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お祭り 山崩し+α


 妊娠したドラゴンは気が荒くなるとか聞いたけど、今のところその兆候はない。


 のんびりまったりとしている。


 いや、まあ、食っちゃ寝を繰り返している。


 この村に来た当初を思い出す。


 そういや、こんな感じだったなぁ。


 だが、妊婦だ。


 全てが許される。


 ベッドの上にテーブルを設置し、モーニング。


 許そう。


 昼寝。


 許そう。


 夕寝。


 許そう。


 寝るのも妊婦の仕事だ。


 夜は起きて遊ぶ。


 ドタバタドタバタ……


「寝ろっ!」


 てか、ハクレンが起きてるからウルザが寝ないだろ。


 妊婦なんだから規則正しい生活をしてほしい。


 あ、まてよ。


 ひょっとしてドラゴンって夜行性?


「いえ、まったくそんなことはありません」


 ラスティの返事。


 なるほどなるほど。


 ……


 昼に寝るから夜起きる。


 ならば昼寝を妨害……妊婦相手には難しい。


 くっ。


 昼夜逆転生活をどうすれば直せるのだろうか。


 わからん。


 仕方が無い。


 こうなればライメイレンに相談し……ハクレンが俺の腕を掴んでいた。


 ハクレンは顔を左右にフリフリした後、ニッコリと笑う。


「夜はしっかり寝ること。

 わかったか?」


 すぐには無理だったが、十日ぐらいでなんとかなった。


 母と娘だが、ライメイレンは怖いのかな?






 お祭りの季節がやってきた。


 一村、二村、三村からは数日前から少しずつ来ており、今日で全員が揃うことになる。


 前日に来る者たちのために寝床を用意したが、部屋が足りなくて急遽テントが張られた。


 その様子は、本当にお祭りの前みたいで高揚する。


 だからだろうか。


「テントの方が人気とは」


 気持ちはわかるが、風邪を引かないように。


 各村からは欠席者無し。


 小さい子供を持つ親は、さすがに宿に泊まったようだ。




 来賓は相変わらず、多い。


 まず、マイケルさん。


 色々な商品と共に前日入り。


 次にマイケルさんを運んできたドライム。


 ドースやライメイレンにハクレンの様子を見てくるように言われたそうだ。


 まあ、一言二言の会話の後、お風呂に入ってまったりしていた。



 魔王国領から、ユーリ、ビーゼル、グラッツ、ランダン、そしてもう一人。


「初めまして。

 ホウ=レグです。

 よろしくお願いします」


 ホウは女性だ。


 背中に真っ赤な翼があるが、天使族ではないとのこと。


「この村のお酒は、色々と楽しませていただいています。

 特にサトウキビから作ったものは……最高でした」


「あはは……あれですか」


 かなりキツイお酒で、俺はストレートでは飲めなかった。


 ホウは俺との挨拶を終えると、食事を用意している屋台に向かった。


 あ、違うな。


 あれはお酒を探している。


「すみません。

 ホウはお酒が好きなのが欠点で……」


「ははは。

 ドワーフたちと気が合うんじゃないかな」


 ホウの後はビーゼルと挨拶。


 ほぼ同時にグラッツも挨拶し、ミノタウロス族のロナーナのもとに。


 ランダンも俺に軽く頭を下げた後、屋台に向かった。


「今回、魔王は?」


「仕事が溜まっていますから、今回は遠慮ということに。

 その分、私が楽しみますから」


 俺の質問に答えたユーリは、ビーゼルを伴って貴賓席に。



 次に来たのは始祖さんとフーシュ。


 始祖さんは、なんだかんだで来ているのだけど、色々と忙しく長期滞在はあまりできていない。


「色々と放り出して、ここに永住したい」


 始祖さんの言葉に、フーシュが困った顔をする。


 フーシュとは一村への移住者たちの様子を伝え、一村移住者たちのいる場所を案内……は文官娘衆の一人に任せた。



 次の来賓が来たからだ。


 ドース、ライメイレン。


 ハクレンの妊娠祝いの時に来たから、久しぶりという感じがしない。


 挨拶後は、ハクレンのもとに。


 ……


 本人が来るならドライムに様子を見させる必要はなかったんじゃないかな?


 まあ、親心というヤツかな。



 その他、ハウリン村からはガルフが来ている。


 来ているというか、ガットの弟子二人が移住する際に付いてきてそのままいる。


 弟子二人の移動はラスティが受け持ったから、移動が楽なのはわかるが……


 ハウリン村で一番の戦士だろ?


 いいのかな?


 人間の村とは友好的になったから大丈夫とのこと。


 まあ、本人が良いなら歓迎する。



 後、南のダンジョンからラミア族が四人、北のダンジョンから巨人族が二人。


 温泉から死霊騎士が来てたりする。


 死霊騎士は、前日入りしたドライムが温泉の話を聞いて行きたがり、案内として同行したダガとガルフが連れ帰った。


 本人が楽しそうにしているから、構わないか。




 お昼前。


 お祭りが本格的に始まった。


 今年のお祭りは山崩し。


 だが、今回はその前に前座的なイベントがある。


「第一問。

 一村に住むジャックの奥さんの名前はモルテである。

 正しいと思う方は○の書かれたエリアに。

 違うと思う方は×の書かれたエリアに移動してください」


 クイズ大会。


 クイズといってもそう難しい問題は出さない。


 村で普通に生活をしていればわかる内容。


 来賓には多少不利かもしれないが。


 まあ、クイズを通して少しでも知ってもらえればなぁという感じで考えた。


 出題は事前に用意し、ランダムに選出。


 残り一人になった時点で終了となる。


 出題者は文官娘衆の一人。


 魔法を使用して、会場全体に問題を届けている。


 参加者は全員……と言いたいが、妊婦や小さい子供もいるので希望者のみの参加で。


 来賓の参加もOKというか、できるだけ参加してほしい。


「第三問。

 大樹の村で一番初めに住んだのはクロさんである」


 答えは×。


 最初は俺だ。


 間違える人はいないだろうと思ったが……移住組が意外と間違えているな。


「第十問。

 村長の名前は、ヒラクである」


 答えは○。


 ……結構、知られていない。


 地味にショック。


「村長は村長だから」


 そうかもしれないが……今度から名札でも付けようかな。



「さあ、残りが少なくなってきました。

 というか……」


 残っているのはクロの子供たちが数頭と、ザブトンの子供が数匹。


 あと、酒スライム。


 ……人型がいない。


 俺はルーを見た。


「だって一村移住者の名前、まだ全員、覚えてないし……」


 俺はティアを見た。


「ドワーフの数が五十人を超えているって聞いていませんでしたから」


 あ、うん。


 これは俺も知らなかった。


 そして、最後の問題になったというか……


「第十七問。

 今日、村に来ているマイケルさん。

 あ、手を振っていただいていますね。

 ありがとうございます。

 彼のお孫さんは、男の子が二人である」


 これで残っていた者が全員、○に移動した。


 孫ネタは、マイケルさんがこの村に来る度にする鉄板トーク。


 だけど、クロの子供たちはともかくザブトンの子供たちや酒スライムはよく知ってたな。


 凄いぞ。


 全員正解で決着は次の問題かなと思ったら、答えは×。


 どういうことだと思うと説明された。


「先月。

 新たに女の子のお孫さんが生まれたそうです」


 おおっ。


 それはおめでたい。


 万来の拍手が会場を包み込んだ。


 そして……


「全員、間違えてしまいましたね。

 残念でした。

 よって全員、復活!!」


 クイズ大会は盛り上がった。


 優勝者は、なんとユキ。


 復活後の問題に恵まれたようだ。


 俺の作ったクイズ王の冠を誇らしげに頭に載せていた。


 いつもより尻尾が振られているな。





「クイズは思ったより楽しんでもらえたな」


「そうですね。

 子供たちも参加できますし、種族もあまり関係ありません。

 クイズに紹介を交えたりすれば、新しい住民の方の話題にもなりますし……

 今後、お祭りの前座として恒例にしても良いのではないかと」


 文官娘衆の一人が、同意してくれる。


「まあ、互いを知る切っ掛けになってくれればな。

 さてと……休憩が終われば本番なんだが……」


 俺は空を見る。


 夜になっていた。


 クイズ大会が盛り上がり過ぎた……


 まあ、一問出した後にシンキングタイムと移動を考えると予定の見積もりが甘かったと反省。


 会場には木が組まれ、開始を待っていた。


「夜でも気にせず始めるか、明日にするかなんですが……」


 ……


 明日にしよう。


 お祭りは二日目に突入した。




 来賓の方々の予定、大丈夫かな?


 あと、各村を警備しているクロの子供たちやザブトンの子供たち。


 すまない。




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[気になる点] 「第十七問。  今日、村に来ているマイケルさん。  あ、手を振っていただいていますね。  ありがとうございます。  彼のお孫さんは、男の子が二人である」 この答えは〇であって…
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