ヤメの無人島生活 その二
あーしはヤメ。
見知らぬ島になんでかいるけど、あーしは生きるために食べ物を探す。
赤くて小さい木の実は、食べてもお腹を壊さない。
貴重な食料。
木の実がなっている場所を何ヵ所か覚えたけど、いつのまにか実は消えてる。
冷静に考えれば、食べられる状態の木の実が、ずっと放置されているわけがない。
この島には、目立たないけど魔獣や魔物がいる。
弱っちいからあーしに近づかないけど、食べ物には近づく。
魔獣や魔物だってお腹はすくしね。
仕方がない。
ただ鳥。
あいつは許さん。
鳥はあーしが貯めた赤くて小さい木の実を、根こそぎ奪っていった。
あーしの目の前で。
心が広いあーしだって、さすがに怒る。
捕まえたら、丸焼きにして食ってやる。
近くの赤くて小さい木の実は姿を消したので、新しい食べ物を探さないといけない。
キノコは見つけたけど……悪い予感しかしない。
なにせ、ずっと放置されているから。
魔獣や魔物も食べないキノコということ。
これは最後の最後にとっておこう。
あーしは海に目を向けた。
海には魚がいる。
魚は食べられる。
でも、あーしは泳げないから魚を捕まえることができない。
悔しい。
でもでもでも、海岸にある貝は拾える。
潮の満ち引きさえ見極めたら、超簡単。
頑張って貝を集めた。
とても美味しそうだ。
しかし、慌てない。
生で食べてお腹を壊すなんて、ありきたりなことはしない。
あーしは学ぶ悪魔だ。
火を通す。
そして、食べた。
美味しかった。
でも、お腹を壊した。
じ、じっくり焼いたんだけどなぁ。
どこか生だったのかもしれない。
あ、めまいがする……
貝は駄目だ。
三回死んで覚えた。
そして魚。
潮の満ち引きで置いていかれた魚を見つけ、焼いて食べたけど駄目だった。
全身が痺れて、死んだ。
くっ。
つっつくと膨らむかわいい魚だったのに、毒持ちとは。
あの魚は、二度と食べない。
あーしの島での主食は、草になった。
茹でて食べている。
美味しくない。
でも、お腹を壊さない。
死なない。
これ、大事。
花は危ない。
根も危ない。
死んで覚えた。
茹でるのには窪みのある石を使ってる。
油断すると割れるから、目が離せない。
もう数えきれないほど割ってる。
とりあえずの主食が決まったので、あーしは生きるために拠点を作ることにした。
そう拠点。
目的は、寝る場所の確保なんだけど、それよりも重要なのが食べ物を貯めること。
これがなかったから、鳥に盗られたんだしね。
拠点は必須。
場所は……景色を重視して、川の近くの砂浜。
船とか通りかかったら、すぐにわかるしね。
川の近くなのは、少し上流に行けば飲み水が確保できるから。
水があれば、食べ物がなくてもなんとかなる。
とくにお湯は大事。
味はなくても、温かいだけで助かる。
とりあえず、雨避けの屋根と、鳥避けの壁を作る。
頑丈そうな木を中心に、大きな葉っぱを編んだり重ねたりすれば、ほらできあがり!
簡単に言ったけど、材料集めから始めて完成まで五日ほどかかった。
でも、かなり快適。
日光を遮れるのがとてもいい。
なんで、もっと早く作らなかったかなぁ。
反省。
この拠点を大事にしていきたい。
そう決意した翌日、拠点は風で吹き飛ばされた。
あーしは諦めない。
島だから風が強くなることを忘れていた。
流木を使って、頑丈で重い拠点を作った。
まあ、前に作ったのよりという感じだけど。
これなら、風には負けない。
負けないはず!
翌日、拠点は暴風雨で潰れた。
あ、あーしは挫けない。
潰れただけなので材料は残っている。
頑張って再建した。
翌日、拠点は高波でもってかれた。
……
景色を重視したのがよくなかった。
建てる場所をもっと海から離そう。
うん。
あーしは学べる悪魔。
川の近くも、やめておこう。
増水で流される未来が視えた。
拠点の場所を探していると、洞穴を見つけた。
深くない。
大人が二人横になれるぐらい。
流木で扉を作れば、立派な拠点だ。
おっと、扉が飛ばされないように大きい石で固定っと。
なかで火を起こしたいけど、洞穴のなかじゃ駄目。
火は外で使うようにしよう。
そして、洞穴のなかに草を敷いてベッドに。
うん。
とてもいい。
雨ぐらいじゃ、びくともしない。
洞穴に雨が入ってこないように、溝を作ったりしたしね。
よーし、ここから少しずつ生活をよくしていくぞー。
あーしは声をあげて気合を入れた。
翌日。
嵐だった。
かなり激しい。
扉は飛ばされないように、さらに大きい岩で固定したけど、ガタガタと振動している。
あと、鳥。
いつのまに入った?
扉の隙間からか?
嵐を避難するためにここに来たのか?
悪いがあーしは忘れていないぞ。
あーしの赤くて小さい木の実を根こそぎ奪っていったことを。
ふははは。
残念だったな。
ここにあーしがいたのが、お前の不運だ。
…………
くっ、つぶらな瞳でこっちをみるんじゃない!
ま、まあ、外は嵐。
食べ物は草だけど、それなりにある。
争うのは今である必要もない。
そっちが暴れないのならな。
大人しくしていろよ。
翌日、嵐は去った。
鳥も去った。
洞穴にあった食べ物には手を出していないようだ。
次は見逃さないからな。
そう呟きながら、あーしは海岸に向かう。
嵐でなにかいい物が流されて来てないか確認するために。
まあ、そう都合よく見つけられたりはしないのだけど。
ヤメ「キノコなら食べてもいいけど?」
鳥 「(無視)」




