34話 ううむ。最近出番が少ないのでは?
ダンスパーティー。
今までは面倒くさいだけの行事だったけど・・・今回は違う!
なんていったってレイが・・・レイヴェアが居るんだから。
「れ、レクヴィオ様ぁ!どうですか私と――」
「ふふふ。早く私をお誘いになって?」
「いえいえレクヴィオ様は私をお誘いになるのよ?」
「厭らしいですわね。レクヴィオ様の目は私に向いているというのに・・・なんて浅はかな」
浅はかなのはお前らだよメス豚共。
おっと失礼。豚に失礼だったかな。
口には出さないけど。ティナノール家の名前に泥を塗るなんて真似はしたくないしね。
笑顔で軽く流しながらその場を――離れられない・・・。
動いても動いても付いてくる。いや・・・憑いてくる?そっちの方が合ってる気がする。
全く、なんて面倒くさい。
レイも男性陣に纏わりつかれている様だ。
男子の塊が動いているのが見える。
「ねぇ君達」
「「「「はい!」」」」
「・・・ちょっと離れててくれないかな?誘える人も誘えないからね」
それをどう受け止めたのか女性達は頬を赤らめながら少し距離をおく。
あながち「自分を誘う為に離された」、とか都合のいい解釈でもされてるんじゃないかな?
それとも「この中から誘うのね、なら私に決まってる」、っていう自信があるのかな?
どちらでもねーよ。
ちらりと見るとレイも同じ様に男性から距離を置いていた。
ゆっくりとレイに近付いていく。
レイはこちらを見て微笑んでいる。
勿論、ここでやることと言ったらただ1つ。
「1曲(てか全曲)お相手願えますか?」
片膝をついてレイの手の甲にキスを落とす。
周りで軽い悲鳴が聞こえたけど無視。
「ええ、勿論ですよ」
あー・・・やっぱ可愛いな。流石僕の姫様。
レイとレクヴィオ君が周りを圧倒しながら舞い踊る。
正直に言って美しすぎる。その瞬間瞬間がまるで絵の様な芸術と化すほどに。
最初は文句を言っていた人達も踊りだすと同時に感嘆の息をはいていた。
ふふふ・・・やっぱり私の決めたドレスはぴったりね。
無理やりレイを着飾っただけはある!
勿論、あの服はレクヴィオ君と踊る事を想定して決めたドレス。
「流石私!」
「そこは流石ティナノール兄妹、ってとこじゃねーの?」
おっと。私のナルシスト宣言を聞かれたみたい。うわ、まさかソラにとは・・・。
「・・・に、してもほんと完璧だなあの2人。完璧主義者か?」
「ん?何言ってんの?別に完璧じゃないはずだよ?レイは知らないけどレクヴィオ君は」
「え?レクヴィオ様って完璧じゃないのか?」
そこまで驚く事でもないと思うけど・・・まぁソラは転校生だしね。
昔のレクヴィオ君は知らなくて当然か。
レイも、だけど。
てかまだ様付けで呼んでるんだ・・・。
「レクヴィオ君はさ・・・結構心が弱かったんだよね」
あれ?
ほんとはダンスパーティーでどんちゃんやるだけだったのに・・・
まさかの過去のお話?




