ヤメののんびり島生活 その六
あーしの名はヤメ。
悪魔族。
違った。
古の悪魔族。
いまは島の管理人をやっている。
のんびりとね。
朝食後、インフェルノウルフのルノは島の見回りに出かけた。
ルノの姉が来てから、頻度が増えた気がする。
多少、天気が悪くても行くぐらいには。
いいことかな?
無理してないといいけど。
朝食後のあーしは洗濯。
うーん、洗濯する魔道具。
便利。
衣類を乾燥させる魔道具はあるけど、雨が降ってないから干す。
乾燥させる魔道具は便利なんだけど、手入れがちょっと面倒だから。
あれを使うのは雨の日限定にしている。
そして、床を掃除する魔道具。
箒とチリトリが一体化したようなフォルムの魔道具は、てきぱきと床を掃除している。
がんばり屋さんだ。
でも、この床を掃除する魔道具が掃除しやすいように、床に物をあまり置かないようにしないといけないのが難点かな。
掃除しやすいように床に物を置かないのだったら、自分で掃除したほうが早い気がするし……
床を掃除する魔道具が寂しそうにあーしを見ている気がしたので、それ以上は言わない。
うん、床の掃除は任せた。
今日のお昼はピザ。
ピッツァだったかな?
庭に作ったピザ窯で焼く。
ふふふ、大樹の村でやっているのを見て、あーしもやってみたいと思ったんだ。
ピザ窯作り。
何回か失敗して、やっと満足いくのができた。
そこで焼いたピッツァは……ピザ窯だから、ピザでいいのか。
そこで焼いたピザは、具がチーズとベーコンとトマトだけだったけど、美味しかった。
次は具を増やそう。
サイズが小さいから、一枚じゃ足りないからね。
まだまだ焼いていくよ。
山エルフたちも手伝ってくれる。
次は海鮮を中心に置いてみよう。
エビの殻はすでに剥いてある。
焼きあがったピザに、半熟タマゴを落とすのもありだって山エルフたちも言ってる。
なるほど、あと乗せか。
ピザの可能性が広がりそう。
このピザのチーズとかも島で作れたらいいんだけど、なかなかねー。
現状は、大樹の村や五村から仕入れるしかない。
だからチーズは貴重。
でも、たっぷり使う。
ピザにチーズをケチるなって、あーしの魂が言っているから。
昔……というか封印される前、似たような料理を食べたことがあるのよね。
そこでチーズをケチってはいけませんって、誰かが言ってた。
当時は注文するだけだったけど、まさか自分で焼くことになるとは。
楽しいから問題なし。
はい、どんどん焼いていくよー。
お昼過ぎ。
海の種族たちの代表が、あーしに相談があるらしくやってきた。
まずは報告。
少し前にやってきた絶望アザラシは、海流の違うところまで逃げたのでもう来ないだろうとのこと。
それはありがたい。
あんなのに何度も来られては困る。
それで相談だけど、何度も来ないだろうけど似たような大型の魔獣や、危険な魔獣に追われたとき、この島に逃げてくるのを許可してほしいという内容だった。
この島にはルノがいるからね。
ルノに追い払ってもらおうということなんだけど、ルノがかまわないと言ってるので許可する。
知ってる顔の海の種族がやられちゃうのも、気分が悪いしね。
こっちの戦力に変化があったら、ちゃんと伝えておこう。
音楽を演奏する魔道具を設置した小屋があってよかった。
海の種族たちと連絡がしやすい。
え?
保護料を払う?
いらないって言いたいけど……払っているほうが、安心できるなら適当に物納で。
うん、物納用の小屋……じゃなくて家だったね。
そこに置いておいてくれたらいいから。
そう言ってすぐ。
物納用の家が、物で溢れた。
海の種族たちって加減を知らないのかな?
違う?
部族が多いだけ?
……あー。
海の種族とひとまとめにしても、ちゃんと見れば多くの種族がいる。
そしてその種族も種族でまとまっているわけではなく、部族などでわかれている。
その部族がちょっとずつでも物納したら、こうなるわけか。
……
え?
まだ納められず、困っている部族がある?
…………
物納用の家をもう何軒か建てよっか。
このままだと、干している魚や貝をしまえない。
ならば、新しく建てればいい。
あーしの指示で、海の種族たちが建設に向けて動き出した。
あ、新しい家は家じゃなくて、倉庫みたいな感じでいいんじゃないかな。
せっかくだから?
陸の建物の建設の練習?
ま、まあ、そういうことなら。
建材はこっちで手配するから、必要なものは言ってもらえると。
うん、五村とかに発注するから、船で持ってくるんじゃないかな。
ところで、あっちにいる鱗のない大型の魚は?
川を堰き止める勢いで群れているけど?
イルカ?
海の種族たちの馬みたいな存在?
へー。
いやいや、乗らない。
乗らないから。
あのイルカたち、絶対にあーしを海まで連れて行く顔をしているから。
夜。
今日の夕食は、海鮮丼。
ご飯を盛った丼ぶりに、魚の切り身や貝、エビなどを乗せたもの。
ご飯のお酢は塗したほうがいい派と、塗さないほうがいい派にわかれると村長は言ってた。
お酢の好き嫌いもあるけど、お酢を塗したほうはちょっと冷めたご飯になるから。
塗さないと、ほかほかご飯だしね。
大樹の村では、お酢を塗したほういい派がわずかに勝っているとのこと。
あーしは、どっちも美味しいと思う。
なので、一緒に食べる山エルフたちに聞いたら、手間がかかるだろうからそのままのご飯でいいとなった。
ありがとう。
でも、ほかほかのご飯の上に生の海鮮を置くと熱が通っちゃうから、海鮮は大皿に出すね。
食べる直前に好きな具を乗せて。
一応、海鮮丼だから。
あ、熱を防ぐために細かくちぎった海苔をまくのもあり。
海苔はここ。
ワサビと醤油はこっち。
あと、お漬物。
お味噌汁はいまいれてるから、配って配って。
はい、揃ったね。
大丈夫ね?
では、いただきます。
生の海鮮が苦手な人もいるけど、あーしは平気。
無人島だったころに、頑張ったから。
え?
無人島生活してたら、逆に生は怖いんじゃないかって?
いやいや、無人島生活で学んだのは火を通せば安全って考えが間違いってことだから。
危ないのは火を通しても危ない。
だったら、美味しいほうがいいでしょ。
あー、食事中だから、詳しい話は食後でね。
島にいる山エルフたちも生の海鮮を食べる。
昔は海鮮を口にすることはなかったみたいだけど、大樹の村に行ってからは口にする機会が増えたみたい。
海鮮に不慣れだからこそ、生に抵抗がなかった感じかな。
村長が生の海鮮を食べるから、頑張って合わせたのもあるかもね。
村長はモテるから。
あーしもモテたいなぁ。
まあ、モテてなにかをするわけでもないけど。
チヤホヤも……まあ、ほどほどでいいか。
あーしはのんびり平和に暮らせたら。
これ以上は望まない。
……
あ、盾は欲しいかな。
この前壊れたから。
ヤメ 「あーしを海にまで連れて行く顔をしている!」
イルカ 「きゅーきゅー」
海の種族 「そんなことないって言ってますよ」
ヤメ 「そうだとしても、怖いから乗らない」
イルカ 「(ちっ)」
ヤメ 「あー、悪い顔をした! 悪い顔をしたよ!」
海の種族 「そ、そんなことありませんよー。ほら、かわいい顔でしょ」
イルカ 「きゅーきゅー」(ニヤリ)
ヤメ 「目が笑ってない! 大樹の村の山羊たちと同じ気配がする!」
ヤメ 「火を通した食事で死んだ回数より、生食で死んだ回数のほうが多いから」
山エルフA 「無人島での食事は、できるだけ火を通そう!」
山エルフB 「ヤメさんと山エルフからの注意でした!」
山エルフC 「無人島での食事って……誰に向けての注意なんだろ?」
グッチ 「やあ」(手土産 酒)
ブルガ 「遊びに」(手土産 肉料理)
スティファノ「来ました」(手土産 魚料理)
プラーダ 「宴会しましょう」(手土産 サラダ系料理)
ヤメ (気絶から復帰後)「あ、あーしは、のんびりしたいんだけど?」
季節の変わり目だからか、片頭痛に苦しんでおります。
あと、喉をやられました。
……あれ?
ただの風邪かな?




