49.ティアと歩くと
結局馬に乗れなかった俺は、道中ティアに慰められながらとぼとぼと歩いて帰る最中である。
この時間で気付いたのだが、
・・・合法ロリの頭撫で撫で、アリだな。
一所懸命に背伸びしながら項垂れた俺の頭を撫でるティアちゃん(28)めっさ可愛い。
しょぼくれた俺は新たな扉を開いた。
大人だって誰かに慰められたり甘えたりしたくなるんだよ。
歳食うとそういうの表に出すのが、若い時より下手になったり恥ずかしくなったりなるから、
こういう機会は割と嬉しかったり。
あ・・・今より若い時ってことよ? ほら、学生時代とかな?
「サンキュー、ティア。 ちょっと元気出てきたよ」
「む? そうですか! それならば良かったでする」
俺の言葉に対し、にぱっと笑って返事をしてくれるティア。
あー、癒される。
暫くあのまま撫でられていたい気もしなくも無いが、ここは往来であるし、そろそろ切り替えねば。
「さて・・・まだ時間もあるし、気晴らしに酒でも呑もうかね」
「おお! 酒ですか! 拙もお供しますぞっ!」
「お? ティアは酒好き?」
「ええ! 酒は好きです! 拙だけではなく、竜人族は基本的に酒が好きな種族ですゆえ!」
「ほほう、そうなのか」
「はい! 強い酒でもいけますぞ!」
そんなティアの反応に、竜人族では無いが、竜であるデトも酒好きだったし、
他の竜もそんな感じだったなってことをふと思い出した。
・・・そういや日本神話のヤマタノオロチも用意された酒を喜んで飲んで、
酔い潰れて寝オチしたところをぶっ殺されたんだっけ?
世界を問わず、竜は酒が好きなのかね?
ま、そんなことはいいか。
「よし、じゃあ先ずは店探さんとな」
「ですな!」
そうして俺とティアは歓楽街に足を伸ばし、酒場を物色することになった。
現地で店を見て回るが、いまいちピンとくる店が無い。
ふむ・・・どうしたもんか。
「うーむ。 なかなかコレ!って感じの店がないな・・・」
「むぅ・・・そうですなぁ」
「あれ? おっさんじゃん。 おーい!」
「さて、次はあっちの方に行ってみるか?」
「おーい!おっさん!」
「ああ、あちらの方にはまだ行ってなかったですな・・・えと」
「だよな、じゃあ・・・」
「オイ!!無視すんなよ!おっさん!! 歳のせいで耳まで遠くなってんのか!?」
なんかさっきから聞き覚えのある声がどこかのおっさんを激しく呼んでいる。
どんだけおっさん好きなんだアイツ。
ソッチなのか?
「やめなよジェフ。 呼び方呼び方。 いい加減怒られるよ? コウさーん」
「お? ロイくん」
名前を呼ばれたので、声がした方を向くと、いつぞやギルドで会った冒険者のロイくんが居た。
見るにオープンテラスな店で酒を飲んでいるようだ。
まぁ、オープンテラスとは言ったが、机は樽で椅子は木箱なんだが。
声をかけられたし、折角だからとロイくんの方に近付くことにした。
「こんにちは、コウさん。 ギルドの外で会うのは初めてですかね?」
「そういやそうだね。 ロイくんも呑みに来たのかい?」
「おい!! 俺を無視すんなよ!!おっさん!!」
「うん。 今日は早く依頼が片付いたんでね」
「なるほどなぁ」
「おいってば!!!」
遂に痺れを切らせたジェフに右から肩を掴まれる俺。
仕方無しにジェフの方を向いてやる。
「ああん?」
「さっきから何で無視すんだよ、おっさん!」
「俺は“おっさん”じゃねぇ! “お兄さん”だ!!」
その言葉と共に俺は目の前のジェフへと『ぶっ殺ビーム(弱)』を当てる。
「・・・うっ!」
「ほら見なよ・・・」
『ぶっ殺ビーム』を受けてたじろぐジェフを見て、呆れたように溜息を吐くロイくん。
「ところで、折角だし相席していいかな?」
「あ、それは勿論。 というか、ジェフもそのつもりで声を掛けたんじゃないかな?」
「お? そうなのか?」
おいおいなんだよ、まさかのジェフがツンデレルートか?
コイツも意外と可愛げあるじゃないか。
「は!? いや違ぇし!! ・・・いや、違くねーか」
「どっちなのさ?」
「・・・合ってる。 おっさんとは一回話をしてみてーとは思ってたから」
「ほほう、そうだったのか。 だが俺は“お兄さん”だぞ、“オレンジ”」
「だから俺を“オレンジ”って呼ぶなって言っ・・・わかったよ、おっさ・・・コウ・・・さん」
「うむ」
オレンジもとい、ジェフが折れたので鷹揚に頷いておく。
「はいはい、解決でなにより。 ところでコウさん、後ろの子は?」
俺とジェフがの話が一段落したところで、ロイくんが俺の後ろで黙ったままでいたティアに目を向けて
訊いてくる。
おお、そういや2人とティアは初対面だったか。
「ああ、彼女はセンティアといって―――」
「拙は今、紹介にあずかったセンティア。 ご主人の奴隷をしている!」
「―――まぁ、そうな」
紹介をしようとしたところ、途中でインターセプトされた俺。
インターセプトしたティア。
「奴隷、なんだ。 あれ?でも確かコウさんて―――」
「奴隷!? アンタ、ミリアルテさんというものがありながら別の奴隷だと!?」
「そうそう。 ミリアルテさんも確か、そうだったよね」
「まぁ、落ち着け。 特にジェフ。 取り敢えず俺の話を聞け」
「・・・聞いてやろうじゃないか」
「お、今度は素直だね」
「うるせーよロイ」
「まぁまぁ。 んで、そうだな・・・あ、ジェフは確か、こないだ冒険者ギルドで俺が子ども等を連れてるの見たよな?」
「ああ、そういえば3人連れてたよな・・・ってまさかあの子達も!?」
「違ぇよ」
どんだけ奴隷好きなんだよ俺。
「おお、そうか・・・」
「えーと、子ども達?」
「あー、ロイくんは見てないもんな。 実は今、3人の子ども達を預かって・・・保護して?るんだが―――」
ということで、ティアと並んでジェフ・ロイコンビのテーブルに着きながら、今の状況の説明をする。
勿論サキュバスたんのくだりや奴隷商館でやらかした辺りはそっと伏せておく。
「―――とまぁ、そんな感じで。 ティアは一時的な契約の奴隷なんだよ」
「拙はこの件が終わった後も、ご主人に付いて行きたいのですが・・・」
俺の説明に若干しょんぼりした感じで、こちらを上目遣いに見てくるティア。
やめれ。
可愛いからやめてくれ。
「マジかよ・・・嬢ちゃん、物好きだな。 っていうか、この街でそんなことが起きてたのかよ」
「コウさんモテるねー。 あ、ジェフは知らなかったかもしれないけど、僕はたまに人攫いの噂は聞いたことあったよ?」
「え!?」
「・・・あれ? 待った。 ジェフもこの間、レイさんに聞いてなかったっけ? 確か道具屋の息子さんがって話」
「道具屋の息子・・・・・・・・・あ!」
「思い出した?」
「お、おう・・・」
「むぅ・・・嬢ちゃん・・・」
どうやらジェフは脳筋寄りっぽいのか、ロイくんが普段からこうやってフォローしてそうだなー。
とか思ってしまう。
にしても、道具屋の息子ねぇ・・・。
そんなことも起きてたのか。
明日、スストゥムに会う時にチラッと訊いてみるか。
それとは別に・・・明らかに自分より年下な相手(ティアから見て)から嬢ちゃん呼ばわりされた
ティアちゃん(28)が不満そうなのでなんとかせねば。
「なぁ、2人とも。 ちなみにティアは28歳だぞ?」
「「え!?!?!?」」
「はい」
「「マジか!!!」」
息ピッタリだな、お前ら。
そして、やはり驚いたか。 気持ちはよく分かるぞ。
やっぱティアの見た目はロリだよな、うん。
「いやー、びっくりだ」
「マジかよ。 今日イチの驚きだわ・・・」
「・・・そんなに不思議ですかな?」
「え? あはは・・・いやぁ」
「それは・・・そのっ」
「・・・むぅ」
ティアの問いかけに対し、返答に詰まるロイくんとジェフ。
あら、ティアが更に微妙に機嫌を損ねてしまったようだ。
取り敢えず話題変えようかね。
「ま、そんな話はさておき、折角だから呑もうか」
「んー・・・ですな!」
「お、おう!そうだな!」
「ええ、そうしましょうそうしましょう」
そっからは酒を飲んで、ジェフたちの依頼達成やダンジョンアタックの冒険話を聞きながら1時間ほど過ごした。
ここで意外な事実が判明したのだが、実はティアは奴隷になる前は冒険者をしていたらしく、殊の外話が弾んだ。
機嫌も直った様で何よりである。
こうして話を聞くと、やっぱ行ってみたくなるよな、ダンジョン・・・。
この件が終わったら、俺の一度行ってみよう。
そして、彼等と別れた俺達はギルドでミリィと合流し、宿へと戻った。
お読みいただいて、ありがとうございました。




