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8通目6 ただいまぁー?

8通目もやもや最後です。

もやもやした方。その感覚は正解ですよ!

 先程、『おまわりさん、犯人は私です』と言ってましたが、『おまわりさん、先にこちら方々をお願いします。』と言いたいです。

 えぇと、どこまで書いたっけかなー…



 ◇◇◇



「おま、この前おっぱいプリン研究で萌えてたじゃねーか!」

「馬鹿を言え。大事なのは大福感やマシュマロ感だ。プリンは主義に合わない。」


 私としては、見たままよりは匂わす程度がロマンだと思うのですが…あ、毒されてるかも?そろそろ通報していい?


 ちっぱい万歳と叫ぶのは色白肌に赤銅色の短髪なエルフ。

 二の腕天国と叫ぶのは褐色肌に白銀色の長髪なエルフ。

 お二人とも20代半ばくらいのそっくりな顔立ちで、髪や肌は少し違っても同じ紫の瞳を持ってます。そしてエルフだけに美人さんです。アストさんには負けますが。

 シモな論争を繰り広げている二人を横目に、そぉっと私の足元に来たアマナちゃんとシノブちゃん。ちょいちょいと裾を引っ張って呼ぶので、しゃがんでこそこそ話をします。


「あれは?」

「研究が得意な双子のエルフです。すんごい優秀なんですけどブームが局地的で。最近は童顔ロリータのシノブですね。」

「今度は苔爆弾でもこもこにしてやります!でもアマナちゃんも狙われましたよ?脚ブームの時…」

「ふふん。また奴等の顔に毒噴射してやるわ。トイレと友達になればいい。」

「あー…ちなみに人族界では違法なんだけど、妖精界では子供に手を出すのは合法?」

「「極刑です。」」


 握った拳の親指を立てて、勢いよく首の横切る仕草のアマナちゃんと、キレッキレの動きでその親指を下に向ける仕草のシノブちゃん。

 お話してると、耳をひくりとさせた某エルフどもが、二人揃ってギュルン!とこちらを見ました。エルフって耳がいいのですね。アマナちゃんとシノブちゃんの声は結構小さかったと思っ…あれ?私を見てる?


「「等身大ロリがいる!!」」


 叫んだと思ったら、わーっと一直線にこちらに向かって突っ込んできました。

 また暴走妖精か!と構えたら、ガウン!バリリィ!!と強い衝撃と鋭い音。私の周りに虹色の六角形がいくつも積み重なった壁ができて、暴走エルフは跳ね返され?感電して?痺れている様子。

 そしてケロちゃんとブラックドッグさんが現行犯逮捕。

 ティターニア様のリフレクションが発動したようで、衝撃と反動で吹っ飛ばされて伸びたようです。

 安全が確保され、アマナちゃんとシノブちゃんとほっと人心地がつきました。


「お主ら、相変わらず変態じゃの。」

「ティターニア様!だって、そこに魅惑のちっぱいが!」

「ティターニア様!だって、そこにふくふく二の腕が!」


 そっと自分の胸を触ります。ぺたんこ。将来に期待。次いで腕を摘まみます。ふに。これは確かに気持ちいい。でも、私としてはアストさんのしなやかな上腕二頭筋の方が、安心感があって素敵に思うのですが、そこは男女の好みの違いでしょうか。


「二人とも目をかっぽじってよーく見てみぃ?妾の祝福持ちじゃ。」

「「あ…」」

「そもそも初対面に突っ込んでいく奴がおるか、馬鹿者。規則違反じゃの?罰じゃの?お主らには人族界の研究に出てもらう。この童女の手足となって存分に扱き使われて来い。異論は認めぬ。」

「「え…人族界の少女…?」」


 ティターニア様の声に再びギュルン!とこっちを向く双子エルフ。その目が冷たくて、おじさん妖精たちや薔薇の精の罵声が脳内で再生されて、びくりと体に緊張が走ります。

 そこへぽんと頭を撫でる感触がして、顔を上げるとリリィさんがいて。すっと隣にアストさんも立ってくれて。制圧中のケロちゃんとブラックドッグさんが警戒してくれる。

 皆がもたらす安心感とともに、今度はぐっと腹に力を入れて、むん!と歯を食いしばって、双子エルフを見返します。負けないもん!


「…つり目少女の睨み…」

「ツインテの仁王立ちとは趣深い…」

「『むん』て負けん気漏れてるのがポイント高い…」

「語尾に『もん』とか付いてそうなところが萌えがある…」


 …腹に込めた勇気が急激に萎んで、おずおずとたじろいだのは、恐怖からではありません。

 なんだか新しい沼に突入したっぽい双子エルフの、何かを期待するかのような恍惚とした表情に、地雷踏み抜いてしまった感半端ない…!


「えぇと、当家では女性へのおさわりは禁止します!」


 地面をダンダン叩きながら、絶望的な顔で滂沱の悔し涙を流させたからヨシとします。


 ◆


「ティターニア、そろそろ時間だ。戻らねばならぬ。」


 ブラックドッグさんがアストさんに何かを伝えると、アストさんがティターニア様に暇を告げます。

 テイターニア様が懐中時計を取り出し、パカンと蓋を開けると宙に映像が浮かびます。

 …あれはイリオスお兄様の姿?あとフィーリア様も…春のドレス着てる?


「そうじゃの。人族界ではもうすぐ春告げの時。お主の家族達も待っておろう。供物の礼も持って行け。」


 春告げの時…ってことは新年?さっきまで秋だったのに?!供物って…??

 混乱しているとリリィさんが、異界時間軸の歪みやアストさんたちが人族界を出るときの経緯を教えてくれました。


「ケルベロスに預けておった荷、確かに受け取ったぞ。職人達の愛情のこもった逸品、実に美酒であった。妾は満足じゃよ。ついでじゃエルフども、酒造りも手伝ってやれ。勿論規則遵守でな!」


 ティターニア様がパチンと指を鳴らすと、双子エルフの頭に光の輪が現れます。…あれ、なんか〇遊記でこんな輪っかがあった気が…普通の輪じゃなくて、角は取れてるけど茨模様な分、殺傷力すごそ…

 バチンと嵌るとそのままめり込むように締め付け、打ち上げられた魚のようにバッタンバッタンしております。エルフなのに魚。


「破ればどうなるか、わかっておろうな?研究と言い訳して不躾なマネをするでないぞ?」

「あがぁ!!」「ひぎぃ!!」

「どうにも落ち着きがないからのぉ~?その性根もあの家で叩き直してもらおうかの。」

「ふぐぅ!!」「ほげぇ!!」


 悲鳴の五段活用。


 ニタァと笑ったティターニア様に、ギリギリと絞められ痛みに悶え転がった双子エルフは、燃えつきたように静かになりました。


「はぁはぁ…ティターニア様の絞め技が光る…」

「ふぅふぅ…この穿つような強さが堪らない…」


 黙っていれば美人なはずのエルフが、残念ポイントが偉大すぎて、最早『美』の字が見当たりません。そして我が家の一部使用人達と同族臭がしたのは気のせいでしょうか?


「ふん。魔王ぞ、これなら出しても文句はなかろう?」

「む。威力と時間は?」

「妾が許すまで外れぬ。威力は本人らの疚しさに比例する。電撃系も神経毒系も含むランダム仕様じゃ。防ぐことは叶わぬ。」

「よかろう。では、まとめて影で移動する。ノームたちはデュラハンに掴まっておけ。ブラッグドッグ、入口を。」

「ウォン!」


 ブラッグドッグさんが鳴くと床に黒い穴ができ、先にアマナちゃんとシノブちゃんを抱っこしたリリィさんが入り、ぽぽいと双子エルフを放り込むケロちゃん。


「シャルよ、大樹の実を与えられし童女。妖精界の入口はすぐ近くにあるぞ。妾の祝福で視えるようになったからの。何かあればそこから参れ。必ず呼び鈴を鳴らしてな。」

「ティターニア様、ありがとうございます。お世話になりました。」


 ぺこりとティターニア様に暇の挨拶をすると、アストさんにだっこされました。高い。近い。あぅあぅ。


「シャル、つかまっておけ。」

「暗き小路でも酔うでないぞ~」


 アストさんはブラックドッグさんを連れて、そのまま穴へと踏み出し、その肩越しに「いってらー」とひらひら手を振るティターニア様を視界に入れてた直後。


 一瞬の浮遊感と、背中からぶわっと落っこち、ぐおおっと重力に引っ張られる感覚。

 そのまま前後感覚があべこべになり、夜のジェットコースターに乗ってるが如く、縦に回り、横にひねり、斜めにうねり、一瞬ふわっと浮いたかと思えば、天地がひっくり返って、暗闇のトンネルを猛スピードで突き進んでいきました。

 (重力加速度)がかかりすぎぃぃぃぃ!!


「えぇんじゃないのーーーーー?!!」



 スポンっと出たのは、マホガニーとインクの香る場所。

 アストさんに抱えられてたおかげで、地面への衝撃もなく降り立ちしました。

 ハァハァ…こわ、こわかっ…こわかったよぉ…!!

 ぐったりと抱き着いていたアストさんから、そろそろと顔を上げて見渡すと、本国侯爵邸家長の執務室。


「お帰り。シャル。」


 にこにこ笑顔と聞きなれた家族の声。


 と。


「さて、補習かな?」


 聞きなれたくなかった補習宣告。

 久しぶりの再会は感動より恐怖の震えを伴いました。


 ◇◇◇


 アストさんの影の道を通り、私と同じくヘロヘロになってるノーム組と、それを介抱している妖精族リリィさんとブラックドッグさん、足をがくがくさせながら「あそこの抉るようなカーブが良かった」「遠心力のある水平回転も欲しい」と議論している変態エルフズ。

 同時に「それはどんな感覚だ?恐怖心か?再現できるか?」「ワイバーンで宙吊りか?」「ドラゴンの方がスピードも出るだろう。」「訓練に取り入れるのも面白そうだな」と会話に参加するお兄様たち。

 ついでに「あら?ベスさんの鏡移動も三半規管を鍛えられますわよ?」「スピードはないけれど、錯覚の技術は特上でしたね。」「複合型ができればいいのですが…」ときゃいきゃいしているお母様とフィーリア様。

 最終的に『セバス式(おためし版)』体験で、きゃーきゃー歓喜している相変わらずなアシュリー家を見て、帰ってきたんだと安心しました。


 立って歩こうにも平衡感覚が覚束ず、転がる前にアストさんに再回収される私を見て、「一歳児歩きのお嬢様もかわいい!」と悶えてるシエラさんは、今日も平常運転です。


 乱筆乱文にて、初めての異界(強制連行)の波乱ぶりが伝わったかと思います。

 ソファに座るアストさんの膝に乗せられたまま、にやにや顔の家族に経過報告をするという公開羞恥プレイをしてますが、私は今日も元気です。

 末筆ですが、私に期待できない分まで、お姉様の益々のご活躍をご祈念申し上げます。


 かしこ。

最後のやらかし内容を分析。

美形キャラでポジション取れるはずのエルフ達が、『キャラが濃くて存在が薄い』という『あべこべ』でもやっと。

たぶん、ヴァンパイアよりもキャラ薄い。

そして、おうち帰ってきたし、ここで終わらせる残酷さ。←ここテストにでるよー


次回から裏へ入ります。


(余談:あの妹も帰ってきました~ 活動報告参照)

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