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武闘会 騎士の部 二回戦



 二回戦第一試合。


 スティファノとティアの戦い。


 悪魔族と天使族の戦いだが……


 因縁的なものでもあるのだろうか?


「この前は薬草を譲っていただき、ありがとうございます」


「構いませんよ。

 それより今日は魔法研究の成果をお見せしますよ」


 因縁は特になさそうだ。


 一回戦でグランマリアを圧倒したティアだが、スティファノ相手ではどうだろうか?


 スティファノがどれだけ強いか知らないが、ブルガと同程度なら良い勝負になるかもしれない。


 審判はハクレン。


 模範試合の影響は無さそうだ。


「始めっ!」


 宣言と同時に、スティファノが呪文を詠唱。


 自分の足元から漆黒の槍が無数に飛び出し、ティアを狙った。


 ティアは空に逃げず、優雅に回転しながら横に移動して漆黒の槍を避ける。


 ティアの魔法による反撃。


 スティファノの身体がいきなり燃え上がった。


 その光景に、俺はビビる。


 マジか?


 俺の心配を無視して、スティファノの足元から飛び出していた漆黒の槍が大きなマントに姿を変え、燃え上がったスティファノを包み込んだ。


 炎が隠される。


 包んだマントが解かれると、中には誰も居ない。


 手品か?


 スティファノの姿は、ティアの背後にあった。


 スティファノがティアに組み付いたと思ったら、スティファノの全身から漆黒の槍が飛び出し、ティアの身体を貫いた。


「うおっ」


 思わず声を出してしまう。


 だが、ティアは無事だった。


「相性の面で、私が有利でしたね」


 ティアを貫いた漆黒の槍が崩れて消える。


 突き刺した部分に貫通痕はない。


 逆にスティファノの身体に、いつの間に真っ白な槍が三本、突き刺さっていた。


「ですね。

 ギブアップです」


 スティファノとティアの戦いは、ティアの勝利で終わった。


「スティファノ、大丈夫か?」


「ええ、ありがとうございます。

 これぐらいならすぐに治ります」


「貴方。

 愛する妻の心配はしてくれないのですか?」


「心配しているが、まずは槍が刺さったままのスティファノの心配だろう」


「大丈夫ですよ。

 致命傷になる場所は避けています」


 ティアがそう言うと、スティファノを貫いていた真っ白な槍が霧散する。


 貫いた痕はあるが、血は出ない。


 そして、その痕はみるみる治っていく。


 良かった。


 そして、ティアの勝利を喜ぶ。


「次は……ルーさんとクーデルですね。

 ふふ。

 ルーさんの腕が鈍っていなければ良いのですけど」


 ルーは一回戦、泥試合だったからな。



 二回戦第二試合は、そのルーとクーデルの戦い。


 ルーは始祖さんとお話ししたからか、気合の入った顔をしている。


 対してクーデルは、諦め顔。


「クーデル。

 最初っから諦めてはいけません!」


 グランマリアが観客席から応援するが、クーデルの顔は晴れない。


「いや、ルーさんって、あのルールーシーですよ。

 私たちが三人掛かりで勝てないティア様とバチバチにやりあってた」


「私はそのティア様とやりました!

 大丈夫です。

 万が一があります」


「ま、万が一……ね」


 試合が始まった。


 クーデルの評価通りなのか、ルーの圧勝で終わった。


 一回戦の泥試合はなんだったのだろうか。


 アンが強いのか?


 それとも組み合わせの不幸なのだろうか?



 二回戦第三試合。


 ブルガとウノの戦い。


 これはどうなるかまるっきりわからない。


 一回戦の様子から、ブルガの分身がウノをどこまで惑わすか。


 ウノは、ブルガの分身から本体を見抜けるかが勝負じゃないかな。


 あの分身って、残像だよな。


 本当に分身してたりするのかな?


 違う動きしてたけど……全部、本物とか?


 まあ、試合前だから細かいことを聞くのは止めよう。


 試合が始まった。


 一回戦と同じく、ブルガが分身。


 ウノに攻撃を仕掛けていく。


 ウノは避けるかと思ったが、正面から突撃。


 分身したブルガを次々と潰していく。


 その様子は、本気で狩っているように思える。


 本物だったらどうするんだ?


 ブルガは分身の数をさらに出し、応戦。


 長いように思えたが、試合はそれほど時間が掛からずに終わった。


 分身による飽和攻撃によってウノを押さえつけ、審判が試合を止めてブルガの勝利を宣言した。


「うう、分身を出しすぎたぁ」


 ブルガは両手を挙げて周囲に勝利をアピールするが、かなり疲労したように見える。


 敗けたウノの方が元気だが、負けは負けと尻尾を下げて舞台から降りた。


 それをクロサンを始めとしたクロたちが出迎えた。


 何か会話したのか、ウノの尻尾は元に戻った。


 うん、ウノは頑張った。



 二回戦第四試合。


 マクラとコローネの戦い。


 どうなるかと思ったら、すぐに終わった。


 試合開始と共にコローネが上空に……飛べなかった。


 いつの間にか糸がコローネの足に絡まっており、そのまま地面にベタンッと落下。


 そのままグルグルに縛られた。


「相性が悪過ぎる!

 天敵です!」


 マクラの勝利で終わった。



 これで二回戦が終了。


 残っているのは四名。


 三回戦、準決勝の組み合わせは次のようになる。


 02 ティア(天使族)

 04 ルー(吸血鬼)


 09 ブルガ(悪魔族)

 13 マクラ(ザブトンの子)




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― 新着の感想 ―
コローネ不憫… ただでさえ出番がかなり少ないのに、せっかくの活躍の場で瞬殺されるなんて…涙
致命傷になる場所は避けてるからいいって問題じゃ…(;´∀`)
[良い点] ・ギャグが濃厚、また上質。  簡素な言い切りでありながら、思わず笑える。文字を使わない分、密度が濃い。 ・余りに極端な無双に走らず、飽きないストーリー展開。  色物ネタに走りすぎないのも好…
2021/09/27 21:23 通りすがりの愛読者
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