60 拳聖
「これが、お前の部隊だ」
サミット的なものの、一週間後に集められたのは、六人。
ワガ国からはエクサミさん、アイ国からはあの美人、それと四つの国からそれぞれ四人。
「ファインだ」
「ドレン」
「レートーです」
「パパパパーティータイムよ!」
男が三人、マツコ・デラックス的な人がひとり。
魔法使いとか剣士とか、服装も得意としているものはいろいろだった。
「これからナガレには、彼らを率いて、各国代表の中立部隊として活動をしてもらう」
王様は言った。
「なにか問題があれば、どの国に対しても武力を行使できる権限を持つ。正当性はこちらにあると考えていい」
「国境なき部隊ですね」
国境なき医師団の逆ベクトルという感じ。
「名前はどうする」
「中立隊で」
変な名前がつく前に俺は言った。
「では、中立隊、仮称で」
仮称、いらない。
「積極的に戦うわけじゃないんですよね?」
「もちろんだ」
「そんなことを言っているとなめられるぞ」
ドレンが言った。
「そうそう。ぶっちぎりで強いのに」
「いや……」
「無駄な謙遜は無用な戦いを生む。適切な態度を取れ」
「はあ……」
この一週間、メンバーが決まるまでの間に戦いを申し込まれたり闇討ちされたりした。
俺じゃなかったら死んでいたかもしれない。
そんな人たちと行動をともにする。
嫌である。
俺が困っていると、レスラーさんが笑う。
「お前が、平和を望むから、こうなったんだろう?」
「望んだのは王様ですよ」
「望んでいないのか?」
「望んでますけど」
世界の警察を六人でやることになってないか?
仮に世界が平和になっても、俺のまわりはいつでも危険じゃないか?
戦争状態じゃないのか?
「俺以外の人にやってほしい……」
「だいじょうぶ、世界を移動してても子どもはつくれるから」
ペインゴッドが言った。
なんでこの人が来るんだろうか。
クロノのほうが絶対強いし、王子とか、他にもいるはずなのに。
「子どもはつくりませんよ……」
「すぐはほしくないってこと?」
「結婚もしませんよ……」
「それは制度の問題だからね」
メンタルが強くないとこの世界ではやっていけないのか。
「では、現在をもって、ナガレには拳聖という称号を与える」
「拳聖?」
「世界を平和にするため、王の棺は制限なく使うつもりだ。それを誤りだと感じることがあれば、遠慮なく正してほしい」
「俺がまちがえたらどうするんですか」
「消極的だからだいじょうぶだろ」
レスラーさんが言う。
「積極的になるかもしれないじゃないですか」
「そのときは、すべての力を尽くして止めるだろう。時間を止め、地中深くに埋める、などかな」
「えっ」
やばい。
「そうならないよう、ふだんはお前の体に王の棺を張っておく。ワガ国とナガレの信頼がある限りは、お前の安全は保証されている」
「信頼がなくなったら?」
「ナガレとアイ国が組めば、ワガ国は滅ぶだろう。ワガ国が滅べばナガレの安全も保証されない。敵対するということは、互いの安全も失うし、平和への道も閉ざされる」
「はい」
「拳をもって、ことをなせ。武器がなくなる日を待っている」
王様は言った。
「前向きにがんばります」
俺が言うと、しまらねえなあ、とレスラーさんが笑った。




