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ep4 星占いサロン・・・外野の顛末③


7の月末の王都アムス。

シトロン男爵別邸敷地内寂びれた薄暗い礼拝堂の中─────。



 「僕の聞いた噂によると例のご令嬢は、第三王子ヨハン殿下の御子を身籠ったらしい。」

 「まあ、そうですの?それでジョアンナ様は、最近こちらにいらっしゃらないのですね。お嬢様がご懐妊では、、、。」

 「わたくしが訊いた噂では、何でもあの非常識なエスコート事件の夜、ヨアン殿下と結ばれたとか。」

 「おおー、あの星渡り祭の夜会の日に。それはそれは。」

 「「「うふふふっ・・・。」」」

 「「「あはははっ・・・。」」」


 3人の淑女とシトロン男爵と2人の紳士が、広い3つの寝椅子にカップルと成り、乾いた笑いを漏らす。 そして締め切られた礼拝堂で、汗を掻きながらも寄り添い合い、艶めかしい衣擦れの音を響かせ、気のない軽口を終わらせ、唇や肌を各々合わせ合う。


星占いの会と称してジョアンナが主催した大人の秘密クラブで、今日は主催者抜きでの秘め事が始まる。


 紳士3人はバンエル公国からの駐在員。

 王都アムスで人気の《育毛剤》を手に入れようとエトの薬屋へ行き、秘密が守られ安全に若い人妻と気持ち良く戯れられると誘われ、シトロン男爵の別邸敷地内に在る寂びれた礼拝堂を定期的に訪れている。

 薬師エトから渡される精力剤を飲み、遊び慣れていない人妻との情事に、今ではどっぷりとハマっている所。


 主催者のジョアンナが参加し無くなってから、シトロン男爵が場を仕切り、魔石ランプの明かりで、他のカップルの秘め事が見える。ジョアンナが来訪した時は、音や声は聞こえるが目隠しの布で仕切られた個室での行為だったが。

 互いの淫靡な行為を見ながら相手を入れ替える。男同士は互いに張り合い淑女たちと睦み合う。

 その背徳感が非日常の快楽をより一層後押しする。


 バンエル公国の駐在員たちは、シトロン男爵に相応の場所代を支払い、ラダリアでの日々を愉しむのだ。


 


 3人の淑女は、領地無しの文官を夫にした人妻たち。

 子供を1~2人出産後、地方の王領勤務の夫は、殆ど王都の家には戻って来ない。

 13~15歳で婚姻し、領地で暮らせる男爵夫人程優雅でも無く、王都の官舎で過ごして居る名ばかり男爵夫人たち。


 似たような立場の下位貴族婦人のお茶会で、彼女たちは一際美しいジョアンナと知り合う。

 日常と違う、それはちょっとしたイベント。

 自分から話さないジョアンナは、微笑み頷きながら彼女たちの愚痴を聞く。

 話の合間にジョアンナから星占いの話を聴く。


 「悩みの解決方法がありましてよ?」


 ジョアンナの甘い囁きに日常の不満を持つ貴婦人たちが興味を示した。


 其処でジョアンナからシトロン男爵の別邸で行われている星占いサロンへの誘い。


 美貌を謳われている侯爵夫人から夢のような招待。

 そして誘われる儘に王都郊外のシトロン男爵の別邸敷地内にある寂びれて礼拝堂へ訪れる。


 暗がりを照らす幻想的な魔石ランプの明かり。

 会場の礼拝堂の祭壇には、丸テーブルを囲むようにゆったりとしたソファーが数脚。

 黒い朱子織のテーブルクロスの上には、燭台で揺らめく蝋燭の光。

 そして焚かれた香の煙には、仄かな甘い桃の香りが混じっている。


 今日の招待客はジョアンナを含めて4人の貴婦人と場所を提供しているシトロン男爵。それに30代後半~40代の3人の紳士たち。

 他国から来た外交官。


 異性が居ることに緊張したが、空間内の甘い香りが貴婦人たちの警戒感を緩める。

 祭壇の奥の扉から給仕たちが、ワインと煌びやかなワイングラスを運び、席に着いている客達へと配って行く。


 シトロン男爵と外交官たちの異国の話に若い15歳~20歳の人妻たちの好奇心が刺激され、気が付けば彼らをとても好ましい相手だと感じてしまっている。


 それに楽しい異性とのお喋りは、日頃彼女たちを悩ましている片頭痛や首と肩の凝りを緩和し、解していく。


 ワインを飲み進める度、近付いている紳士たちの存在感に嫌悪感は無く──────

 初対面の相手との口づけすら心地良く──────


 気が付けば、緋色の布で区切られた幻想的な空間へと連れられて、窮屈な狭い寝台の上で自覚なく、彼女たちは紳士たちに貪られ始める。


 

 「女性が美しくなるコツは、殿方に十分に愛されるコトなのよ。」



 ワインの口にしている時、ジョアンナが幾度となく繰返していたセリフ。

 今までにない快感に酔いつつ、彼女たちの耳にはジョアンナのセリフがリフレインする。


 紳士たちに貪られた彼女たちは、肉体の疲労を感じたが、気分は高揚しスッキリとしている。



 ジョアンナやあの場に居た者たちだけの秘めごとは、つまらなかった日常を溶かしてくれた。



 些末な問題は、シトロン男爵や侯爵夫人のジョアンナが解決して呉れると言う。

 彼女たちは、快楽の果実を味わうだけでいい。



 『どうせ夫は、現地妻と愛し合って居るのだし。浮気が男の専売特許とでもお思いかしら。』


 彼女たちは、帰りの馬車で笑いながら、そう話し合う。






 ジョアンナ主催の星占いサロンは今日も盛況である。

 例え、主催者ジョアンナが居なくなったとしても──────。







◇◇


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