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39.挟まれて朝を迎えると

瞼に当たる陽の光に煩わしさを感じて目を覚ます。

目を開いて天井を見ると、洞窟の岩肌ではなく、人工的な木製の天井が目に入った。

やはり現実はデトの家では無く、ミリィの部屋で寝ていた。

そのことに微妙な寂しさを覚えつつ、カーテンの隙間から漏れている陽の光に目を細める。



「やっぱ夢だよなぁ・・・」



誰に向けるともなくそう呟いて、溜め息を吐き深呼吸をする。

いいニオイがした。

身体の感覚も意識に追いついて起きてくると、己の身体を両側から挟む感触がはっきりと感じられた。

そこで思い出す。



「そうか。 夢の中でのおっぱいパラダイスは逃したが、今俺はおっぱいサンドの具だったか」



口にしてから気付いたんだが、今の呟きを2人に聞かれてたら最悪だよな。

恐る恐る両脇のティアとミリィの様子を首だけ動かして見てみると、2人の口からは規則正しい寝息が漏れ、

穏やかな寝顔をしていた。

ちゃんと寝ている様だった。

あぶねぇ。

2人の寝顔を見てるとなんとなく穏やかな気分になる。

腕枕をしたままだったので、その腕の肘から先を動かし、2人の頭をそっと撫でてみる。



「ん・・・にゅぁ」


「ん、ふふ・・・」



2人からは緩む口元と共にそんな反応が返ってきた。

ちなみになんと前者がミリィで、後者がティアの反応だ。

この反応だけ見てると、ティアも年齢相応だよなぁ。

等と思ってしまう。

あんまりやって起こしてしまうのも悪いので、俺は撫でるのを止めて壁の時計に目を遣る。

時刻はまだ5時半を少し回ったところだった。

まさかこんなに早く目が覚めるとは・・・老化だろうか?

いや!そんなことはない!!・・・な、うん。

たまたまだ、たまたま。

たまたまで思い出したのだが、俺は現在また困ったことになっている。

気持ち的には2人のお陰で穏やかでもあるのだが、しかし女体の感触を両側から引っ付かれて強烈に感じていると、どうにも股間がヤバい。


朝勃ちの効果と2人の匂いも相俟って、うちの息子は授業中に教師に当てられた生徒の如く起立したままで、一向に着席する気配を見せない。

当てられた問題が難しかったのだろうか?

まぁ、実際現状で大人しくされるってのは難問には違いないのだが・・・。

取り敢えず・・・二度寝しよう。

この状態で2人を起こさずにベッドを抜ける自信も無い俺はやってきた眠気の波に身を任せて二度寝した。



次に目が覚めると、俺はベッドで1人で寝ていた。

なんだろうか。 この寂しさは。

何とも言えぬ気分になりつつ、先に起きていたらしき2人の声がするダイニングへと、簡単な身支度を済ませてから向かう。

ちなみに息子はちゃんと着席していた。



「おおおおおはようございますご主人っ!!」


「お、おはようございます、ご主人様・・・」


「おはよう、2人とも・・・」



なんだろうか? 2人の態度が妙だ。

特にティアの狼狽っぷりが酷い。

手を胸の前でもじもじと動かしながら目線もキョドッてる。

ミリィも落ち着かない感じだ。

それに2人とも微妙に頬が赤いような・・・?



「どうかしたのか?」


「えぅっ!? いや、その・・・!」


「ええと、なんでも・・・ない、ですよ?」



言いながら2人の視線はチラチラとマイサンに向かっている。

今は臨戦態勢ではないので、問題は無いはずだが。

・・・うん。 確認してみても大人しいものだった。

どうしたことか。

取り敢えずストレートに訊くか。



「いや、その反応は何でも無くはないだろ。 なんかあった?」


「それはその・・・」



そう呟きつつチラリとティアを見るミリィ。

見られたティアもティアを見てから、大きく1つ頷き俺に向き直る。

すると頬を赤くしつつもキリッとした顔で口を開いた。



「申し訳ありませぬ!ご主人! 拙は、拙は! ご主人のイチモツに寝惚けて齧り付いてしまいました!!」



そう言って頭を勢い良く下げた。

え? 齧った? てーかイチモツってあなた。

ティア、オレ、マルカジリ?



「え? ・・・かじ?」


「うぅ・・・はい」



不安になって思わず股間に手をやるが相変わらずちゃんとぶら下がっている。

痛みも異変も無い。

齧られたって話の件でちょっと玉がヒュンってなって縮こまった位なもんだ。



「ふぅ、なんとも無いみたいだが・・・どういうこと?」


「その・・・拙が今朝起きた時の話になりまするが、一度上半身を起こしたものの、起き抜けの頭でその、そのまま前のめりに倒れてしまいまして・・・」


「なるほど?」



ティアは朝弱いのか?

竜人だけに爬虫類的な要素か?

いや、デトは平然としていたし、寝起き悪いドラゴンは2〜3体しか知らない。

事態が良く理解出来ず頭が空転する俺。



「そこでその、丁度顔の真横にソレが来る姿勢になったのですが・・・寝相でちょっと頭をズラしたところ、その、ソレが拙の頬を当たりましてな」



なんだと? ただのボーナスじゃないか。

そのぷにぷにほっぺにイタズラしていただと?

親の寝てる間に・・・親不孝者め!

己の息子の所業が恨めしい。

いや、そうじゃねーな、うん。



「それはまた、何と言うか・・・」


「そして寝惚けた拙はソレをはむっ!と横合いから食んでしまいまして・・・感触の妙さから目を醒まして、ヒャーッ!と騒いでしまいましてな・・・」


「そこで、その、わたしも起きて・・・ですね?」


「その状況で俺だけ爆睡してたと」



おい何してんだよ。

ナニされてんだから起きろよ俺。馬鹿かよ。

・・・あ、馬鹿でしたね、すみません。



「あ、それもそうなのですが、その・・・怪我をされていたら大変だと思って、その・・・」


「ミ、ミリアルテ殿と2人で、無断でソレの状態を確認させて頂きました次第で・・・!」


「・・・え? 見たの?」


「「うぅ・・・はぃ」」



つまりアレか?

2人掛かりで脱がせて確認したと?

・・・次は起きてる内にお願いしたいものだ。

とは口が裂けても言えないし、恥ずかしいのもまぁ、少々ある。

つまりここは・・・



「もうお嫁に行けない」



こう言って項垂れる場面だな。

そう思ったのでそうしてみた。



「すすすすみませぬご主人!!」


「だ、だだ大丈夫です!ご立派でしたから!」


「ああ、それは確かに!」


「ですよね!・・・て、あああ違います違います!そうじゃなくて!その・・・いざとなったら、わ、わたしがお嫁に貰いますから!」


「せ、拙も!齧った責任を取り、婿に入ります!!」


「いや、2人とも女だから婿にはなれんだろ?」


「「え?」」


「あ」


「ぷっ」


「「うぅ・・・」」



しれっと素で返すとミリィとティアがハモった。

ミリィが固まった。

俺が噴いた。



「冗談だよ、冗談。 気にしてないから。 さ、ちゃっちゃと支度しちゃおうか」



そんな心温まる(俺だけ)コミュニケーションを取りつつ、めいめいに朝の支度と軽い朝食を終えると、俺達は3人で連れ立って皆が待つラープテンのスウィートルームへと向かったのだった。


・・・微妙な空気を残しつつ。

お読みいただいて、ありがとうございました。

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