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59 発表

 数日後。


 玉座のある広間にはたくさんの人がいた。


 別の国からやってきたという人たちが三人ずついる。

 四つの国から来ているようだ。十二人いる。


 それぞれが、使者としてやってきている人と、二人、という形になっていた。


 玉座にはワガ国の王様と、横にアイ国の王子が立っている。

 あと俺がいた。


「ワガ国とアイ国は同盟を結ぶこととなった」

 王様は言った。


「それに関して他の国々に言っておくことがある。これから、経済的な連携を密にし、協力を深め、世界全体で、幸せを求める世界にしていきたい」


 王様の言葉に対して、真剣な顔をして聞いているように見える他国の人たち。

 しかしその顔はどこか、きちんと聞いている顔を作っているように見えた。

 この場で聞いたことをきちんと持ち帰ろうとしているだけというか。

 平和が第一のこの国が、アイ国の属国になるだけなのに、夢を見ているようだとか。

 いつもそのようなことを言っているのかもしれない。

 なにも響いていないように見える。


「そしてもうひとつ。戦争による侵略行為を不可とし、そうした行為を行った国は、経済の連携の、恩恵を受けにくくする。そういったところから始めていきたい」

 王様が言うと、ん? という顔になる。


「罰で操るよりは利益で動かす。そういう形のほうが望ましいとは、アイ国の意見だ。それには同意する。だが、日々の幸せ、あるいは安全、安定。そうしたことを忘れずにいきたい」

「王よ」


 どこかの国の人が言った。


「それは、世界すべての経済を連携させるというお話か」

「むろんだ」

「いや、今回はアイ国、ワガ国だけのお話だとうかがっているが」

「そんなことはない。すべての話だ」

 王様が言うと、ため息のようなものが聞こえた。


「しかし、こう言っては失礼かもしれないが、ワガ国には国力として、そのような発言をする立場にはない。アイ国が、アイ国で発信するのならわかるが」

 ずいぶん堂々と、はっきり言う人だ。

 でかい国から来てるのか。


「それならば問題ない。国の大きさとしてはそれほどでもないが、いますぐ、すべての国を滅ぼす、に近いことができると考えてほしい」

 王様は真顔で言ったので、どう受け取ったらいいものか、迷っている様子だった。


「これに対して、解答があるだろうか」

 王様が言うと、来賓の国の人たちが、それぞれ国別に半透明の箱で覆われた。


「なんだこれは」

「突破できる者はいるだろうか」

 王様は言った。


「壊せばいいのか」

「好きにしてかまわぬ」

「広間が荒れてしまうが」

「かまわぬ」


 すこし間があって、剣や、魔法などで壊そうとしはじめた。

 だが誰もできないようだった。


「解除しよう」

 壁が消えた。


「これは、大きさも、数も、自由にできると考えてほしい。それがどういうことか、考えてもらいたい」

 王様は言った。


「宣戦布告か……?」

 誰かが言う。


「まったくその気はない。この国はこれ以上国土を広げる気もない。望むは平和である。だが、戦争を減らし、なくしたいと考えている。そのためなら、この力を使うことも惜しまぬ」

「アイ国と協力して?」

「いかにも」

「信じられん。まるで信じられん」

「こう言っては悪いが、アイ国が関係している以上、宣戦布告としかとれないぞ」

 はっきり言う声と、ためらいつつもそれに同意するような声がした。


「それだけの力を持っていて、なにもしないというのか」

「そうだ」

「この会合は、圧力をかけているということだろう」

「そうだ」

 ざわざわと、さわがしくなる。


「そこで、彼を見てもらいたい。ナガレ」

「はい」


 俺が玉座の横から出ていくと、注目された。


「彼は、さっきの壁を壊すことができる。といったところで信じてもらえないだろう。誰か、彼に攻撃でもなんでもしてくれ」

「は?」

「切りかかっても殴りかかっても構わない。なにも通じないことがすぐわかるだろう」

「血で汚れてもかまわないのか」

「むろんだ」


 もうちょっとためらうかと思ったら、客のひとりが俺に突っ込んできた。


 目の前でドン! と踏み込むと同時に拳を突き出して俺の腹を殴ってきた。

 すごい力が腹にたまる。

 よく初対面の相手にいきなりでこんなことができるな!


 そのまま回し蹴りで側頭部を、そこから脚を絡みつけて俺にまとわりついて、なんらかの関節技をきめながら引き倒そうとしていた。

 俺はそのまま立っている。

 力はガンガンたまっている。


 男は俺から手を離すと、ぱっと離れる。

 そしたら後頭部に衝撃が。

 振り返ると、剣を構えた男がいた。

 切った?

 いま、スイカ割りみたいにした?

 信じられない!


「なるほど。ただ者ではないようだ」

「彼を中心として、各国の腕自慢で編成した舞台を結成し、安全装置として働かせるということでどうだろうか」

 王様は言った。

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