32話 きっと明日は楽しくなりますね。ねぇソラ君?
人というものは感情に素直過ぎる場合があると思います。
あからさまな嫉妬や羨望、といったところでしょうか。
好きな人に近い人がむかつく。だから嫌がらせをするというのは何処へ行っても共通な様です。
まぁ、つまりは何が言いたいのかというと――
「・・・イジメですか。子供ですね」
という事ですね。
僕の机の中にゲテモノ的な物が入ってます。・・・どうしろと?
おお、動いた。何?お前の様な泥棒猫は虫でも食ってろと?豚に言われたくありませんね。
まぁ、こういうのは後始末に困るのでソラ君の机に移しておきましょう。
お?手紙がありました。
《海の藻屑と化せ》
なんて古典的な・・・。
ですが遠まわしなこの言い方・・・ユニークな思考の持ち主な様です。
「なっ!? なんだこのゲテモノ!」
ソラ君が驚いてますね。
それはそうでしょう。わざわざ机に入っていた教材の中で潰しておいたんですから。
ほら、もう動いてないでしょう?こべり付いてますけど。
「くっ遂にイジメというものを体験することになるとは・・・。誰だ!俺が引き摺りだして――」
「ああ、僕ですよそれ」
「あんたかよっ!?」
「正確には僕の机に入っていたのを僕がグロテスクにしておいただけですけどね。ソラ君の机で」
「わざわざグロテスクに!?しかももともとレイヴェアさんの方が・・・へ?イジメられてんの?」
「んんー?向こうはそのつもりかも知れませんね」
「おいおい・・・自覚なしかよ」
「いえ、しょぼすぎたもので。やるのならもっと小賢しくうざったくするものです。例えばこの虫。そのまま入れるなんて面白くありません。最低でもソラ君の机くらいにはしないといけませんね。ベストなのはゲテモノ同士を混ぜて原型がぎりぎり残っているものをぶちまけておくとか。それも拭きとりにくい細かい所に。それか見えにくい位置に撒いておくかですね。さり気無く服に付くとかは女性に嫌がる事ですし。それにこの手紙はないと思います。やるならもっとずらずらと綴ってほしいものですね。地味にその人の駄目な所をしつこく突いた方が精神的にきますし。そもそも標的が間違ってます。どう見ても僕に効くとは思えません。僕にやるならせめて生皮を剥ぐとか、爪を――」
「もういいって! それイジメじゃないよね!?ただの拷問だよね!?」
「そうとも言いますね。まぁ、この会話を聞いてこれはやばいとか思っている人が居るのでは?ですが残念ですね。僕に手紙を送った時点で犯人の目星はついてます」
「この人怖い!」
む。失礼ですね。ですがもうイジメはないでしょう。現に遠くの女子が真っ青で震えてますし。ははは。
やだなー。僕に拷問されるとでも思っているのでしょうか?しませんって。生身では。
さて余談ですが僕へのイジメは開始のベルと同時に幕を下ろしました。
あはは。僕のイジメ講座お気に召さなかった様ですね。それともいつの間にかに存在していた僕の親衛隊に忠告という名の脅しでも掛けられたでしょうか?
まぁ今回はソラ君の嫌がる様子を見れたからよしとしましょう。
さて、明日はソラ君の机に何を忍ばせておきましょうか。
〜次の日〜
「げ!椅子に牛乳ぶっかけられてる!?」
〜その次の日〜
「うおぅ!?机の中に形容し難い物が!?」
〜そのまた次の日〜
「ちょ!?机が千切りに!?」
〜そのまたその次の日〜
「うにぃい!?何これ何これ!なんか襲ってきたぁぁぁぁぁぁ!!」
「・・・ふむ。あまり楽しくありませんでしたね」
「何でやったんだよレイヴェアさん!!?」




