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テテト


 ウルザが連れてきた山エルフ。


 名をテテト。


 血縁的にはヤーの部下であるヒテルトーの親戚らしい。


 テテトが率いる一族もヤーたちと同じく食糧難で住処を離れることになり、放浪していた。


 最近になってウルザが率いる集団と遭遇し、安住の地を得たそうだ。


 そしてテテトはヤーたちの話を聞いて、大樹の村にやってきた。


「ウルザさまに無理を言ってここまで同行させてもらいました。

 突然の訪問、失礼します。

 遅くなりましたが、ご挨拶の品です」


 疲れて倒れていたテテトが復活したので、挨拶を受ける。


 ご挨拶の品というのは、訪問時の手土産か。


 差し出された小さな木箱。


 なかにはペンダントが入っていた。


「我が一族が代々、守り伝えてきた秘宝です。

 どうぞ、お納めください」


 重い重い重い。


 重量じゃないぞ。


 想いが重い。


 手土産に出す品じゃない。


 後ろで様子を見ていた村の山エルフたちがざわついているし。


 大事なものなのだろう。


 気持ちは受け取ったから、これは戻しておいて。


 あー、それは駄目なのね。


 えーっと。


 それじゃあ、一度受け取ったうえで……


 ウルザのこと、よろしく頼む。


 これはその報酬の先渡しだ。


 と言って、渡す。


 よし、受け取ってくれた。


 よかった。


 そして、戻ってきてよかったと涙ぐむぐらいなら出すんじゃない。


 違う?


 気をつかってもらったことが嬉しくて泣いてる?


 ……


 この話題は、ここまで。



 さて、改めてテテトのことはヤーたちに任せる。


 ん?


 どうしたヤー?


 村でテテトに見せちゃ駄目なもの?


 なにかあるか?


 あー、薬草畑かな。


 危ない薬草があるってルーが言ってたし。


 見せちゃ駄目っていうか、近づけるのが駄目かな。


 あとは……


 転移門はどうしよう?


 村にある転移門の存在は、基本的に外部に秘密にしているのだけど。


 テテトは信用できるけど、この村に定住するわけじゃないなら秘密にしておいたほうがいいと。


 ……そうだな。


 わかった。


 転移門のことは秘密で。


 転移門が設置されているダンジョンに連れて行かなければ、大丈夫だろう。


 多目的人型機動重機アーティ・ホース


 あれは見せてもいいぞ。


 ウルザの拠点に貸し出す話もあるしな。


 なにより、多目的人型機動重機は目立つから隠せないと思う。




 村にしばらく滞在するウルザ。


 ウルザはハクレンやザブトンに連れまわされている。


 春まではこっちにいたんだけどなぁ。


 ウルザはまたすぐ出かけるだろうから、それまではということだろう。


 ハクレンは、授業の手伝いをウルザに頼んだ。


 先生助手みたいな感じだ。


 子供たちからの評判はいい。


 ハクレンも笑顔だ。


 そして、ヒイチロウもハクレンの手伝いをしたいと頑張っている。


 微笑ましい。


 ザブトンは、ウルザの新しい衣装の試着や改良。


 ちらっと見たけど、新作の騎士服を着たウルザは凛々しかった。


 ゴスロリも悪くなかったが、ウルザは活動しやすい服のほうが似合うな。


 おっと、ザブトンに見つかった。


 俺も試着?


 あー、それはかまわないが、ウルザと同じ部屋で着替えるのは駄目だ。


 うん、ウルザも年頃だからな。


 親子でも、そういったところには気を使わないと。


 ふふふ。


 娘に嫌われないお父さんを目指しているんだ。




 夜。


 夕食時に山エルフたちやテテトの姿がなかったので、様子を見にいった。


「おおっ、村長。

 見てください。

 こちらが倒れると、この仕掛けが動き、この玉が転がって……」


 テテトは山エルフたちとドミノ製作に夢中だった。


「夕食?

 ……あっ!」


 ちゃんと取ってあるから、慌てなくて大丈夫だ。


 山エルフたちのぶんも。


「さすが村長!」


 俺じゃなくて、鬼人族メイドたちが取っておいてくれたんだ。


 感謝しておくように。


 それと、夜更かしは駄目だぞ。


 大きい音がなる仕掛けもな。


「はーい」


 返事はいいんだよなぁ。




 翌日の夕方。


 山エルフたちから、テテトの帰り方の相談をされた。


 もともとテテトは、ウルザが帰るときに同行すればいいと考えていたそうだ。


 しかし、ウルザはしばらく村に滞在する。


 テテトは長期滞在を考えていなかった。


 二十日ぐらいなら大丈夫だが、それ以上になると残してきた一族たちが心配だそうだ。


 能力的にではなく、ウルザたちの勢力に合流したばかりで周囲の者たちと問題を起こさないかと。


 テテトの帰る場所であるウルザが拠点としている街。


 そこには、五村の飛行船での直通便はないが、近くまでは行ける。


 そこから徒歩にはなるが……いや、前のウルザと同じように、五村から特別便で飛行船で行ってもらえばいいか。


 お土産というか、差し入れをたくさん持って行ってもらうだろうし。


 問題はこの村から五村への行き方だな。


 転移門はテテトには秘密にする方針なので使えない。


 気絶しているあいだに転移門で運ぶ?


 乱暴なのはやめようよ。


 魔法で寝かせるのもちょっと遠慮してほしいな。


 えーっと。


 村にある万能船か飛行船でドライムの巣まで送って、そこから五村まで徒歩……は、時間がかかるな。


 魔獣や魔物も出て危ないし。


 ハクレンやラスティに送ってもらうのは……むずかしいな。


 ハクレンはウルザがいるから村から離れたがらないだろうし、ラスティも子供の世話があるから。


 ドースやギラル、ライメイレンなどに頼むのもむずかしいだろう。


 立場がどうとかあるから。


 あ、ドライムがいた。


 ドライムに乗って五村まで送ってもらうのはどうだ?


 え?


 駄目?


 ラナさんに乗ってきたのだから、ドラゴンに乗るのは大丈夫だろ?


 ドラゴンに乗ることは想定外だった?


 ウルザと一緒に行くと言ってしまったら、断れない感じになって乗らざるをえなかったと。


 道中で二回ほど気を失っているのか。


 そうか。


 ん?


 ああ、ラナさんとドース、ギラルの戦いや、ハクレンとグラッファルーンの模擬戦を見て、さらに駄目になったと。


 あー。


 村の近くだから、かなり手加減してやってくれていたんだけどなぁ。


 ともかく、ドライムに乗ってもらって五村に送るのは駄目と。


 ……


 どうしよう?


 ラナさんが来るのを待つとか?


 ラナさんなら乗らずに転移魔法で運べるだろ。


 いや、いつ来るかは知らないけど。


 ウルザも知らないって言ってた。


 ウルザが戻るときは、ラナさんじゃなく五村から飛行船を使うつもりだったらしいし。


 うーん。


 困った。


 結論はでなかったけど、転移魔法が使えるビーゼルがやってきたので解決した。





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― 新着の感想 ―
ビーゼルの転移魔法は、一度行ったところには一発で行けるようになるので(例えば、獣人族三人組のお嫁さん達と村長+正妻ズとの挨拶の時は獣人族三人組とお嫁さん達を魔王城からイッキに五村の麓まで転移している)…
村長的にはドラゴン達は妻子は無論としてドースたちも家族みたいなもんだから怖いという事が思い当たらなくなっちまってるからなぁ…ハクレンの超移動も体験しちゃってるから普通の飛行なら安全位に思ってるだろうw
ビーゼルは五村まで送ってくれるのかな?それともウルザの拠点まで? 後者ならビーゼルは何回も転移しなければいけないだろうし、魔王国VIPの初訪問となれば色々と準備も要りそうだから、やっぱり穏当に五村から…
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