挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
異世界のんびり農家 作者:内藤騎之介
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

174/326

精霊魔法と一村の色々


 一村への移住者のリーダーであるジャックの妻、モルテ。

 彼女は少し変わった事が出来た。

 それは精霊魔法。

 普通の魔法は自身や周囲の魔力を使って効果を得るが、精霊魔法は精霊を使役して効果を得るらしい。

 説明は難しくて良くわからなかったが、実践してもらったのでわかった。

「これが火の精霊です」

 火トカゲみたいなのが見えたと思うと、ボッと藁の先を燃やして消えた。

「精霊がいる場所だと効果が強く、いない場所だと効果が発揮できないのが弱点です」

「精霊さえいたら、無限に魔法が使えるのか?」

「理屈ではそうですけど、精霊との対話は疲労を伴ないますから」

 上手い話は無いらしい。

「とりあえず、この一村ですと……木の精霊、水の精霊が強いですね」

 なんとなくわかるが……

「土の精霊は?」

「それが、この辺りではどうも弱いらしく……でも、少しずつ強くなっているのは感じています」

「土の精霊が強く……地震が起きたりしないよな?」

「いえ、そうではなく回復している感じです」

 一安心。

「ところで、火の精霊や水の精霊はなんとなくわかるが、木の精霊はどんな事ができるんだ?」

「森の中で身を隠す事とかですね。
 こんな感じです……」

 精神を集中……先ほどの火の精霊を呼んだ時と同じだ。

 ……

 しかし、何も起こらない?

「失敗か?」

「おかしいですね?
 近くに精霊は感じるのですが?」

 首をかしげていると、ゆっくりとこちらに向かって歩いてくる切り株姿のニュニュダフネ。

「呼びましたか?」

 ……

 そう言えば、ニュニュダフネって木の精霊みたいなものだって説明されたな。

 そうか、俺は知らない間に精霊魔法を使っていたのか。

 ちなみに彼女の精霊魔法、生活がちょっと便利になるぐらいの魔法しか使えないらしい。




「一村の住人は、それなりに慣れたみたいだな」

「そうですね。
 食料もちゃんと消費するようになりました」

 一村移住者の食事は、最初はこちらで作って配っていたが、いつまでも続けられない。

 料理の方法を覚えてもらった後は、食料を定期的に渡す事になった。

 いきなり一年分を渡すのは双方が不安だったので、まずは保存の利く三十日分の食料を渡した。

 その上で、十日ごとに食料を配る。

 これで様子を見て、上手くいけば一年分を渡す予定だった。

 予想外だったのは、彼らに任せた途端に食料を消費しなくなった事だった。

 食べてないわけじゃない。

 消費量が極端に少ないのだ。

 一例としてあげると……

 朝食、塩の入ったスープ。

 昼食、なし。

 夕食、かしたジャガイモ二つ。

 しばらく監視役を置く事にした。

 食事はしっかりと食べてもらわないと困る。

 食べれないワケではない。

 こちらが料理を作っている時は、きっちり食べていた。

 お代わりだってしてたんだ。


 なんとか理由を聞き出した。

 現状、まだ胸を張って役に立っていると言えない状態で、食料を消費するのは心苦しいとの内容。

 働かざる者、食うべからずだが……投資という考え方を理解してもらえないだろうか?

 この村で安定して生活をしてもらえるだけで、俺としては十分なのだが……

 その安定が問題か。

 まだ役に立ててないと、自覚があるからなぁ。

 こちらとしては来ていきなり役に立つとは思っていない。

 しかし、それを面と向かって伝えているわけでもない。

 仕方が無い。

 栄養失調で倒れられるわけにはいかない。

 フーシュにも悪い。

 やりたくはないが、非常手段だ。

「食べないと腐っちゃうなー」

 配る食料を、日持ちしない物にした。

 それが少し前の事。

 現在は個々にやる事も定まっていき、食事もちゃんと食べるようになったようだ。

 一安心。

 その個々にやる事を探す中で、色々と隠していた技能を明らかにした中の一つが精霊魔法だったりする。

 かなり心を開いてくれたからだと思おう。




 余談だが、一村の新たな住人の主な仕事は農業、小物作り、紙作り。

 農業は男女問わず。

 これは日中、まだ家庭菜園レベルだが、ミノタウロス達に話を聞きながら頑張っている。


 小物作りは男衆が中心に。

 色々と作っているが、竹細工関連がやたらと上手く、任せている。

 今は一村の近くに竹林を作っている最中。

 また、一人が編み物にハマった。

 時々、ザブトンの所に行って教えてもらっているらしい。

 完成した服を俺にプレゼントしてくれたが……長袖セーターはこの時期、暑くないかな?

 もうすぐ夏だよ。

 奥さんも無理して着なくて良いと思うぞ。

 愛情溢れる力作なのはわかるけどさ。


 紙作りは女衆が中心でやっている。

 紙作りは、いきなり始まったわけではない。

 段階を踏んだ。

 一村に移住する前に、フーシュの所で読み書きを学んだらしい。

 それを活かす為というか、無駄にしない為に何か仕事がないかと考えた結果が写本だった。

 本を写して新しい本を作る方法だな。

 それを見て、俺が活版印刷を思い出してしまった。

 山エルフに捕まり、聞き出され、試行錯誤しながら完成。

 活版印刷を簡単に言えば、文字ハンコを作ってまとめて押すだけ。

 発想はシンプルだが、技術的にはかなり難しい。

 特に文字ハンコ。

 高さを揃えないと綺麗に印刷できない。

 手作業で高さを揃えるのは職人技だ。

 耐久性から文字ハンコは鉄で作ろうと思ったが、加工のし易さを重視して竹で作っている。

 最初は女衆が作っていたが、男衆の方が作業が早かったので男衆の仕事に。

 ただ、それなりの数を用意しないといけないのでまだ十分な数が揃っていない。

 文字ハンコ待ちの間に、女衆が行動したのが紙作り。

 紙はそれなりの数を備蓄しているけど、印刷を始めたらあっと言う間になくなってしまう。

 マイケルさんから仕入れるにしても、それなりのお値段がする。

 そこで、紙の自作。

 紙の為の植物は、前にドースから贈り物で貰った時に自作できないかなと思って育てている。

 俺が知っている紙作りの方法は和紙だけど、まあそれで大丈夫かと技術提供。

 一村の女衆が紙作りを始めた。

 当初は試行錯誤で失敗が続いたが、今はそれなりの形になっている。

 印刷を始めるにはまだまだ作り続けないといけないだろうけど。

 紙作りの傍ら、印刷に適したインク作りを実験中。

 そのうち、一村の作業は印刷と言える日が来るのかもしれない。


 ただ、写本で生計を立てている人がいるという話も聞く。

 印刷で本の大量生産を始めてしまうと、そういった人達の生活を脅かしてしまう。

 まだ本格的に印刷を始めていないが、自主的に印刷する数を制限しないといけないかなとは考えている。

 当面は各村の子供達の勉強用の本の印刷を頑張ってもらう予定。


 外部向けには、本の印刷よりもチラシの印刷の活用できそうだが、普通の人はあまり字が読めないらしい。

 識字率を上げるにはどうしたらと思うが、それは為政者の考える事。

 俺にはどうしようもない。

 出来るのは、前にビーゼルが作った孤児院に印刷した本をプレゼントするぐらいだな。

 文字を覚える切っ掛けになってくれれば幸いだ。





 一村が頑張っているので、大樹の村も負けていられない。

 とりあえずは祭りの準備。

 なんだかんだで村の住人も増えた。

 一村、二村、三村から人を呼べば……四百人前後かな?

 まあ、全員が全員、参加ではないだろうけど。

 手の空いた者達で会場を補修し、トイレを増設する。

 食事を作る場所も少し増やした。

 鬼人族メイド達が新作をいくつか考えているようだ。


 会場の準備がある程度整った後、俺はクロの子供達、ザブトンの子供達と戯れる。

 戯れているが、遊びじゃない。

 俺の前にいるのは、お祭り当日に各村を警備する予定の者達だ。

 お祭りに参加できないので、事前に埋め合わせの意味合い。


 クロの子供達とはフライングディスク、ボール遊び、そして狩りを行った。

 狩りに関しては、俺は監督みたいなポジションだな。

 クロの子供達がそれぞれ自分の強さをアピールし、それを俺が褒める。

 牙の生えた兎は瞬殺。

 デッカイ猪は、四頭ぐらいで襲い掛かって仕留めている。

 正直、かなり強いと思う。

 これをローテーションで何日かに分けて行った。

 お祭り用の食材がかなり確保できた。


 ザブトンの子供達とは、色々だった。

 ファッションショーみたいな事もしたし、狩りもした。

 一番やったのはザブトンの子供達をモデルにした等身大彫刻。

 流石に希望者全員分は無理なので厳選してもらった。

 そして選ばれた代表者達の考え抜かれたであろうポージングを、忠実に再現してみた。

 飾る場所は俺の屋敷の中。

 知らない人が見たら……驚くかな?

 ちなみに、最後に彫った物に俺がタイトルをつけると“コーヒーを飲みながら指揮をするザブトン軍曹”になる。



《番外》

 俺が彫刻をしている間。

 ウルザがザブトンの子供達の相手をしてくれた。

 助かるけど、あんまり森の奥にはいかないように。

 まあ、ザブトンの子供達と一緒なら大丈夫だろうけど……

 俺はしばらく彫刻に集中した。


 彫刻が完成した時、ウルザの事を思い出して俺は森を見た。

 くるくるくる……しゅたっ。

 ウルザは腰や背中にザブトンの子供達を纏わせ、糸を使って森の中を自在に飛んでいた。

 え?

 立体○動装置?

 某アニメタイトルが頭に浮かぶ俺だった。

 巨人が来ても勝てそうだな。


+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ