぶしぶと馬車に乗り込む寸前、フェリクスは私の前で足を止めて今までよりもさらに熱を帯びた瞳で私を見つめた。


「アイリーン嬢。……最後にもう一度、礼を言わせてくれ」


彼が私の手を取り、指先にそっと唇を寄せる。

その仕草は、貴族令息としての儀礼を超えた切実な行動だった。


「長年、私と父上の間には深い溝があった。一生、分かり合えることはないと思っていたんだ。…だが、君がその壁を壊してくれた。君がクリスティナを守り、私たち家族の絆を繋ぎ止めてくれなければ、私は今も孤独な暗闇の中で父を憎み続けていただろう」


フェリクス様の大きな手が、私の手を包み込むように握りしめる。

その手のひらから伝わる熱で、彼がいかに救われたかを雄弁に物語っていた。


「君は、私の魂を救ってくれたんだ。今の私の目に映る君は誰よりも温かく、気高い。もっと君を知りたい、君と離れることがこんなにも苦しく感じてしまうなんて…」


いや、なんで?


(…そのセリフは、原作で彼のトラウマを癒やしたエリーゼに対して、彼女を愛してしまったことに気づいたときの台詞では?)


むむむ…これ以上はまずい。


感謝は嬉しいけれど、その眼差しは王太子に執拗にまとわりつく、うっとうしい令嬢どころか妹の友人に向けるものでもなくなっている。

その瞳には、私という存在への独占欲さえ透けて見えた。


さすがの私もフェリクスの好感度が上昇しているのが分かった。


(ちょ、待てよ。これはかなりやばくね?)


背後で、アベルが“カチリ”と剣の鞘を鳴らす音が後ろで響いた。

うぉーい、馬車が出る前のもめごとは勘弁してくれ。


「フェリクス様。感謝なら王都の平和を守ることで返してくださいまし。さあ、エルヴィン様がお待ちですわよ!」


私は全開の”いい笑顔”で、なんならサムズアップまでする勢いで、彼の情熱的な視線を物理的に遮り馬車のステップへ押し上げた。


(いいからお前は早く帰ってエリーゼの光魔術の特訓を頑張らせてよね。そして二人を早く“断罪なし”でくっつけろ)


「待ってくれ、アイリーン嬢! 私は本気で―!」

ガシャン、とアベルが無慈悲に扉を閉める。


やれやれ、これでフェリクスをやっと送り返せるわね。

ホントのところ、当て馬1号とこれ以上懇意にするにはヒーローとヒロインに申し訳ない気持ちが勝っていたのよね。


なんだか見送りだけでどっと疲れたわ。


ただ…不安があるとすれば、宰相が教団に後をつけられていた場合、もしかしたらクリスティナたちが来る時と同じように狙われるかもしれないこと。


私は念には念を入れ、王都近郊の街道までアベルを護衛として同行させることにした。


【作者からのお願い】

ここまでお読みいただきありがとうございます!

少しでも「面白い」「続きが気になる!」と思ってくださったら、ページ下部にある

【ブックマークに追加】と、その下にある【評価(★★★★★)】をぽちっと押して応援していただけると、執筆の物凄い励みになります!

どうぞよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。