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異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
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通り過ぎた秋の出来事


 冬の寒さが襲ってきた。

 うん、今は冬。


 今年の秋は忙しく、あっと言う間に終わった気がする。

 忙しさの理由は、五村ごのむら建設とピリカの弟子救出作戦。

 忙しいけど、ちゃんと収穫はやったし武闘会もやった。

 今年の武闘会は、ルーとティアが救出作戦の下準備に外出したので不参加。

 武闘会で頑張ったのが天使族のキアービット。

「ティアさえいなければ、なんとかなる!」

 それを合言葉に、騎士の部で勝利を重ねて優勝。

 かなり研究していたようで、ラミア族のジャンプ攻撃、ザブトンの子供の糸攻撃、クロの子供の高速移動などの対策はバッチリだった。

 手間取ったのは、同じ天使族のグランマリアと対戦した時だろうか。

 ただ、グランマリアは直前にラミア族の戦士長であるスーネアと激闘を繰り広げており、疲労していた。

 キアービットは今年も組み合わせに恵まれたようだ。

 本人もそれを自覚していたようだが、優勝トロフィーを渡された時は文字通り飛び上がって喜んでいた。

 微笑ましい。


 ちなみに、敗北したラミア族やザブトンの子供、クロの子供はキアービットの編み出した対策封じの為の研究を始めた。

 被害者……ではなく練習相手は天使族のスアルリウ、スアルコウが選ばれていた。

 頑張れ。


 あと、武闘会で頑張ったのは……魔王かな。

 うん、本当にクジ運が凄い。

 そして、意地をみせた。

 四天王のビーゼルやグラッツ、ランダンは泣きながらの熱い応援だった。

 各自、お酒を片手にだったけど。

 残りの四天王の一人、ホウは武闘会の会場ではなく、ドワーフの出店に入り浸っていた。

 飲んでばかりかと思ったけど、今年は自領で作ったお酒を持ち込んで、意見を聞いていた。

 あ、飲むのは飲んでいたかな。


 武闘会は……まあ、色々あったけど、楽しかったし重傷者もいなかったから問題なし。




 少し時間が戻って、秋の中頃には五村の建設も終わった。

 同時に、五村の管理体制で大きな部分が決まった。

 九尾狐のヨウコが、五村の村長代行に正式就任。

 さらに、五村の宗教関係責任者の立場に、聖女が就任した。


 ヨウコの方は、本人の希望で。

 元から五村建設の大樹の村側責任者だったし、自主的なのは良い事だと俺は断らない。

 しかし、急にどうしたと思ったらヒトエを預けていた村の者を五村に呼びたいらしい。

 なるほど。

 五村側からも、五村の中から選ぶよりは、大樹の村から派遣された者が村長代行になった方がスムーズだと問題なし。

 という流れで決定。

 一応、五村の屋敷の主になるが、夜には大樹の村に戻って来ることが多い。

 ヨウコの子のヒトエが、大樹の村で生活をしているからだろうか。


 聖女の方は、始祖さんの希望で。

 本来なら、聖女の行き先はある程度、決まっていたのだがどうもトラブルが続いて上手くいかなかったらしい。

 原因的には、聖女が所属することによる権威を狙う者たちの暗闘らしい。

 始祖さんの一喝でなんとかならないのかと思っていたけど、暗闘しているのは組織の下部らしく、そこには始祖さんの一喝はあまり効果がないらしい。

 人によっては、始祖さんのことを知らないという人もいるぐらい。

 これに関しては、当人があまり前に出ないからだと自虐していた。

 下部に一喝できるフーシュの出番なのだが、フーシュはフーシュで忙しく、どうにもならないところに見つけた希望。

 それが五村。

 五村にコーリン教の教会があっても、いいじゃないか。

 そして、そこに聖女が居ても、いいじゃないか。

 聖女本人も、そこで働きたいとの希望だったので、そうなった。

 現在、聖女は五村の教会で働いている。

 夜にはヨウコと一緒に大樹の村に戻ってくるけど。

 いいのだろうか?


 教会にはフーシュの選んだ神官が何人か派遣された。

 彼らは教会で生活をしている。

 建設されたばかりの教会は、すこぶる生活がしやすいらしい。

 しかし、個室とベッドに涙するのはどうなのだろう?

 これまで、どんな生活を送ってきたのか……

 気になるというか不憫なので、聖女を通して色々と渡しておいた。





 ピリカの弟子救出作戦は、武闘会終了後に行われた。

 救出作戦で一番の肝は、注目を集めるドラゴン、マークスベルガーク。

 前もってハクレンにお願いして、武闘会に招待。

 一応、お願いしたいことは事前に伝えているのでだまし討ちではない。

 報酬はお酒と作物、あとお菓子類になった。

 お菓子類は奥さんや娘さん用かな。


 作戦概要は、マークスベルガークが飛んで注意を集めている間に、弟子たちのいる村に転移門を開くというもの。

 注意を集める必要はないかもしれないけど、場所が魔王国と戦争中のフルハルト王国。

 トラブルは無しにしたい。

 なので、救出する弟子たち以外に姿を見られることは極力避けることが方針。

 マークスベルガークには悪いが、頑張ってもらうことに。


 転移門を開く為に、ピリカが村に戻る。

 転移門の指定石を運ぶ為に。

 救出を決めてから実行までに時間が掛かった理由の大半が、これ。

 転移魔法が使える始祖さんやビーゼルに協力してもらえれば、もっと早かったのだが……やる事がやる事なのでお願いできない。

 仕方がない。


 ピリカの護衛にルーとティア。

 護衛といっても傍にいるわけではなく、遠くから見守る感じで尾行したそうだ。

 ピリカが村に戻るタイミングがわからないので、日と時間を決めておいた。

 その日にマークスベルガークが飛ぶ。

 なので、その日までにピリカは村に戻り、救出する弟子たちを説得しなければならない。

 ピリカは大丈夫だと言っていたけど、救出するのは弟子たちだけでなく、弟子の関係者もいる。

 逃げることに反対する者もでると思っていた。

 だけど、問題なかった。

 全員、逃げることに賛同したそうだ。

 本当に大丈夫か、フルハルト王国。

 弟子たちには指定の時間まで普段通りに生活をしてもらい、時間直前で荷をまとめてもらった。

 時間直前で、ルーが転移門の指定石をセット。

 転移門が開くと同時に、こちら側からハイエルフ、リザードマンが合わせて二十人と俺が移動。

 ハイエルフ、リザードマンは俺の護衛だそうだが、救出する弟子たちの誘導をお願いした。

 俺は【万能農具】で耕す。

 村人が消えると逃げたと思われるが、村ごと消えていれば逃げたとは思われにくいだろうとの案からだ。

 うん、俺も逃げたと思わず、何か異常現象があったとか考えてしまう。


 弟子たちと関係者の移動が終わった後、俺、俺の護衛のハイエルフ、リザードマンたちが転移門で移動。

 ピリカ、ティアも移動。

 最後にルーが転移門の指定石を持って移動。

 そんな事ができるのかと驚いたけど、転移門を開く為に必要なだけで以降はそれほど重要じゃないっぽい。

 そのまま放置でもしばらくすれば転移門が消えるが、トラブルは無しと、戻って来たルーの手から指定石を受け取り、【万能農具】で壊した。

 これで即座に転移門が閉じられる。


 結果は大成功。

 ティアは同行する意味が薄かったが、万が一の時はピリカを抱えて移動する為に必要だった。

 予想外だったのは、村が消えたのに問題になったのは一ヶ月以上経過してからだったこと。

 警戒し過ぎだったか?

 それとも、マークスベルガークが目立ち過ぎたからかな?

 ともかく、ピリカと弟子たち、そして弟子の関係者は五村に移住完了。

 頑張って欲しい。


 問題が一点。

 転移門を使い捨てたことで、転移門の管理者を予定していたミヨの役割がなくなった。

 文官娘衆が大きな声で手伝いに欲しいと要望し、本人も了承したので新しい仕事が出来るまで文官娘衆の手伝いに。



 色々なことがあった秋だった。

 ……

 ミヨ、幽鬼のような目をしていたけど……大丈夫か?

 ああ、文官娘衆の手伝いを探すんだったな。

 わかっている。

 フラウが頑張っているから。

 結果は芳しくないけど。

 シュトーレンという菓子パンを焼いたんだ。

 持って行くか?

 自分で言うのもなんだが美味いぞ。

 ああ、何本でも良い。

 でも切って食べような。

 そのままカジりつくのはどうかと……いや、いい。

 食べろ。

 うん、食べろ。


 書類仕事。

 俺は戦力外通知を出されている。

 計算は出来ても、書式が駄目だからだそうだ。

 それは幸運だったのかな。

 いや、本当に文官を探そう。

 五村に多くいるみたいだから、スカウトとか考えた方がいいかな。

 ヨウコに相談してみよう。

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