22.行動
俺は二人に合図を送り、左右に散らばる。
相手は集団で行動している。
つまり、ある程度固まって動いているわけだ。
池は森の中に、ぽつんと円状に広がっている。
俺たちは山賊たちを左右から攻撃、攻め入ろうとしている。
息を殺しながら、森の中を歩く。
レイレイに視線を泳がすと、彼女は小さく口を動かしていた。
多分魔法の詠唱をしているのだろう。
彼女も彼女で、山賊に攻撃を仕掛けようとしている。
事実上、山賊は完全に包囲されているということになる。
逆方向にいるイヴに視線を送り、こくりと頷く。
向こうは向こうで準備はできたらしい。
それなら――俺たちのターンだ。
多少はバレてもいい。
速度を出しながら、山賊たちに接近する。
「動くな!」
「やっべ……」
一人の山賊が俺に反応した。
それと同時に、五人全員が俺の方に武器を構える。
こいつら全員を相手にするのはさすがに無理があるが、後方にはイヴとミーアがいる。
少しは無理をしてもいいだろう。
「お前らがエルフを狙っている輩か」
レイレイの名前を出すのは不味いと思い、俺はナイフを構えて叫ぶ。
「おいおい! てめえも同業者か?」
山賊の一人が――多分、グループのリーダーだろう。
スキンヘッドの男が笑いながら、こちらに近づいてくる。
「すまねえがエルフは俺たちのもんだ。ここは退いてくれねえか?」
斧を片手に、口角を上げて言ってくる。
「いや、俺は同業者じゃない。彼女の護衛だ」
そう言うと、男の眉がぴくりと動く。
怪訝そうな表情を一瞬見せたかと思うと、後ろの子分たちに語る。
「聞いたか? こいつ、エルフの護衛だとよ!」
「こりゃおもしれえですね!」
「こんなへなちょこが希少種エルフの護衛だぁ?」
「馬鹿みてえじゃないか!」
子分たち含め、腹を抱えて笑い出す。
……そんなにおかしいかよ、俺が。
「つまり、俺たちは第三村のやつらに嵌められたってことか! でもよぉ、お前みたいなやつが相手とはな!」
スキンヘッドがこちらに歩いてきて、肩を叩いてくる。
「山賊なめんじゃねえぞ? こっちは本気なんだ」
スキンヘッドの顔に表情がなくなる。
静かに、斧をこちらに向けてきた。
超至近距離。回避なんでできるわけもなく、ただ俺は立ち尽くす。
「俺はよぉ、こういうなめた輩を相手するのはよぉ、超超嫌いなんだ。特にお前みたいなクソガキを相手するってなると、虫唾が走る」
斧を逆手に持ち、刃じゃない方をこつこつと腰に当ててくる。
「お前さ、邪魔。こっちは商売なんだ。一回死んどけ」
言って、斧を構える。
思い切り振りかざし、そして俺に向かって放ってきた。
瞬間――金属音が鳴り響く。
「は、ははは……お前もあまり人をなめない方がいい。お前らと同じように、こっちも何回も何回も修羅場を乗り越えてきたんだ」
相手の斧がミシミシと震えるのを感じる。
俺が持つナイフが悲鳴をあげているのも分かる。
さすがに斧相手にナイフで対抗するのはキツかったかもな。
「最近も、修羅場を一つくぐり抜けてきた」
「なっ……!?」
相手の攻撃をナイフで防ぎながら、俺はギリギリの笑顔を向ける。




