挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

304/324

冬の五村


 俺は工房で一体の創造神像を彫り上げた。

 サイズは人間よりちょっと大きめの二メートル超。

 五村ごのむらの教会に飾る為、少し大きめにとの発注だったからだ。

 自分でも良い出来と満足。

 少し失敗したと思ったのは、彫った場所。

 始祖さんが羨ましそうな目で見ている。

 いやいや、始祖さんには前に注文された分を渡しただろ?

「全て集めたくなるのが人の悲しいさが

 アンタ、吸血鬼だろう。

 輸送するのを手伝ってくれるなら、彫るけど?

 即決だった。

 ありがたいが、まったく同じとはいかないぞ。

 木が求めた形になるからな。

 おっと、芸術家みたいなことを言ってしまった。

 ふふふ。

「ところで村長。
 この横にあるのは?」

「クロとユキとザブトンと猫と酒スライムのミニチュア」

「どれも躍動感があるね。
 お土産として作るのかい?」

「まさか。
 五村の聖女……じゃなくて、セレスが欲しがったからな」

 聖女と呼ばず、セレスと呼んで欲しいと本人から言われたので注意している。

 考えてみれば役職呼びだからな。

 ちょっと反省。



 始祖さんの転移魔法と、リザードマンたちの協力で五村の教会のホールに創造神像を設置。

 良い場所に置いてもらえるみたいだが、大丈夫なのだろうか?

 始祖さんが問題ないと言ってくれるが、ここの責任者はセレスだからな。

 創造神像の背中に、後光を表現する棒を何本も背負わせる。

 それ用の穴をちゃんと作っておいた。

 漫画の集中線を立体にしたような感じだ。

 余計かなと思ったけど、こっちの方が判りやすいだろう。

 始祖さんが驚いているが、見た事のない技法なのだろうか?

 神様の像の表現としては古くからあると思うのだけど?


 クロたちのミニチュアは、ホールではなく奥のセレスの私室に。

 植木鉢の根元に設置される。

 なるほど。

 良い場所だ。



 その後、五村を少し見学。

 ユニコーンを運んだ時は、のんびりできなかったからな。

 五村は前よりかなり発展している。

 小山の上はハイエルフたちが頑張ったので、立派な村になっている。

 目立つのは北寄りに建てられた村長屋敷と、その隣の教会。

 少し離れて村議会場、後は広いグラウンドと小さな牧場。

 牧場の横に、交易所がある。


 五村の代表、村長代行をヨウコに任せているので、村長屋敷はヨウコ屋敷と呼ばれているらしい。

 その地下に転移門があり、大樹のダンジョンに繋がっている。

 ヨウコ屋敷は村長代行のプライベート空間とされており、普通の家扱い。

 現在、ヨウコが選んだ使用人たちが二十人ほど生活している。

 一応、彼らには転移門のことは秘密。

 フタが秘密を守っているが、使用人たちが調べにきたことはないらしい。

 それと、マーキュリー種が新しく三人。

 ヨウコの補佐として働いている。


 ヒー=フォーグマ。

 中年のベテラン戦士のような風貌の男。

 考えるよりも剣で斬る方が得意そうだが、意外にも頭脳派。

 万が一の時、村で編成する軍の中心になる予定だ。

 五村の未亡人から人気があるらしく、昼には多くの差し入れが渡されている。

「それがしの腹はそれほど大きくはないのだが……うぷっ」

 律儀に全部食べている。


 ロク=フォーグマ。

 若い文官青年。

 メガネを着用し、いかにも頭が良いですよという雰囲気。

 出会った当初はクールに気取っていたが、文官娘衆から引き継いだ仕事量を前に早くも崩壊。

 熱血キャラになっている。

「ミヨをこっちにまわしてくださいよ。
 さすがに私一人じゃどうにもなりませんって!」

 すまん、頑張ってくれ。


 ナナ=フォーグマ。

 一見、普通の村娘。

 失礼だが、どこにでもいそうな感じ。

 だが、その実力は凄い。

 多くの情報から必要な情報を取り出す処理能力、大事な情報を見落とさない勘。

 五村を拠点に、情報収集の取り纏めをやってくれることになっている。

 各地での作物の値段やニュースは大事だからな。

 現在は、情報収集をする人材の選定、訓練中だそうだ。

 ……

 情報収集する者が、どうしてナイフの扱い方を訓練しているのだろう?

 護身用かな?



 ヨウコ屋敷はプライベートとしているので、村長代行としての公務をヨウコは村議会場で行っている。

 村議会場は、大きな会議室と小さな個室で構成されている。

 ヨウコは小さな個室の一つを、村長代行の公務室にしている。

 こちらには五村で選ばれた秘書が男女数人、ヨウコの仕事を手伝っている。

 この秘書たち。

 どこかで秘書の経験があるのか、テキパキしていて凄い。

 そしてヨウコが思った以上にしっかりと村長代行をやっていた。

 今度、ヨウコの好きな料理を作ってやろう。


 大きな会議室には円形に椅子とテーブルが並べられており、一段だけ高い場所がある。

 俺はそれを見てヨウコの席かなと思ったけど、違った。

 俺の席だそうだ。

 ……

 その右側が村長代行の席と、俺を案内している秘書が説明してくれた。

 そうですか。

 ところで相談ですが、あの一段高い場所を普通にするのは……駄目?

 駄目だった。

 五村の村議会場に出席する機会がない事を祈ろう。


 村議会場には食堂がある。

 ここの食堂長は、ビッグルーフ・シャシャートのマルーラで働いていた者。

「まだまだ未熟ですが、よろしくお願いします」

 出されたカレーは、十分に美味かった。



 教会はセレスと神官が運営している。

 五村の冠婚葬祭は全てここでやる事になったそうだ。

 結婚式、葬式はわかるが……ああ、成人の儀みたいなのをするのか。

 あとは新年のお祭りとか、収穫祭ね。

 ヨウコと相談しながらやっていくらしい。

 大変だろうが、頑張ってほしい。



 グラウンドは、イベントを開催する際の場所だが……

 普段は子供たちの遊び場として開放している。

 側面では広いスペースは厳しいからな。



 小さな牧場は、馬車や連絡用の馬の飼育場所。

 一時預かりのような場所で、ふもとに大きな牧場を作る予定に……もう完成していると。

 なるほど。

 それだったら、ユニコーンはこっちに預けた方が良かったかな?

 え?

 違う?

 ユニコーンを預けた牧場が、協力して作ってくれた?

 馬の大半も、その牧場の馬と。

 そうなのか。

 また挨拶に行かないとな。



 交易所は、馬車で運ばれる荷物の一時預かりと販売場所。

 本格的な交易所は小山のふもとにあるので、こちらは小さい。

 最初に出来たのは上の交易所なのだけど、やはり馬に坂道は厳しいとの意見が出たのでふもとにも作ることになったらしい。

 これは冒険者たちの活躍で、ふもとがそれなりに安全になったお陰だな。

 上の交易所は、主にふもとの交易所の荷物を預かる場所として活用されている。




 こんな感じの小山の上に対し、側面部分の建設速度も凄い。

 人の数は力か。

 一応、冬なので無理しない程度に抑えているらしいが……

 それでも、上から見れば何箇所も建設中の場所があって活気がある。

 現在の人の数は……

 気にしないでおこう。

 ヨウコ、任せたぞ。



 冬なので寒いが、大樹の村のように積雪は見当たらない。

 この辺りは降っていないそうだ。

 だが寒くないワケじゃない。

 また、どうしても小山なので風が強い。

 各家には、その風対策が施されているらしい。

 扉や窓が蝶番ちょうつがいを使った開き戸ではなく、横にスライドさせる引き戸が多いのはその為かな?

 窓はそうだけど、扉は道を塞がない為ね。

 小山の側面だから、道幅も広いとは言い難いからな。

 なるほど。

 地域の特色だなぁ。

 一番目立つのは転落防止の柵と、転落した時を考えて、各地に設置された網だけど。

 家の上に網を張っているのがあるのは、誰かが上から落ちてきたからだろうか?

 屋根の色が一部違うから、そうなんだろうな。

 死者の話は聞いていないから、怪我か。

 重傷じゃなければいいけど。





 馬車の一団が、南側の大きな道を登ってきた。

 馬車のほろには、ゴロウン商会の紋章。

 馬車は交易所に入らず、ヨウコ屋敷に向かう。

 ゴロウン商会から海産物が運ばれる時期だったか。

 今晩は新鮮な海産物を楽しめるな。

 うん、寒いし鍋にしよう。


 俺は五村見学を切り上げ、ゴロウン商会の馬車を追い掛けた。

 ヨウコ屋敷の新人門番に、不審者として止められた。

 ……顔を覚えられていない。

 ちょっとショック。



五村案内回。
新キャラ三人が、今後どう目立つかが課題。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ