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22.2人に説明をすると

3人でスウィートルームの中にある寝室の1つに入る。

部屋のドアは念の為に施錠しておく。

寝室は大きめのベッドが1つに2人掛けのソファーが1つ。

それとベッドのサイドテーブルにクローゼットが1つずつ。

サイドテーブルの上には白い花瓶が置かれ、中には赤い花が1輪挿してあった。



「まぁ、適当に腰掛けようか」



俺はベッドに腰掛けながら、そう言って2人にもソファーを促す。

すると、デクスターは背負っていた盾をソファーの脇に下ろし、そのままソファーに腰掛ける。

ミミルは壁に杖を立て掛けると、何故かソファーではなく俺の横に座った。



「あれ? ミミルはあっち・・・ソファーに座んないのか?」


「適当に腰掛けていいのよね? なら、ここでもいい筈だわ」


「いや、まぁ・・・」


「すまんが、ミミルのことは気にしないでくれ。 そいつは一度興味を持ったら、興味を持った対象に人だろうが物だろうがのめり込みがちになる」


「えぇー・・・」


「今日はむしろ、今までよく我慢していたなと思ったよ」


「子ども達が居たもの。 私もそれ位は弁えるわ。 それに・・・」


「それに?」


「あのサイズのソファーにデクスターと並んで座ると、何かの拍子に身体に鎧が当たって痛いのよ」



そう言いながらジト目でデクスターを見るミミル。



「それは・・・すまない」


「ああ、なるほど・・・」


「俺としてはギルドで会った時からクールビューティーなイメージだったから、割とビックリだわ」


「あら? そんなイメージを持っていてくれたのね?」


「まぁ、外見だけならそうも見えなくも無いからな。 コウの言わんとするところも分からなくは無い」


「デクスター? 今、外見“だけ”と言ったのかしら?」


「いや・・・!」


「まぁまぁ。 取り敢えずミミルがスタイルも良いクール系美人って事実は動かないんだから、いいじゃん。 取り敢えず話をしようぜ」


「・・・そうね」


「あ、ああ。 そうしよう!」


「で、だ。 2人は俺にどんなことを聞きたい?」


「うーむ。 そう言われると少し迷うな」


「そうね・・・。 聞きたいことは割と多いのだけれど、何から訊くべきかしら」


「答えられる範囲なら何でもいいぞ?」


「ああ、じゃあ先ず1つ目だ。 何故コウがEランクなんだ?」


「俺が冒険者生活3日目のド新人ぺーぺーだからだな」


「冒険者生活3日目・・・?」


「ああ」


「・・・その前は何をしていたのかしら?」


「ド田舎の辺境で狩りをして生活をしていた」


「狩りをする前は商人をしていたと言っていたわよね?」


「ああ。 商人的なことな。 それをある事情から止めざるをえなくなって、その後に出会った友人達から、狩りの仕方やななんやらを習いながら生活してたんだよ。」



|ある事情(異世界転移)で地球の仕事を失ってニートになって、この世界で出会った友人達デトとスペじいに狩りの仕方やら世界のことを教わり、他の友人達(山森の知性ある魔物)にも色んなことを教えてもらった。 魔法の使い方とか道具の使い方、食べられる物、食べられない物、便利な物など。

変わりに地球産の知識で役立ちそうなことをいくつか伝えられたが・・・やっぱ俺が受けている恩恵の方がデカいな。



「そう。 そのとある事情というのは?」


「それは・・・」


「言いづらいことなのか?」


「あー・・・。 まぁな。 だが、誓って犯罪なんかじゃないぞ?」


「その事情は、ミリアルテは知っているのかしら?」


「ん? ああ。 勿論ミリィは全部知ってる」


「私達に教えられない理由は?」



そう言いながら身を寄せられ、間近で顔を覗き込まれる。

そんな場合じゃ無いのに、ドキッとしてしまうところが我ながら節操無いと思う。

・・・や、それは今更か。



「・・・ミリィはこの理由を訊く為に《誓約魔法》を受け容れてる」


「《誓約魔法》・・・」


「そこまでする必要がある話なのか・・・」


「・・・誓約魔法の禁を破った際の罰則は?」


「・・・奴隷化だった」


「なっ!?」


「そう。 だからあの子、貴方のことを“ご主人様”って呼んでいるのね」


「まぁ、そういうことだ」


「ミリアルテの様子を見る限り、酷い扱いはしていないようね」


「そりゃ勿論。 ミリィだって望んでなった訳でもないからな。 それに奴隷の扱いって、正直よく分からん」


「でも、誓約魔法の禁を破った罰則なのよね?」


「ああ。 あー・・・ミリィの場合は不幸な事故で破らざるを得なくなったというか・・・事故?」


「事故・・・? よく分からないけれど、確かにあの子は進んで自ら禁を破るような子では無いわね」


「まぁ、そうな。 ミリィ本人も破るつもりが無くてのことだったみたいだからな」


「・・・ちなみに、私達も誓約魔法を受け容れたらもっと詳しく色々と教えてくれるのかしら?」


「・・・まぁ、うん」


「取り敢えず、他のことも色々訊いてから考えよう。 コウは、何故あの時に俺達が居た場所に現れたんだ?」


「あの時は、丁度俺もマルレットを目指して移動しているところだったんだよ」


「そうか。 なら単純に偶然通り掛かってくれた訳だな」


「そうなるな」


「コウ、貴方は実際、どれくらい強いの?」


「あー・・・うーん・・・そう、だなぁ・・・」



何て言ったらいいのか。

バラさない保障が無い相手にはどんだけ言っていいんだろうか。

一度見られてるから、余り低く見積もる訳にもいかないし・・・。

まぁ、この2人がおいそれと俺のことを吹聴するとは思っては無いんだけど。



「あー、グレートボアっているだろ?」


「え? ええ、いるわね。 それが?」


「アイツの鼻っ面を一発叩いて首の骨をへし折って殺せる程度には強いぞ」


「・・・一発で、か?」


「ああ。 こう、ぺしんっと」


「ぺしん・・・」


「デクスター、貴方は出来るかしら?」


「いや無理だ。 俺も単独で倒すことはできるが、何度か攻撃して弱らせてから止めを刺さなければ倒せない」


「そう・・・。 デクスターはCランクの中でも、贔屓目無しでBランクに近い実力があるわ。 そのデクスターにも出来ないことが出来るとなると・・・。 コウ、貴方は最低でもBランク以上の力があるのね」


「いや、思い出せ。 “豪斧のイワン”も一撃だったんだ。 最低Aランク以上だ。 それもS寄りのAだ」


「そうだったわね。 そう、その件でずっと気になっていたのだけれど、貴方は本当に人族なのかしら?」


「え? いや、普通に人族だけど」


「では、あの“黒い竜の腕”は、なんだったの?」


「それは、俺も知りたいところだな。 これは答えられるか?コウ」


「ああ、あれは魔法。 詳しくは言えないが、そういう魔法なの」


「では人化した竜や、竜人族ではないのね?」


「ああ。 違うよ」


「あれが魔法か・・・」


「コウ、私は誓約魔法を受け容れるわ。 もっと詳しく教えて頂戴」


「え!?」


「デクスター、貴方はどうする?」


「・・・俺は、止めておく。 知りたくはあるが、そこまでは」


「分かったわ。 それで? コウ、どうかしら?」


「いやー・・・。 ミミルは何でそんな知りたいんだ?」


「・・・私は力が欲しいの。 もっと強くならなくちゃいけない。 でも、私は素質的に剣術や近接戦闘のには向いていない。 けれどその代わり魔法使としてはそれなりに素質があるようだから・・・だから」


「・・・そういう理由なら止めておいた方がいいぞ? それなら俺の話は高確率で参考にならないと思う」


「忠告ありがとう。 でも、参考になるかならないかは話を聞いた上で、私自身で判断したい」


「奴隷になるリスクを背負ってでも?」


「背負ってでも」


「・・・」



俺は無言でデクスターの方に顔を向け、視線で助けを求めるが「諦めてくれ」とでも言うように、ゆるりと首を横に振られた。

マジか・・・。 

この流れだとかなり断りづらいんですけど・・・。

まぁ、ぶっちゃけ面倒事にさえ巻き込まれなければ、死んでも隠したい!ってわけじゃないし・・・。



「・・・わかった。 その話、受けよう」


「・・・ありがとう」


「いえいえ。 つか礼を言われることじゃないだろうよ」


「そうかしら? 私の願いを受け容れてくれたのだから、礼を言うのは当然でしょう?」


「あー・・・そう、とも言えるのか?」


「ええ。 ・・・と、言う訳で、デクスター。 貴方は部屋を出ていてくれるかしら」


「はぁ・・・分かった。 すまないな、コウ」


「はは・・・。 あー・・・デクスター、悪いけど、この部屋に子ども等が来ない様に見ていてくれるか?」


「了解だ。 それ位はさせて貰おう」


「助かる」


「気にするな。 仲間が迷惑を掛ける。 では、俺は出ていよう」



そういうとデクスターは、部屋を出て、後ろでに扉を閉めた。

そのままデクスターの気配が遠ざかっていったのを確認すると、改めてミミルに向き直る。



「本当に、いいのか?」


「ええ。 では、早速だけど始めましょうか」


「分かった。 じゃあ、ミミル。 お前の本名をフルネームで教えてくれ」


「私の本名は“ミルミネフェル・トランクヴィーラ”。 ミルミネフェルを縮めて“ミミル”で通しているわ」


「ミルミ・・・?」



あんだって?



「ミルミネフェル・トランクヴィーラ、よ」


「ミルミネフェル、ね。 なるほど。 了解した」


「・・・これで出来るのかしら?」


「ああ。 あと、禁を破った際の条件は本当に奴隷化でいいのか?」


「ええ。 かまわないわ」



いやもう少し構って。

もっと自分を大事にしよう?

ミミルの真剣な顔を見ると、そうとは言えず、結局黙る俺。



「・・・分かった。 んじゃ、改めて・・・」



あの時と同じ様に、俺を中心として魔方陣を床に展開する。 

今回はベッドに腰掛けたまんまだけど、魔方陣はベッドを透過して展開している様だし、このままいけるな。

床の魔方陣を確認した俺は、そのまま魔力で輪を作りその輪の中にミミルを取り込んだ。 そして魔方陣を基点にしてドーム状に魔力を形成して俺達2人を囲む。

ドームの色が半透明から白に変わった。  今回も《誓約魔法》は正しく発動している様だ。

・・・よし。



「これより開示する俺、コウ・アサギリのステータス情報を、ミルミネフェル・トランクヴィーラが他者に故意である無しに関わらず、教えることを禁ずる。  禁を破った場合、その身はコウ・アサギリの奴隷となるものとする。 この内容を飲むことを、ミルミネフェル・トランクヴィーラ、汝は誓えるか?」


「誓うわ」



誓約魔法が展開された魔力の輪の中で、ミミルが簡潔に同意の言葉を口にした。



「ここに誓約は成った。 《誓約魔法インテルリゴ》!」



その言葉と同時に白いドーム状の魔力は霧散し、その残滓が俺達2人の胸へとそれぞれ吸い込まれた。

人相手に使うのは二度目だけど、まだまだ慣れないな。



「これでよし、と」


「・・・これで、貴方のステータスや他の話も詳しく聞けるのね」


「まぁ、そうなるな」


「では早速」



ミミルが更にずずいと身体を寄せて迫ってくるので押し留める。



「待って! 近い近い近い!!」


「・・・ごめんなさい。 私なんかに迫られても嫌よね」



微妙に曇った顔でなぜかそんなことを言い、ちょっと身体を離すミミル。

そんなことは無いので間髪居れずに答えておく。



「いや、ご褒美ですが?」


「・・・え?」


「え?」


「近付かれるのが嫌ではなかったの?」


「美人に近寄るのはご褒美なんだけど、緊張するもんで・・・」


「・・・そう」



ついっと目を逸らすミミル。

あれ? 何の話してたんだっけ?



「あ、そうだ。 ステータスな」


「あ、ええ」



今度はそっと少しだけ身体を寄せてきた。

ミリィといいミミルといい、ホント綺麗な顔してるよなぁ。



「なにかしら?」


「いや、なんでもないよ。 んじゃあ、はい。 ステータスオープン」




『名前:コウ・アサギリ

 種族:異世界人(人族?)

 性別:男


 【能力値】

 Lv   :89

 体 力  :A+   

 魔力保有量:S

 筋 力  :S   

 耐久力  :S

 器 用  :A

 敏 捷  :A

 魔 力  :A

  運   ;D


 【適正】

 戦士   :S

 家庭教師 :C

 商 人  :B

 魔法使い :A


 【スキル】

 算 術  :B

 錬金術  :C

 料 理  :A

 医 術  :C

 魔 法  :S

 絶 倫  :―

 ハチケンシ:EXユニーク開放状態:1(眷)

    (眷):眷士   付随スキル:眷属統率、眷属掌握、眷属強化、眷属消化  

            付随魔法 :眷属化、眷属開放


 【称号/加護】 

 称 号  :異邦人、破の守護竜の友、竜と大精霊の飲み仲間、硬くて長持ちの人

 加 護  :空間と守護の大精霊の加護、破の守護竜の加護 


 【その他】

 眷 属  :ミリアルテ(Ⅳ型奴隷/状態:初期)            』



ふむ。 特段変化はないようで・・・・はなかった。

称号・・・・・・。

あれ? これ、朝は無かったよな? いつ生えた???

しかも卑猥なニオイしかしねーんすけど・・・。

・・・・・・まぁ、いいか。 フニャチン早漏より全然良いで候。



「と、まぁ、こんな感じな訳で・・・」


「・・・驚いたわね。 予想よりも遥かにレベルもステータスも高いわ。 加護や称号も気になるのだけれど、このスキル・・・」



称号ら辺はそのままスルーしといて下さい。



「どのスキル?」


「“魔法:S”よ」


「あー」



ミミルは魔法のことが知りたいんだもんな。



「押してもいいかしら?」


「え? ああ・・・」



何を?

という前に、ミミルは俺のステータスウィンドウの“魔法:S”をタップした。

すると樹形図のように横に広がっていく文字。

え!? これタップして詳細とか出来んの!?

誰か教えてよー!!

驚きつつも、俺自身が始めて見るので、俺もチェックする。




『 【スキル】

  魔 法 :S━竜源魔法:S┳守護竜:A

                  ┗属性竜:A

         精霊魔法:B┳大精霊 :B

                 ┣上位精霊:A

                 ┣中位精霊:S

                 ┗下位精霊:S

         魔 法 :C┳属性魔法:C

                ┗生活魔法:S   』




と、出ている。

なんだこれ????

あー、俺の使える魔法ってこんなんだったのか。

そういや、確かに魔力で竜の真似するのって、『竜の力を源流とする魔法だ』ってデトが言ってたな。



「・・・コウ。 貴方、どうやって魔法を習得したの?」


「友達に教えてもらって覚えた」


「その友達というのは?」


「称号にも名前が出てる”空間と守護の大精霊スペンス”と“破の守護竜デトル・ガルディ”。 あと他にも竜や魔物、精霊に少し教えてもらった」


「ああ・・・なるほど・・・・・・・え?魔物からも?」


「ああ。 教わったぞ?」


「そんな高度な対話が出来るの?」


「知性のある一部の魔物とはね。 多分、場所が場所で、皆レベルが高かったからそういう進化とかしたんじゃない?」


「その、場所って・・・?」


「確か、“終の森”と“破竜の山”って言うんだっけ? あそこ」


「あ、あんなところで生活していたの!?」


「あー・・・ほら、俺の種族見て。 “異世界人”ってあるだろ?」


「あ。ええ・・・」


「それに関係してるんだけどさ―――」



と、取り敢えず俺はミミルにこの世界に来た経緯と、来てからはどんな生活をして来て今ここにいるのかをなるべく簡潔に語った。

俺が話している間、ミミルは静かに相槌を打ちながら話を聞いていた。



「―――なるほど。 確かに、これは殆んど参考になりそうに無いわね」


「だから言ったろ?」


「でも、多種族から教えを請うのはアリだわ。 竜や精霊、それに魔物にも・・・私が強くなればいすれは・・・」


「さて、他に聞きたいことはないか?」


「ええ。 色々と頭がパンクしそうだけど、今は大丈夫よ。 ありがとう」


「なら、とりあえず、話は終わりでいいか?」


「ええ」


「よし、じゃあ一度ホールに行くか」


「ええ、そうしましょう」



そう言って俺達はベッドから腰を上げて、寝室を出た。

ホールでは既に子ども達が出てきており、デクスターがフルーツの皮を剥いて

子ども達に食べさせていた。



お読みいただいて、ありがとうございました

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