表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1054/1055

ヤメはウルザと出会う


 あーしはヤメ。


 島での暮らしにも慣れた。


 それなりにエンジョイしていると思う。


 一人なのは寂しいけど、人形のイバンや鳥がいるから大丈夫。


 平気、へっちゃら。




 何度か船を見逃した。


 二回ほどタイミングよく煙を出すことができたけど、船の動きが変わったことはない。


 煙が見にくかったのかなと、色をつけたりもしたんだけどね。


 まあ、島から煙が上がったからって、助けを求めてるって思わないか。


 海の種族が近くまで来てくれたらいいんだけどね。


 自分で船を作って、島から脱出するというのは考えない。


 泳げないから。


 そして、島を出てどこに向かえばいいかわからない。


 漂流したら悲惨だ。


 あーしは、死なないから。


 苦しむだけ。


 そんなの、想像しただけで耐えられない。




 もう島から出なくてもいいかと思うぐらい時間が経った。


 鳥はパートナーをみつけ、子を産み、さらにその孫、曾孫ひまごまでいる。


 大家族だ。


 うらやましくなんかないやい。


 人形のイバンがいるもん。


 そのイバンも、すでに四代目。


 木製のイバンは耐久性に難がある。


 あーしの扱いかたが乱暴なわけじゃない。


 たぶん。


 島の環境が悪いとあーしは思っている。




 変化は突然だった。


 海の種族の一団が、島の周囲に現れた。


 装備や数からしてはぐれ者じゃない。


 立派な海の種族の軍だ。


 もちろん、あーしは隠れた。


 助けを求めようとも思ったけど、いっぱいいたから。


 相手の目的がわからなかったし。


 極秘行動で、それを見たあーしを殺しにくるかもしれなかったし。


 幸い、海の種族は島に上陸はしてこなかったけど、かなり近いところまで来てた。


 ちょっと怖かった。



 その怖さがまだ残っているころに、今度は飛行船が来た。


 見たこともない形式の飛行船だ。


 どこの飛行船だろ?


 いざとなると、相手がわからないと助けを求めにくい。


 言ってはなんだけど、あーしは悪魔族。


 敵が多い。


 弱ってなければ気にしないのだけど、いまは弱ってるから。


 人間とか魔族ならなんとかなると思うけど。


 あーしは隠れて観察に徹した。



 飛行船から降りてきたのは、神人族だった。


 最悪の部類だ。


 あれは駄目。


 会話にならない。


 いきなり槍投げてくるのとか、考えてから槍投げてくるのとか、すでに槍を投げてるのとか、変なのばっかり。


 何回も殺された。


 これは逃げるしかない。


 でも、慌てて動くと見つかる。


 神人族は変なところで勘がいい。


 さらには降りてきた神人族は、偵察だ。


 気を張ってる。


 いま、動くのは駄目。


 隠れたまま、相手が気を抜くまで待とう。


 そう思いながら観察を続ける。


 敵のことを知らないと、逃げるのもむずかしいから。



 飛行船から降りてきた神人族は四人。


 微妙な数だけど、敵対したくはない。


 飛行船のなかに、まだいるかもしれないし。


 ただ、降りてきた四人は一人の人間の女……少女を守るように動いている。


 神人族は上空に配置するのが最適なのに少女の近くに控えている。


 つまり、あの少女はどこかの国の王女かなにかかな?


 神人族を雇えるとは、なかなかお金持ちの国なのかもしれない。


 最低でも、飛行船を使えるぐらいには。


 ん?


 氷の魔物か?


 離れているのに、なかなかの力を感じる。


 神人族よりも警戒すべきか?


 いやいや、神人族から目を離すなんてありえない。



 しかし、少女の目的はなんだ?


 周囲を見ているけど、なにかを探しているようには見えない。


 神人族や氷の魔物も、同じようだ。


 飛行船を停泊させた海岸から、あまり離れないし。


 待っていたら、帰ってくれるかな?


 帰ってくれないかな?


 帰ってほしい。


 あ、でも、島から出してもらえる可能性も……


 ないか。


 神人族がいるもんね。


 正直、あまり近寄りたくない。


 あ、まずい。


 このままだと、あーしが作った焚火が見つかる。


 どうしよう。


 しばらく使ってないから、大丈夫かな?


 先回りして焚火を隠す……無理。


 そんなことをしてたら、あーしのほうが先に見つかる。


 神人族とは関わりたくない。


 って、鳥の曾孫!


 そんなところでなにをやってる!


 怪しいのが来たら逃げろって言ってるでしょ!


 ああ、神人族に近づいちゃ駄目だって!


 え、ええいっ!


 あーしは少女たちの前に立ちはだかった。


 こうなったら、無理を通す!



 そこの者!


 あーしの領地になにようだ!


「…………」


 あの、なにか言ってくれないと困るんだけど?


 あーしの前で、ひそひそと話をするのはよくないと思う。


 あ、鳥の曾孫、あーしに寄ってくるんじゃない。


 さっさと逃げるの。



 ん?


 少女が一歩前に出た。


 ひそひそ話で方針が決まったようだ。


 撤収する?


 お邪魔しました?


 ……


 待って。


 待って待って待って。


 あーしは少女を引き止める。


 少女はすごく常識人っぽい。


 これはあーしを、島から連れ出してもらえる可能性があるんじゃないかな?


 神人族だって、さすがに雇い主を無視して攻撃して……してくるかぁ。


 神人族だもん。


 でも、少女と後ろに控えている氷の魔物は常識人っぽい。


 ちゃんと会話が成立している。


 これは、島から出るチャンス?


 あ、慌ててはいけない。


 慎重に。


 慎重に会話を繋いで、情報を得る。


 えーっと、帰る前に、ここにどんな目的で来たかだけ教えてもらえないかな?


 無人島を探していた?


 ここにはあーしがいるから、無人島じゃないので候補から外れると。


 ………………


 無人島にどのようなご用件が?


 あー、父親にプレゼントと。


 なかなか親思い。


 スケールが大きいけど。


 やっぱり王女さまだ。


 でも、無人島をプレゼントされても困るんじゃないかな?


 そんなことない?


 父なら絶対に無人島を発展させる?


 そこらの街に負けないぐらいに。


 そうすると船も来るだろうし、商店だってできるかもしれない。


 へ、へー。


 でも、ここにはあーしがいたから、別の場所に行くと。


 …………


 諦めるなぁっ!


 粘れぇぇっ!


 あーしは思わず叫んでしまった。





感想、いいね。

励みになります。

誤字脱字の指摘、ありがとうございます。

助かります。

これからも頑張ります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ヤメさん、いいな。何となくレギュラーになれそうなキャラの雰囲気があります。強者の多い中に、小物感が強いキャラが逆目立ちしてるような感じがします。 これからも応援してます。
ヤメさんの神人族イメージからすると、クーデルの槍投げ好きは実は種族的なものだったということ?
ブランド名をヤメ?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ