挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

302/325

冬の某日


「番号!」

 ワン、ワン、ワン、ワン、ワン、ウォン、ワン!

 一頭、個性を出してきたのがいるな。

 どうした?

 緊張で声が裏返っただけか?

 ああ、怒ってはいない。

 気にするな。

 しかし、気は抜かないように。

 準備はいいか?

 クロの子供たちが揃って頷く。

 凛々しい顔だ。

 よろしい。

 では、行くぞ。

 俺はタイミングを合わせ、クロの子供たちと共に突撃した。

 向かうは雪で作られた要塞。

 目指すはその奥に設置された旗。

 飛び交う雪球を避けながら……なぜ俺を集中攻撃する!

 うおおっ!

 俺はやられた。

 俺と同時に突撃したクロの子供たちも少し遅れて全滅。

 まさかと思うが、あれは仕方がない。

 アルフレートやティゼルが雪球を投げずに、手に持ってトテトテと向かってくるのだ。

 クロの子供たちは優しい。

 避けたら倒れると受け止めるしかない。

 ちなみに、同じことをやったウルザとグラルは避けられた。

 勢いが違うからな。

 うん、もう少し可愛げのある速度で向かうべきだ。

 まあ、ウルザとグラルを避けたクロの子供たちも、包囲されて雪球をぶつけられていたけど。


 作戦が悪かったのか、それとも数か?

 こっちは俺とクロの子供七頭。

 向こうはウルザ、アルフレートを中心とした子供たちと、その保護者勢。

 特にアルフレートの保護者枠で参加している鬼人族メイドの投げる雪球は凶悪だ。

 雪球の当たった時の音が、バスッ、ではなくドゴッ! だからな。

 ハンデでクロの子供たちの数を減らしたのは失敗だった。

 当初の参加希望者全員、五十頭で開始するべきだった。

 クロの子供たちは雪球を投げられないのだから、それぐらいで丁度良かったのではないか?

 俺はなぜ、クロの子供たちの数を減らしたのか……

「パパ、ワンワンの数が多い」

 ティゼルに言われたからだ。

 仕方があるまい。

 ん?

 もう一回か?

 良いだろう。

 チームはさっきと同じで構わない。

 だよな。

 俺の後ろにいるクロの子供たちが頷く。

 俺達が負けっぱなしで終わると思うなよ!



 負けっぱなしで終わった。

 一回、クロの子供が雪の中を潜って進むという荒業で惜しいところまで行ったのだが、ウルザに気付かれてしまった。

 勘がいい。


 よーし、子供たち。

 遊んだ後はお風呂だ。

 冷えた身体を温めろー。

 風呂に入ったら、餅を焼いてやるからな。

「お醤油?」

「お砂糖?」

「お味噌?」

 好きな味でいいぞ。

 味噌はナートか。

 渋いな。

「枝豆を潰したのがいいな」

「私はそのままでも十分、美味しいと思いますが」

「きな粉と砂糖が最強」

 はいはい。

 どの味でも構わないから。

 まずはお風呂だ。



 火鉢が足りない。

 餅を焼いても焼いても間に合わない。

 味に関しては、鬼人族メイドたちが用意してくれているが……どうして俺一人で焼いているんだ?

 雪合戦に負けたから?

 うう……

 俺も食べたい。

 ん?

 おお、ティゼル。

 それはひょっとして俺の為に……

 違った。

 ティアのところに行った。

 くっ。

 やはり母親の方が良いのか。

 いつの間にか姿を見せている始祖さん、ドライムも餅を頬張っている。

 美味いと褒めてくれるのは嬉しいが、こっちに来て焼くのを手伝う気はないかね?

 違う。

 追加の餅を倉庫から持って来てくれと言ったんじゃない。




 冬になってから、色々と遊んでいる気がするが……

 天気が良い日だけだ。

 天気の悪い日は、家で細かい仕事。

 仕事なのだが……

 冬の間はクロの子供たちとばかり遊んで、ザブトンの子供たちと遊んでいない気がする。

 ザブトンの子供たちは寒い場所にはいかないからな。

 室内でザブトンの子供たちと遊ぶ。


 第一弾。

 大きめの盤を用意し、ザブトンの子供たちに将棋のコマを模した模型を背負ってもらう。

 人間将棋ならぬザブトンの子供将棋。

 ルールは普通の将棋と同じだが、全てのコマを最低でも一回は動かさないといけないというルール。

 折角参加したのだから、一回は動きたいよな。

 さて、対戦相手はどうしよう?

 ザブトンの子供たちで得意そうなのは……いつの間にかクロヨンが座っていた。

 残念だがクロヨンには遠慮してもらってだ……

 クロヨンの抗議。

 いやいや、お前、村のチェス大会でずっと優勝してるだろ。

 将棋でも強いの知ってるぞ。

 俺はヘボなんだ。

 ハンデでコマを減らしてスタートする?

 いやいや、ザブトンの子供たちが主役なんだから。

 減らされたコマを背負ってるザブトンの子供が泣くぞ。

 その減らしたコマを俺の味方として盤面に置いてスタートして良い?

 ……

 減らすのは?

 これとこれと……え? そこも? それも?

 ……

「勝負だクロヨン!
 お前の無敗伝説が今日、終了する!」



 負けた。

 序盤有利だったけど、全てのコマを一回は動かすルールが足を引っ張った。

 どれだけ戦力を整えてもヘボはヘボということか。

 悔しい。

 もう一回と言いたいが、今回の主役はザブトンの子供たち。

 楽しめたか?

 ん?

 さっきの対局で、この場面の時はこう動いた方が良かった?

 いや、そうするとこうされるんじゃ……

 いやいや、こうなるから……

 おおっ、勝ってた。

 ……

 俺よりザブトンの子供たちの方が将棋、上手い。

 つまり……

「クロヨン、もう一回だ!
 次は俺が動かすが、頭脳はザブトンの子供たちだ!」

 あれ?

 どうしてコマを全て揃えるんだ?

 コマを減らしてくれないのか?

 真剣にやらないと負ける?

 ……

 俺よりザブトンの子供たちの方が上なのは理解しているけどな。

 複雑な気分だ。



 良い勝負だったけどクロヨンには勝てなかった。

 クロヨン側のコマを背負っているザブトンの子供たちからも知恵を貸してもらったのに……

 残念。

 ん?

 将棋のコマの模型が気に入ったのか?

 別に持っていても構わないぞ。

 ただ、全員には作れないからな。

 あまり自慢したりしないように。

 さて、ザブトンの子供たちと遊ぶ第二弾は……

 どうした?

 チェスのコマの模型も欲しい?

 第二弾は後でいいから?

 ……わかった。

 作ってやろう。


 さて、今回のコマを背負っているのは拳大サイズの子供たちばかりだ。

 雑誌サイズや半畳サイズの子供たちには小さい。

 ……

 わかった、そんな目で見ないでくれ。

 頑張るから。




 後日。

 将棋対チェスの戦いが盤上で行われていた。

 どっちが優勢かはわからないけど、熱戦なのだろう。

 途中、子猫が乱入。

 パッと散るザブトンの子供たち。

 俺が子猫をかかえてどかすと、また戻って先ほどの配置に。

 ううむ、見事。


+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ