幼馴染
城に戻ったユーク達は其々の持ち場に戻った。
カーラは執務室レミーは方々の見回り、クララはピエールに乗って鉱山への巡視だ。
ユークはミーシャとリオを連れて謁見室で先程の女性達が来るのを待っていた。
「ご主人様?先程の方達に見覚えはお有りなのですか?」
「う~~ん、何処かで見た気もするんだけどはっきりとは覚えてないんだよね」
「私を奴隷にしてからではないと思いますよ」
ミーシャが奴隷に成ってからならミーシャも覚えてると言うが、全く知らないから違うだろうと言う。
「でも冒険者に成ってからミーシャを迎えるまでは1年も経って無かったしそれまでに知り合ったのはレミーとリーンさん、後はパーティーを組んだ事がある人しか居ないんだよね」
「そのパーティーに居た人では?」
「それはない。男しか居なかった筈だし」
「そうですか。・・・あっ、来られたみたいですね」
ミーシャの言葉と同時に扉がノックされてユージンが入ってくる。
「ユーク様、謁見したいと冒険者が見えてますがお通ししても宜しいでしょうか?」
公私を弁えてユージンがユークに問いかけてくる。
ユークは頷き構わないと伝えた。
「王と王妃の前で有る。失礼の無い様に!」
ユージンは謁見室の外で待機しているであろう2人に向けて告げ、部屋に入るように言った。
「ユージン様下がって構いませんよ」
ミーシャに言われ、相手がユークなら万が一も起きないと解っているのでユージンは部屋を後にした。
勿論外には騎士が2人待機している。
「先程は失礼しました。場所が場所だけに手荒な真似をした事をお詫びします」
ユークは騎士が取り押さえた事を詫びて話を続けた。
「ところで、何処かでお会いしましたか?失礼だとは思うのですが全く記憶にないのですが」
年長の女性が悲しそうにユークを見ていた。
しかし話しだしたのは年下の女の子だった。
「ユークお兄ちゃん。私の事も覚えてないの?」
ユークは尋ねられた少女の方を見つめ記憶を遡った。
「・・・・・・もしかしたらソフィア?」
少女はやっと解って貰えたと満面の笑顔で頷いた。
「ユーク様、私は思い出せませんか?」
先ほどちゃん付けで呼んだ女性も顔を上げてユークにしっかりと見せた。
「もしかしてサラお姉ちゃん?」
「やっと解ったの!」
サラと呼ばれた女性はプンっと頬を膨らませて横を向いた。
「やはりお知り合いだったのですか?」
ミーシャが怪訝そうに聞いて来た。
「うん。今思い出した。 彼女達はブラハ村の幼馴染なんだ」
「幼馴染ですか。あっ・・・」
ミーシャは何かを思い出したのか口をつぐんでしまった。
「どうかしたの?」
ユークに尋ねられると答えるしかないとミーシャは答えることにした。
「以前ドロシー様が言っておられた、子供の頃に告白された相手では無いかと思いまして」
ミーシャの言葉に『そんな事言ってた?』と、ユークは考えたのだがサラが代わりに答えてきた。
「そうです。私が告白したの。で今日はその返事を聞きにきたの・・・って言うのは冗談だけど、ユークちゃんに少しお願いがあって来たの」
「お願い?」
ユークは聞き返す。
ミーシャもドロシーから告白は断っていたと聞かされていたので冗談に釣られる事は無かった。
サラは残念そうに苦笑いをして話しだした。
「ユークちゃんにダンジョンから帰って来ない仲間を助けに一緒に行って欲しいの」
「帰って来ない?」
「ええ、私の旦那なんだけどね」
「サラお姉ちゃん結婚してたんだ。」
「1年前にね。それで、話を戻すけど、普段は私と他のメンバーでダンジョンに行ってたんだけど、・・・この子、ソフィアが成人して冒険者になるから面倒を見て欲しいって叔母様に頼まれていたからブラハ迄迎えに行っていたのよ。その間に旦那はダンジョンに行ったらしくて、書置きの日付の日になっても戻らないの」
「それで探して欲しいって事?」
「最悪のケースも考えられますね」
黙って聞いていたミーシャが答えるがサラはそれはまだ大丈夫だと言う。
理由はパーティー名が消えないからだと言うのだ。
今までユークも知らなかったのだが腕輪に登録されたパーティーは死ぬと登録が破棄されて名前が消えるのだそうだ。
「パーティーなら念話も使えるのでは?」
ユークの質問にサラが答える。
「それがパーティーを組んでからまだ誰も覚醒してないから使えないの。私もまだEランクだし誰もダンジョンウォークすら持ってないのよ」
「ご主人様出来るだけ早い方が良いかも知れません。」
「そうだね、ダンジョンは何処かわかってるの?」
「それも解らないのよ。近くだとするならセルトの第5ダンジョンなんだけど最近はコンラットのダンジョンにも行ってたしブラハからならコンラットのダンジョンも近いからどこを探せば良いか解らなくて。」
「それだと探し用がないね、しらみつぶしに探すにしても時間が掛かりすぎる」
ユーク達はいい考えも浮かばずにセドリックに助けを求めた。
「そうですね。確実なのはサラさんが念話を覚えるのが一番です。念話なら相手が持ってなくてもこちらから話しかければ答えてもらえますから」
それを聞いてユークは『そうか』と閃いたのだ。
「でも全くランクが上がらないのだけど・・・」
「そうですねご主人様とダンジョンに行ってもサラさんの経験値は上がりませんものね」
「ミーシャ、何か忘れてない?」
ミーシャはユークに問われて暫し考え込む。
「・・・その手が有りましたね!」
ようやく気がついたみたいだ。
「その手って?」
「サラお姉ちゃんのパーティーに僕が入れば良いんだよ。そして僕が倒すと経験値がお姉ちゃんにも分配されるから早く覚醒する。それから念話で呼びかければ良いんだよ」
「ユークちゃんがSランクなのは知ってるけどそんな簡単に上がる訳無いじゃない」
「それは大丈夫です。ダンジョンに行けると言う事はパーティーにDランク以上の仲間が居るのでしょう。それだけでもかなりの経験値が蓄積されて居ると思われますし。ご主人様ならEをDにするくらいなら1時間も掛かりません」
「い、1時間???}
「はい、問題有りません」
「石像って何処に置いてあった?」
ユークは説明の時間も勿体無いとリオに尋ねる。
「はいカーラの執務室に有りますよ」
「そっか、持ってきて貰うより行くほうが早いか」
そう言いユーク達は立ち上がりサラとソフィアを連れてカーラ(本当はユーク)の執務室に向かった。
ノックも無しに部屋に入って来た人物にカーラは失礼なと視線を向けたがユークだと解ると笑顔に変わった。
「あら、旦那様なにか御用ですか?」
「うん少し石像を使う。細かい話はミーシャ達に聞いて。」
ユークは石像を取り出し来客用のテーブルの上に置いた。
紙を取り出しパーティー ユークと書いた。
サラにも同じ様に書いて貰った。ついでだとソフィアにも書いて貰い。先にユークのパーティーにソフィアを入れる。
そしてサラの方にユークを入れた。結果ユークの腕輪にはサラとソフィアがパーティーとして登録されたのだがサラの方にはユークだけが増えた形になったのだ。
カーラはリオから事の顛末を聞いていたのでコンラットの冒険者ギルドに覚醒の手配をしていてくれると言うので任せる事にした。
「多分ソフィアも上がるだろうから2人分ね」
「はい。お任せ下さい。」
「後は何で経験値を上げるかだけど火竜が早くて良いかも知れないね?」
ユークはミーシャに訪ねた。
「そうですね。しかし直ぐに見つかりますかね」
「アリシアに聞けば見つかると思うよ」
「成る程です。」
サラ達を脇目にユークとミーシャは話を進めるのだが、サラにとって火竜等絶対に避けねばならない魔物なので焦ってしまった。
「ちょ、ちょっと待って!簡単に火竜って言うけど下手したら死んじゃうのよ!」
「あ~知らないとこう言う反応になるのですね」
ミーシャは面白そうにクスクス笑いながら答えた。
「ご主人様が戦うので心配は要りませんよ、サラさんとソフィアちゃんは私とリオが守ります。必要もないでしょうけど・・・」
ユークはサラの相手をミーシャに任せてアリシアに連絡をする。 アリシアは言わずと知れたドラゴン部隊のリーダーだ。
(アリシア?)
念話で呼ぶ。
(えっユーク様?)
(うん、少し聞きたいんだけど、今直ぐ倒しにいける火竜っている?)
(火竜ですか?1匹で宜しいのでしょうか?)
(出来れば2匹が確実かな?)
(2匹ならフルールに番がいます。)
(フルールの何処?)
(バリウ草原の南西に巣が有ります。しかしまだ卵は有りません)
(今回は卵は諦めるからいいや、南西だねピエールで行くほうが解り易い?)
(そうですね空から見れば直ぐに解ると思います)
(解った、直ぐに向かうことにするよ。有難う)
(いえ、お役にたててなによりです)
「見つかったよ火竜2匹の巣が有るらしい」
「流石に早いですね。場所は何処でしょう?」
「フルールのバリウ平原南西だって」
「ではピエールですね」
「うん」
ユークはミーシャに知らせてから直ぐにクララに呼びかけた。
(クララ聞こえる?)
(はい。ユーク様)
(ピエールが必要なんだ直ぐに戻ってこれる?)
(5分で帰ります)
(お願い)
「5分で戻って来るって」
「問題はサラさんたちがピエールに乗れない事ですね」
「僕だけ先に行って場所を確認してくる。」
「解りました。剣の用意だけで宜しいでしょうか?」
「うん。頼んでいい?」
「はい。小屋の方に用意して待機しておきます。」
ミーシャに任せてユークは一人クララを迎えに外に出ていった。
「さてリオ。ご主人様の剣を持ってきて下さいな」
リオは頷き部屋を出ていった。
「サラさんとソフィアさんは付いて来て下さい」
ミーシャはカーラに行って来ます。と、一声掛けてサラ達を連れて小屋(練兵場)に向かったのだった。
外に出たら既にユークの姿はなくクララが一人待っていた。
「クララ、ご主人様はもう出られたのですね?」
「あっミーちゃん、今ワープで出かけたところだよ」
「それではクララも中に入りましょう」
ミーシャはクララも連れて小屋に入っていった。
小屋の中には水神竜のウィンが休憩していた。
「ま、魔物~」
流石にSランクの魔物を初めて間近に見たサラとソフィアは腰を抜かしていた。
「あら、水神竜は初めて?」
ミーシャはサラ達に言い、普通に近づいて言った。
「ウィンおいで」
ミーシャに呼ばれて隊長15mの巨体がゆっくりとミーシャに近づいて来る。
ウィンはミーシャに顔を寄せて撫でて貰おうと目を閉じた。
ミーシャはウィンの顔を両手でしっかりと撫でて可愛がっている。
「あ、あのミーシャ様、怖くないのですか?」
おどおどとサラが聞いて来る。
「怖い?可愛いわよ、この子達は私達には絶対に牙を剥かないもの」
「これがコンラットのドラゴン部隊ですか?」
サラの言葉にクララが否定した。
「違いますよ。この子達もドラゴン部隊と言えるかも知れませんが、本来は火竜だけの部隊の事をドラゴン部隊って言うのです」
「火竜ですか」
「ええ、もう直ぐユーク様が戻って来られます。一緒にいる火竜がユーク様と王妃専用の火竜でピエール。ドラゴン部隊の隊長格の火竜ですわ」
クララがサラに説明をしてる時にリオが黒耀剣を抱えて入って来た。
「リオさん黒耀剣を持っているって事は討伐ですか?」
「ええ、この方達はご主人様の幼馴染らしくてランク上げに協力するそうなの」
「成る程です」
「ミーシャさん用意出来ましたよ~」
リオはウィンと遊んでいるミーシャに声を掛けた。
「ご主人様が帰ってくるまで待機してて!」
ミーシャに言われてリオは黒耀剣を背中に背負いサラ達と話し出した。
今から火竜を倒しに行くとは到底思えないほのぼのとした雰囲気にサラは不安を隠せなかった。
「そうだウィンなら触っても怒りませんけどピエールには近づいても触らないで下さいね。多分怒りますから何か有ってからでは遅いですから」
「あっちなら触っても良いの?」
黙ってミーシャを見ていたソフィアがクララに聞いて来た。
「ええ、ウィンなら触るくらいなら怒らないわ。背中に乗るのは無理だけど」
ミーシャが背中に乗ってイケの中央迄行っているのを見てクララが答えた。
「触りたいの?」
リオがソフィアに聞いてみる。
「うん」
リオはソフィアの返事を確認してミーシャに声を掛けた。
「ミーシャさんソフィアちゃんがウィンを触ってみたいらしいの」
「解ったわ、ウィン、リオの所へ」
それだけでウィンはゆっくりとリオの近くまで泳いでいった。
ミーシャが飛び降りウィンがリオに首を差し出してくる。
「ソフィアちゃん触ってあげて」
ソフィアは怖くないのか普通にウィンを撫で始めた。
「く~~~」
ウィンも喜んでいるのが解る位に声を上げた。
「サラさんも触ってみれば?」
ミーシャに言われて恐る恐るサラはウィンに手を伸ばした。
その時ウィンが首を少し動かしたのにサラは驚き尻餅を付いてしまった。
「あははは」
サラ以外の皆が大きく笑った。
「サラさん本当に何もしないから怖がらなくて平気よ。それにそんなに怖がったらウィンが可愛そうだわ」
「でもSランクの魔物ですよ」
「確かに魔物ですけど、この子達は人に危害は絶対に加えないもの」
ミーシャはそう言ってウィンの口に顔を近づける。
ウィンはミーシャの匂いを嗅いで『く~~』と俺しそうに一鳴きした。
サラもその光景を見てウィンにまだ怖々だが手を伸ばした。
自分の身長近い顔に触れるとウィンはゆっくりと目を閉じた。
初コンタクトを済ませた時にウインが首を伸ばしてそらを見上げたのだ。
「なに?」
サラが真っ先に警戒したがミーシャが答えた。
「ご主人様がお戻りに成ったのよ」
見上げた空が一気に暗闇にん見込まれた。
隊長20mを超えるピエールがつくった影だ。
ユークはウィンから少し離れた所に着陸してピエールから飛び降りた。
「お待たせ」
流石にサラとソフィアはピエールの迫力にあっけにとられていた。
「ピエール御苦労様!」
ユークはピエールを一撫でしてからウィン(ミーシャ)の方へ歩き出した。
「クララも仕事中に御免ねもう良いから戻って」
「はい」
クララはユークに言われピエールに乗って鉱山の方に飛んでいったのだ。
「あれが火竜」
「あれ?サラお姉ちゃんって火竜見るの初めて?」
「火竜どころか水神竜も初めて見たわ」
ユークは聞きながらウィンに近寄る。
「ご主人様、先程初めてウィンに触られてウィンも嬉しそうでしたよ」
「へ~そうなんだ、ついでだし少し乗ってみる?」
「乗れるの?」
答えたのはソフィアだった。
「乗れるよ!」
「乗りたい」
ソフィアの意見は決まっているのだがミーシャが待ったを掛けた。
「ご主人様時間が勿体無いですウィンで遊覧するのは帰ってきてからで宜しいでしょう。人命がかかっているのをお忘れなく」
「あ~そうだったね。ソフィア帰ってきたら乗せてあげるからそれまで我慢してね」
ソフィアは本来の目的を思い出したのか渋々我慢した。
「火竜の巣は見つかりましたか?」
「ああ。直ぐに行こうか。リオ、剣を」
リオはユークに黒耀剣を渡してサラとソフィーに近くに来る様に告げた。
ユーク達は一瞬で火竜の巣が目視で見える場所までワープした。
「色々聞きたいことも有るだろうけどそれは後で。」
ユークはミーシャ達に『行ってくる』と一声掛けて火竜の巣に単身飛び込んでいった。
サラはユークの行動に理解が追いつかない。
しかし走るユークの姿すら確認出来無いのだ。
ユークが姿を消して2秒後ミーシャが声を発した。
「そろそろアイテムの回収に行きましょうか」
「そうだね」
リオはミーシャの言葉に頷いてサラ達のペースに合わせて火竜に近づいていく。
「サラさんとソフィアちゃんもついてきてね」
サラの視線の先にはまだ火竜が動いているのだ。
当然怖くて近づけない。
「ついてきてくれないと守れないのよだから付いて来てね」
もう一度ミーシャに言われて恐る恐ると歩き出したサラとソフィアは我が目を疑った。
視線の先の火竜がいきなり四散して消えたのだ。
「ミーシャ様もしかしてもう倒したの?」
「ええ、先程私が声を掛けた時にはもう斬る寸前だったもの」
余りの凄さにそこから先は言葉もなかった。
ミーシャ達が近づいて来たのを感じたユークは声を掛けた。
「やっぱり卵は無かったね、それにアイテムも肉だったよ。」
リオは素早く肉を集めてミーシャのマジックポーチに収めた。
「サラお姉ちゃんとソフィア腕輪を確認して!」
半分固まったままの2人は言われるままロボットの様に腕輪を確認した。
2人共赤に成っている。
「行けたね。それでじゃあギルドに移動するよ」
言うや否や視界はギルドの中に変わっていた。
「ユーク様カーラ王妃からお話は伺っております。準備は出来てますのでこちらへ」
ユークはサラとソフィアに付いていく様に促してミーシャ達と久しぶりだと依頼の掲示板を覗きに行った。
当然受けるつもりは無いのだが、掲示板には思ったよりも依頼は少なかった。
「少ないね」
何気ない疑問が知らずに口に出ていたのだ。
「ユーク様のお膝元と言う事もあって冒険者が多いので依頼の消化も早いのですよ」
答えたのは同じ様に依頼を見ていた冒険者だった。
「そうなんだ」
冒険者に教えてくれた礼を言いサラ達を静かに待つ事にした。
暫くしてサラ達が出て来たので念話の確認をして貰う。
勿論2人共持っていたのでそのままコンラットのダンジョンから調べることにした。
コンラットのダンジョンに着いた一行はサラに直ぐ念話で呼びかけてもらった。
しかし全くの返事無し。
直ぐ様セルトの第5ダンジョンに移動したが此処でも返事無し。
仕方無いとその次に拠点に近いダンジョンと言う事で第4ダンジョンに移動した。
「ここで駄目なら王都のダンジョンの方に行ってみようか?」
「そうですね」
ミーシャの返事を確認すると、サラが返事が有ったと答えた。
「居ました。」
「良かった。今、何階層に居るか聞いてみて。」
「・・・・」
暫く沈黙が続いている。
「階層は解らないけどオーガに追われて逃げて移動しているらしいです。」
「4番ダンジョンでオーガって言うと最下層に行ってるの?」
凄い実力者なんだと当然ミーシャもユークと同じ事を思った。
しかし翌々聞いてみると逃げ回ってる内に戻れなくなってどんどん下に行ってしまい帰れないらしいのだ。
「兎に角最下層に移動するけど後衛はミーシャに任せる。オーガだし余裕だと思うけど危なかったら声を掛けて。」
「はい、お任せ下さい」
「リオは2人の護衛を頼んだ。」
「はい」
「サラとソフィアは自分のペースで進んで良いから決してリオから離れない様にね」
「「うん」」
一気にワープで最下層に移動してユークは探索のスキルを発動した。
「あっちに3人の人の気配が有る。サラ。パーティーって3人?」
「違うわ私を入れて3人だから後2人よ」
「違うのか。でもほかに居ないんだけど・・・」
ユークが頭を捻っている所でリオがサラに声を掛けた。
「サラさん旦那様に人数を確認して貰えますか?」
「ええ」
「・・・・」
「3人で動いてるらしいです。」
ユークは解ったと頷き気配の方の壁に黒耀剣を振るった。
みるみる今まで存在すらしていなかった道が出来上がっていく。
ユークは3人の近くに2匹のオーガの気配も察知していたのだ。
急がないと間に合わないと思い最短距離を作っているのだ。
ユークの移動速度に当然ミーシャ達は取り残された形になるが後ろから聞こえる悲鳴じみた声はサラの声ばかりだ。
ユークはミーシャとリオなら問題無いと意識を3人に向けて道を作っていく。
多分この隣にと思った時に3人が挟まれる感じでオーガの気配が現れた。
まずいと思いユークは一気に壁を壊してオーガの後ろから3人に向けて声を掛けた。
「その場に伏せて!!」
突然掛けられた声の威圧感でサラの旦那達と思われる3人組は床に貼り付けられた。
ユークは黒耀剣を横手に持って全力で疾走した。
あっという間に3人を追い越しその先にいるオーガも一閃の下に断ち切ったのだ。
僅か3秒足らずの瞬殺劇だった。
直ぐにミーシャ達の方に意識を戻すが、何事も無く近づいてきていた。
どちらも確認できる位置に戻りミーシャ達の到着を待つ。
助けられた3人は腰を抜かしてるのと半分諦めていたのとで声すら出せなかった。
ミーシャ達を遠目に3人にユークが声を掛けた。
「怪我は有りませんか?」
先程の威圧感が嘘のように消えた優しい声に3人は落ち着いたのか声を出すことが出来る様になった。
「助けて頂いて有難う御座います。怪我はありません」
「そうですかそれは良かった。立てますか?」
3人は何とか支え合って立ち上がる。
「では付いて来て下さい」
ユークは声を掛けてミーシャ達の方に歩き出した。
遠くからサラが旦那を呼ぶ声が聞こえてきた。
「・・・ベ・・・ン・・・」
「サラ~~~~!!」
暫く歩いてミーシャ達と合流した。
「ミーシャ、リオ、御苦労様!」
サラは旦那と抱き合ってわんわんと泣いている。
「感動の再開は後にして取り敢えずコンラットに戻ろうか」
「はい」
ミーシャ達は簡単に返事をしたのだがサラの旦那は理解が追いついていない。
「取り敢えず城で落ち着いて話をした方が良いからね」
ユークはサラに確認して頷いたのを見てワープで全員纏めてコンラットの謁見室に移動した。
「リオ、剣をお願い」
そう言ってリオに黒耀剣を渡した。
リオはユークから受け取り謁見室を後にした。
(エマ、謁見室まで来て)
(畏まりました)
ユークはっ直ぐに念話でエマを呼び寄せた。
「ユーク様まかりこしました」
「有難うエマ、食事の用意を頼めるかな5人分追加で頼むよ」
「畏まりました。5分後には整えておきますが食事はどちらで摂られますか?」
「そうだね僕の部屋だと全員は無理だから食堂で良いよ!」
エマはユークから指示を受け足早に謁見室を後にした。
「兎に角無事で良かったです」
「有難うユークちゃん」
「いえいえ気にしないでいいよ。所で紹介して欲しいんだけどいいかな?」
「あっ、うん。旦那のベンと仲間のギネスさんそれから・・・」
「私はホリー、ギネスさんとお付き合いしてます」
「それで3人だったんですね。僕はユーク、となりは」
ユークはミーシャを見た。
「私はユーク様の妻でコンラット国第一王妃のミーシャと言いますお見知りおきを」
「えっ、ユーク?コンラットのユーク王?えっ、えぇぇぇぇぇぇ」
「はいその認識で間違いありませんが王は勘弁して下さい。それにサラさんは幼馴染で姉の様な人ですから」
ユークは照れくさそうに自己紹介をした。
「6日もダンジョンに潜っていてお腹も空いたでしょうし話は食事をしながらいたしましょう。部屋も用意させますから今日はこちらに泊まって行って下さい。ソフィアとの約束も有るからね。」
ソフィアに軽くウインクをした。
暫くするとエマが呼びに来たので皆で食堂の方に移動した。
食堂には侍女達の姿はなくリオ、レミー、カーラ、クララが既に座っていた。
「あれ他の人は?」
「ユーク様がお客様とお食事をなさると言う事でしたので控えさせております」
エマが答えた。
聞かれてまずい事も無いだろうけど気を使ってくれたのだと解るので何も言わずにおいた。
食事を配膳されてリオ達が自己紹介をしてから食事となった。
べン達は緊張してなのか余り食事も進んでないのだが、ユークは話を切り出した。
「どうして最下層まで行ったのですか?あなた方の力なら7階層辺りでもきついと思うのですが」
聞けば8階層と9階層で全く魔物と当たらなかったので先に進んだのだがそこから、帰り道方面から魔物に襲われたのだそうだ。
逃げてる内にどんどん最下層に近づいて行き戻るに戻れないので逃げ回っていたのだそうだ。
「ダンジョンに入るならせめてダンジョンウォークのスキルを持ってる人と入らないと命が幾つ有っても足りませんよ。」
「それにしても無謀過ぎます。サラさんがたまたまご主人様の幼馴染だったから良かったですけどセルトの騎士に頼んでも最下層の探索には最低でも3日はかかります。」
ミーシャがベン達を見てきつく嗜める。
「すいませんでした」
「僕は別に構わないのですが、残されたサラおねえ・・サラさんは本当に心配してましたよ。自身の実力を超えるのは無謀過ぎます。残される人の事も考えてから計画を立てないと本当に死にますよ」
「はい」
「お叱言はこれくらいにしましょう。せっかくの火竜のステーキが不味くなりますからね」
「やはりこれがドラゴンステーキですか」
「ええ、どうです。ぼくは大好きなんですよ」
「とっても美味しいです。こんな肉が食べられるなんて夢のようです」
「そこまで大げさな物ではないですけどね」
「いえ、私達みたいな冒険者には夢の様な肉です。」
「そうですか?今度オープンした【まんぷく亭】と言うお店が有るのですがそこなら格安で食べられますよ!}
ちゃっかりと宣伝することを忘れないユークだった。
「皆さんの拠点はセルトですよね?」
「いえ、決まってないです。依頼を受けた町や村を移動しながら暮らしてます。」
「そうなんですか?」
「はい、今回はパーン商都で依頼が有ったので、拠点にしていたんですがギネスがホリーさんとお付き合いする事になったので当分はパーンに住むかも知れません。」
黙って聞いていたホリーが自分の事を言っていたので声を出した。
「あ、あの、私も宿屋で生活してますから移動するなら付いて行きたいと思いますし、パーンに拘わり有りません」
「そうですか。それならコンラットに住みませんか?」
「ご主人様?」
「いや別に変な意味は無いし何かを優遇するとかも無いんだけどね。このままだとまた無茶をしそうだからもう少し鍛えて上げるのも有りかな~って思ってね」
「本当ですか?」
これにはベンが即座に反応した。
「ええ、サラさんとソフィアの幼馴染としては2人を悲しませない様にして上げたいですから、毎日は流石に無理ですがこの国なら騎士隊も優秀ですし冒険者としてやっていくなら問題無い位の腕には直ぐになれると思うんですよ」
「有難う御座います。」
「この後客室を用意させますからゆっくり相談して決めてください。・・・それと話は変わりますが部屋はどう分けます?サラさん達夫婦は同室で良いとしてソフィアは一人がいい?」
「私は一人でも相部屋でも大丈夫です」
「ホリーさんとギネスさんは同室ですか?」
「私はまだ恥ずかしいので、別がいいです」
ホリーが答えたので、ソフィアとホリーを同室にしてギネスが一人部屋に泊まることになった。




