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神様の棄児  作者: ryo-KK
4章 王国
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魔法騎士

「ご主人様?そろそろ今日の予定をお聞かせ下さいますか?」


「えっ」


ユークは朝食を食べ終えて私室でお茶を飲んでいた。


「レミーとカーラとクララは仕事に行きましたよ」


部屋を見回すとミーシャとリオしか居なかった。


「あれ、いつの間に部屋に戻ってきたの?」


「やはり考え事をしてらしたのですね」


「ああ。ごめん少しね」


「扉の事をお考えなのだろうと思ってました」


ミーシャの言う様にユークは魔族の転移魔法陣の事を考えていたのだ。


もし魔族が扉を通って来たらコンラットは目と鼻の先なのだ。


一応ダンジョンウォークが使える騎士を連れて行き監視を怠ら無い様には指示しているが、心配で仕方なかった。


「アポリウス様も監視だけしていれば良いと仰っていたでは有りませんか、余り気になさらないで下さい。私達はご主人様に笑っていて頂きたいのです。」


「そうだね、御免ねミーシャ!」


「いつアポリウス様に連絡なさったのですか?」


「ああ、昨日ね、アポリウスさんは結界とか魔法に詳しいって、以前聞いてたから知ってるかと思って聞いてみたんだ」


リオが不思議そうに聞いてきたのでユークが当たり障りの無い様に答えた。


「そうだったんですか。アポリウス様って素敵な方ですよね。お綺麗で、ご主人様に近い感じがして憧れてしまいます」


なかなかに鋭い感性だ。


「うんアポリウスさんが言うには何かの結界だろうけどまだ何か解らないから監視だけして手出ししない様にと言われたんだ」


「だから気になってたんですね?」


「そう言う事!」


ユークは軽く説明してミーシャを見て、『もう大丈夫』と。笑ってみせた。


「今日の予定だけど、久しぶりに騎士隊の練習に参加してみようかと思ってる」


「私達もご一緒して宜しいのでしょうか?」


ミーシャが聞いて来る。


「勿論一緒に来て欲しいけど、ミーシャ達の方は大丈夫なの?何か別に仕事とか有るなら・・・」


「私達にご主人様の用事以外に重要な仕事など有りません」


言い終わらない内にミーシャに答えられた。


「ご主人様の側に居る事が私の仕事ですから」


「私もですよ!」


リオも慌ててミーシャに続いた。


エマに練兵場に行く事をレミーとカーラ、セドリックに伝えて欲しいと頼みドームに向かった。


ペットが増えてドームが狭く成ったのもあり現在はドームに併設されるように外にも練兵場がある。


外の練兵場は観覧席が有るだけの質素な作りだが広さは1kmを超える円形の闘技場だった。


まだペットの数も少ないので、屋内型のドームでの練習が盛んに行われているが、外では魔法の練習が行なわれる事も多かった。


ドーム内にはクララの姿も既に無く、ユージンが水神竜のウィンを手入れしていた。


「ユーク!クララ嬢なら鉱山の地竜の所を回ってくると言ってさっき出かけたぞ」


「そうですか、ユージンさんはウィンの手入れですか?」


「ああ、こいつは昨日徹夜で警護してくれたからな、綺麗にしてから休ませてやらんとな」


「そうですか、良かったなウィン!」


ユークは言いながらウィンの首を撫でた。


「ウィンも綺麗にして貰って嬉しそうですね」


ミーシャの言葉にウィンも答えた。


「く~~~」


「今日は騎士隊の練習はしてないいのですか?」


「ああ、騎士隊はダンジョンに実戦練習に出かけている。」


「そうですか」


「魔法騎士隊なら外の方で練習してると思うぞ」


「解りました。少し見に行ってきます。」


そう言ってユークはユージンとウィンに手を振って外の練兵場に向かったのだった。


「ドロシーさん、お疲れ様です」


ユークは部下に指導していた魔法騎士隊隊長のドロシーに声を掛けた。


「おや、ユーク、こんな所に顔を出すなんて珍しいね」


ドロシーはアルバの元パーティーでユークが物心がつく前から知っているので気さくに話しかけてくるのだ。


年齢もアルバと近くユークの事を自分の子供だと思ってくれているので、ユークやミーシャも気にしていなかった。


「少し練習に付き合おうかと思って来たんですが、邪魔でしたら帰ります。」


「ユークが練習相手をしてくれるのなら嬉しい限りだよ。勿論ミーシャちゃん達も手伝ってくれるんだろ」


ドロシーの言葉にミーシャが答える。


「私は魔法はダメなんです。」


「ああ。そうだったねミーシャちゃんは剣士だったね。」


「はい、申し訳有りません」


「あはは、構わないよ。リオちゃんは魔法戦担当だったね」


「はい、ご主人様には足元にも及びませんが・・・」


「ユークに勝てる奴が居たらそれこそびっくりだよ」


ドロシーの提案でまずは1対1の模擬戦が行われる事になった。


「ユークの相手は、そうだね~」


ドロシーは暫く考えて副隊長のシャーリーを指名した。


「私が勝てる訳無いじゃありませんか!」


「誰がやっても勝てないのは解ってるよ!だからハンデ戦にする」


そう言ってドロシーは2m程の紐の先に風船をくくりつけた物をシャーリーに渡した。


「風船の反対側の先を腰に結びな!」


この風船は魔法でしか割れない様になっていて浮く様に成っているのだ。


「いいかい。ユークはシャーリーの風船を割ったら勝ちだ。でも魔法をシャーリーに当てたらユークの負け。 シャーリーはユークに魔法を当てたら勝ちだ」


要はシャーリーは風船を割られないでユークに魔法を当てるだけで良い。ユークは風船以外に魔法を当てたら負けと言う事だ。


「それだとご主人様が怪我をされるかも知れません。反対です。」


ユークを気遣いリオが意見を言うのだが、ミーシャに止められる。


「リオ大丈夫ですよ。ご主人様に魔法が当たったとしても擦り傷すら出来ませんよ。」


ユークも当然とリオを納得させた。


「ユーク様、私はこれでもCランクですよ。当たれば多少は怪我をするかも知れませんよ」


シャーリーの意見も解らなく無いので、ユークはミーシャに魔法を自分に掛ける様に指示した。


「ウォーター!」


ミーシャは躊躇無くユークの指示通りに全力でウォーターをユークにぶつけたのだった。


ドロシーの魔法よりも遥かに威力の有る魔法にドロシーもやり過ぎと思った。


「ミーシャちゃんそれはやり過ぎでしょ」


「いいえこれ位ならまだまだ余裕だと思いますよ」


ミーシャは平然と答えた。


魔法が収まり皆の目がユークに集まるが、ユークは何事も無かった様に平然と立っていたのだ。


「ミーシャの魔法も随分強くなったね。」


余裕でミーシャを褒めた。


「はい。ご主人様にはまだまだ及びませんがAランク並には使えると思ってます」


「これで解って貰えましたか?シャーリーが幾ら僕に当てようとも問題は有りませんから思い切って攻撃してきて下さい。」


流石に騎士隊も唖然としていたが怪我すらさせられないと半分馬鹿にされた様で意地でも当ててやると気迫が篭って来たのだ。


「始め!」


ドロシーの合図に最初に動いたのはシャーリーだった。


避けられる事を考えてファイアーストームの範囲攻撃を繰り出してきたのだ。


ユークは魔法の範囲が広い事から走っては避けられないと瞬時にワープを唱えてシャーリーの後方に移動した。


シャーリーは魔法が当たったと思っているらしくじっとユークが居た場所を見つめていた。


「副長!後ろです。」


ユークに気づいた他の隊員が声を掛けた。


シャーリーは直ぐ様振り向きユークを確かめようと探すのだが、既にユークの姿は無かった。


他の隊員も必死に探しているのだがミーシャ以外でユークを捉えられる者は居なかった。


「後ろよ」


ミーシャの一言が聞こえたと同時に『ぱ~ん』と、風船の割れる音が響いたのだ。


ユークは人差し指を空に向けてシャーリーの20cm後ろに堂々と立っていたのだ。


「そこまで」


ドロシーの終了の声が聞こえてシャーリーは我に返った。


「いつの間に?」


「ミーシャちゃんには見えてたみたいだね?」


ドロシーの言葉にミーシャは頷き答える。


「本気のご主人様の動きなら私にも見えませんが、今の動きはかなり抑えてましたから」


ミーシャの言葉に一同は言葉をなくした。


ミーシャ以外全く見えなかった動きが手抜きだと言われたのだ。


「別に手を抜いた訳では無いよ。全力を出すと後が辛いからね、ギリギリの所で力を出しただけなんだ」


ユークの言葉を聞いてドロシーがシャーリーに声を掛けた。


「解ったかいこれがSランクの力だよ!私にも見えないのをシャーリーが見える訳無いのが普通なのさ」


ドロシーはミーシャにも全力で移動する様に頼んだ。


「いいかい、ミーシャちゃんもAランクの冒険者だ。良く見ておきな」


動いて良いと言われミーシャは全力で駆けた。


しかしミーシャの動きをはっきり認識できたのはユークとリオだけだった。


「解るかい今のミーシャちゃんなら私でも影位なら追えるけど捕まえられないんだよ。ランクの差と言うのがどれ程大きいか解っただろ」


そこを良く考えて魔法を使えばユークには無理でもミーシャちゃんやリオちゃんとなら十分戦えるんだよ」


ドロシーの言葉を聞いて、テリアとエリスが手を上げた。


「私達と後3人でリオ様と模擬戦をお願いします」


リオは喜んで引き受けますと前に出た。


「私もご主人様のおかげで人並み以上に強くなれたと思ってます。少し試したいことも有るのでやらせて頂きたいです。」


リオがそこまで言うならとユークは許可を出した。


両方が風船を付けて狙うと言う条件で1対5の模擬戦は許可された。


「リオ様、絶対に勝ちますから、お覚悟を!」


テリアの言葉にリオも返した。


「そうね、負けるかも知れないわね。でも戦う前からそんなに力が入ってたら上手く動けなくなるわよ。ご主人様を見ていて解ったの。力を入れるのは相手に当てる寸前だけで十分だと。」


リオの言葉を聞き終わりドロシーが開始の合図を発した。


「始め」


テリア達は扇状に広がりリオを取り囲んだのだ。


リオは直ぐに足元にウインドをぶつけて土煙を煙幕として使った。


テリアは想定内とエリスにも指示を飛ばした。


「エリスは私と後方の警戒。残りの3人は土煙の位置に魔法をぶつけて!」


3人が魔法を唱えようとした時にエリスが叫んだ。


「後ろに回ったわ!」


3人も振り返りリオを探す。


完全にリオの作戦勝ちだった。


リオはわざとエリスに見える様に動いて後ろだと思わせて直ぐに戻り5人の真横に姿を現し1発の魔法をコントロールして風船5つを割ってのけたのだった。


先程の見えないと言う利点を、見えると油断させての作戦であった。


「それまで」


ドロシーの合図で模擬戦は終了になった。


「リオ様初めから狙ってたのですか?」


「ええ、あなた達ガチガチに固まってたから反応が遅いだろうと思って、わざと見える速度で移動してみたの、そしたらやはり振り返るのにも時間が出来たでしょ。その隙に横に回って狙い撃ちって訳よ」


「もしもっと反応が早かったらどうなさっていたのでしょう?」


「そうね、その時はもう一度後ろに土煙を上げて移動したでしょうね。何回かやれば焦るでしょうからそこで狙い打つかな」


リオは焦りと緊張はミスを呼び易いと証明したのだ。


「あははは、流石にユークが選んだお嬢達だね。良く鍛えられてるね」


「私達はご主人様の戦いを何度も見てますから、戦いに大事なものは立ち向かう勇気だと知ってるだけです。技術はただご主人様に迷惑を掛けない様にしているだけですから殆ど有りません、それこそランクの差だと思います」


ミーシャの言葉にリオも頷いたのだが、ドロシーが意見を述べた。


「そうじゃないさ、あんた達はユークの指示で前線には立って無いんだろうけど何時でも動ける様に注意して見てる筈だよ、実践の緊張感の中でもいかに上手く動けるかを常に練習してるのさ。だからこそ落ち着いていられるんだよ」


騎士隊ももう少し実戦経験が必要だとドロシーは明日からのダンジョン攻略を隊員に指示した。


「ダンジョン攻略に文句は有りませんが、無理や無茶は絶対にしないで下さい。1人が無理をするとそれだけで仲間も危険になるからね」


ユークの言葉に隊員は頷き手合わせの礼を言ってきた。


隊員はそのまま隊員同士の模擬戦を始める。


ドロシーは観覧席に移動したユークの横に座り話しかけて来た。


「しかしユークも本当に強くなったね。」


「そうですか?」


「ああ、益々いい男になったよ」


ドロシーの言葉にミーシャが反応した。


「まさかドロシー様もご主人様を狙ってるのですか?」


「あはは、そんな気は無いよ。あたしが後20歳若ければ狙うかもしれないけどね。ユークは私の息子みたいなもんだ。安心していいよ」


ミーシャはホッと溜め息を付いてユークを見た。


「ユークもそうだけどミーシャちゃんもまだまだ伸びそうだね。何処まで伸びるか楽しみだよ」


「ご主人様はそうですけど私はそろそろ止まりそうです。」


ミーシャは自分の力が余り伸びてないからと理由もつけて答えた。


「それでもSSは確定してる訳だろ。今幾つだい?」


「18歳です。」


「その若さでAなんて今までの常識では考えられない速さだよ」


「ですがご主人様は既にSランクです」


「チッ、チッ、チッ、」


ドロシーは指を振り答えた。


「ユークは規格外だと考えないといけないよ。私が知る限りでは3歳の時に素手でゴブリンを倒してたからね」


「3歳でですか?」


「ああ、実際に見た訳では無いけど、アルバが驚いて知らせてきたからね」


ユークも知らない過去をドロシーから聞けてミーシャとリオは嬉しそうにしていたのだった。


その後もミーシャ達はドロシーからユークの子供時代の話を聞いて盛り上がっていた。


城に戻ってからミーシャ達にこれからも時間が有ればドロシー達と手合わせしたいと言って来たが、ユークの過去を知りたいだけだと思いユークは恥ずかしくて暫く寄り付かないと密かに誓った。


その夜



ガールズトークinベッド


㋹「それでそれで?」


㋷「ご主人様は10歳までおねしょしていたらしいわ」


㋯「リオ、余りご主人様の恥ずかしがる事を話してはいけませんよ」


㋹「良いじゃない、私達も知りたいわよ」


㋕「そうね、おねしょ位皆してた訳だし大丈夫だわ」


㋹「リオ他には?」


㋷「そうですね、9歳の時に幼馴染の女の子から告白されたって聞きましたよ」


㋹「新たなライバルの出現?」


㋕「そんな相手が居るなら既に此処に来ててもおかしくないわよ」


㋹「そうよね。その女の子ってどうしてるの?」


㋷「ご主人様が11歳の時に冒険者として独り立ちしたらしいので4つ上ですからもう結婚してるかも知れませんね」


㋹「ユーク様はその子の事何か言ってた?」


㋷「覚えて無いって言ってましたよ」


㋯「もしその方が現れても私達は変わらないのだから気にすること無いわよ」


㋹「あれ~ミーシャにしたら動揺してない?」


㋯「動揺などしません。ご、ご主人様の第一婦人は私ですから」


㋕「明らかに動揺してるわね」


㋹「大丈夫よ、ミーシャ以上にユーク様の近くにいられる女なんて居ないから安心しなよ」


㋯「だから気にしてないって言ってるでしょ」


㋕「あはっ、ミーシャさん可愛い」


㋷「初めて見ました。ミーシャさんが女の子相手に動揺してるところ」


㋯「もう。良いです。早く寝ますよ! おやすみなさい」


㋹「何一人で話を終わらせてるのよ」



ミーシャはそのまま寝てしまったが、リオ達はその後もユークの幼馴染や過去の話で夜ふかししていたのだった。

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