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『奥義! 熊爪無双撃!』


 元はハークという人間だった者は今では腕を身体中に生やして人間型の不気味なツリーになっている。その腕を熊の爪が殴る都度に折れて千切れて弾け飛び、丸裸にしていく。


『ラストォォー!』


 最後の一撃がハークの頭に入るとその衝撃で頭が弾けとんだ。


『お姉さま! 殺りましたよ!』


 誉めて誉めて~! と頭を出してカーリンに近寄るアルッテに、


『うん……助かった』


 つまらなそうな顔をして頭を撫でる。結局、最後までハークからは血の一滴も出なかった為に気落ちしているのだ。


『それで、四郎は?』

『見事に補職されてますって感じですね』

『……は?』


 アルッテが見ている方を見ると、体からいろいろ出しすぎて干からびちゃってる。勇者に守られる虹香とそれに蔓を巻き付けようと巨大な花。その傍らで人型の蔓の塊がもがいている光景だった。


『四郎は?』

『あの塊です。さっきより動きが鈍くなってますね』

『四郎ぉぉぉーー!』


 カーリンは月狂魔花に突撃していった。


「あっ!」

「うおっ……」

「アフン!」

「らめぇぇっ!」


 鞭のようにしなりながら無数に飛んでくる蔓を剣で受けとめ、弾き返しているが、時折、重い攻撃に受けとめきれずにお尻に手を当てながら限界に喘いでいる。それを聞いて少しずつ虹香は立ち上がれないまま後ずさる。このままではいろんな意味で危ないそう思った。


『四郎! 今助けるぞ!』


 両手に鉈を持ったカーリンが蔓で何重にも巻かれた四郎に走る。


『血飛沫噴流斬!』


 すれ違い様に煌めく銀光が四郎の回りを舞った。そして四郎の全身から血飛沫が吹き出した。


『あ、蔓を切り忘れた』


 どう見ても生存可能な量の血以上を流して足元に血溜まりを作っている四郎の蔓を切り、助け出す。


『四郎、しっかりしろ!』

「止め刺したの貴女でしょ!」

『……大丈夫だ。傷は浅い』

「あんだけ血を流して、浅いわけ無いじゃない!」


 その時、抱き抱えられていた四郎が目を開けた。


『四郎、大丈夫か!』

「くっ、ダメだ。このぶんじゃどうにもならない。勇者……後を……頼む……ガクッ?」


 一芝居して満足した四郎は気を失った。


「……大丈夫そうね」

「四郎! お前の敵は取る!」


 涙を流しながら蔓を迎撃している勇者に背後から声がかかる。


『そろそろ、突撃しようか』

 

 背後に立っていたのはアルッテだった。勇者の両肩に手を懸けて押そうとしている。


「いや、ここから一歩でも動くと出ちゃいそうで」

『貴方の良いとこ見てみたい~♪』

「どこの飲み会だよ! いやマジで出るから。大惨事になるから!」


 押し問答している間に月狂魔花が動き始めた。食虫花の本性を現して花の中に尖った歯がびっしり生えた口が出来る。


『さあ、行くんだ! 四郎の敵を討つんだろ!』

「だから! 動くと出るって!」

『動かなきゃいいんだな?』


 そう言ってアルッテは背後に引く。そこから助走して、


『逝ってこい!』


 勇者の尻を蹴りあげた。


「ああぁぁぁ! 今、ちょっとでーー」


ーーパクッ!


 大きく口を開けた月狂魔花に飲み込まれた。


『勇者よ。君の勇姿は忘れない!』

「ああーー! 勇者さんが!」


 アルッテと虹香が勇者の御冥福を祈っていると、また、地面が揺れ始めた。


「わわわ、今度もひどいですよ! 立ってられません」

『南無~~』

「何で、普通に立ってんのよ!」


 地面が割れて月狂魔花の根が飛び出し、力無く垂れ下がる。そして月狂魔花も花びらを散らし枯れてしまう。


「何がどうなったの?」

『ウチの力だ!』

「何もしてないよね!」


 枯れた月狂魔花の花の部分から勇者が這い出してきて、泣きそうな顔で、


「ズボンとパンツ下さい」


 そう呟いた。


四郎は体に傷をおった。


勇者は心とパンツに汚点を残した。


ウマイ? ノーウマイ?

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