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33『紫雷』
ハーヴィとエリーの衝突により起きた爆発で、海の三分の一が蒸発しました。蒸発した水は爆風により舞い上がった塵を含み黒い雨となって地上に降り注いでいます。その結果、寒々しいブルーであった海は濃いブルーグレーとなってしまったのです。
「うっ……おえええっ! おえええっ!」
クロネコは、焼き尽くされほとんどのものがなくなってしまった世界を、何度も嘔吐しながら歩き回っていました。
「おええっ……うえっ」
吐き出されるのはほとんどが血液。中にはがれた胃の内壁も混ざっています。それでもクロネコは休みません。エリーを探し続けているからです。
「エリー……あ……」
欠片でもいいから見つかってほしい。そう思うと涙が流れ、その刺激で目のふちの皮膚が崩れました。鼻血も止まりません、どれだけ自己再生を繰り返しても体が安定しないのです。
「エリー……おえええっ」
黒い雨を降らす雲は世界を覆ったまま。バキンバキンと紫色の雷光が闇の中を何度も走っていました。
「あの力があれば……あの……紫の……おええええっ」
鮮烈で強烈な雷光を自分のものにできれば……と思いかけたところで、クロネコの心が折れます。
「今さら、強くなっても……遅い」
守りたい、助けたいエリーはもういないのです。




