ユーリアの決意
「ユーリア様、只今戻りました」
「おかえり~~~」
「はぁ~」
気の抜けるユーリアの言葉にアポリウスはため息が出た。
「今回の魔族は、ムリルが地上界に来てました」
「ムリルちゃんって、ハーデスちゃんの側近じゃないの~?}
「はい、ヨルムに次ぐ側近だと記憶してます」
「理由は聞いた~~?」
「いえ、聞く前に倒されましたので」
「へ~~地上界にもムリルちゃんを倒せる人が居たんだ~~すごいね~~」
「はい、倒したのはユーク様です」
アポリウスは細かい経緯は全く知らない。ユークが怒っていた事しか解らなかったのだ。
「そうなの~~、さすがユークちゃんね!」
「はい、ですがユーク様はムリルに怒っている様で、私が駆けつけた後は止める間もなくムリルを倒してしまい理由は聞けませんでした。」
「そんな事はど~でもいいわよ~~。それよりも~ユークちゃんの事を話して~~」
「ユーリア様、お気持ちは解りますがムリルの件を解決しませんと」
しかしユーリアはムリルの事などどうでも良かったのだ。
ハーデスの考えなど既にお見通しなのかも知れないが、単に全く興味が無かっただけかも知れない・・・。
「ハーデスちゃんには警告しておいたし私にも考えが有るから大丈夫よ~~ん」
「考えとはなんでしょう?」
「それは、あ・と・で~」
それよりもとユークの話が聞きたかったのだ。
アポリウスはそれではとユークの事を話し始めた。
「ユーク様ですがコンラットの国王になっておられました。」
「え~~もうそんなに地位が高くなってるの~、ユークちゃんやる~~」
「それに結婚もなさっておいででした。」
「ユークちゃん結婚したの~~~。式は?」
「それは聞いてません」
「それで~?お嫁さんてどんな女の子なの~、可愛い?綺麗?」
「それが申し上げ難いのですが・・・4人と結婚されてまして、その他にも1人婚約者がいます・・・」
「まぁ~、あの人の血なのかしら、でもぉ~ユークちゃんモテモテね~」
「はい、それとユーク様の奥方達よりユーリア様に言伝を預かっております」
「えっ、アポちゃん姿を晒したの?」
アポリウスはミーシャに妻達を知って欲しいと王宮に連れて行かれた事や妻たちの名前をユーリアに話した。
「ユーリア様にユーク様を産んで下さって有難う。自分達がユーク様に相応しいか解らないが世界で一番ユーク様を愛しているからと言葉を預かってまいりました」
「そのミーシャちゃんって娘が正妻なの?」
「その様な事は解りませんが全員が正妻だろうと思います。只、ミーシャ様がユーク様にとっては大事な女性だと言う事は解りました」
「どうして?」
「はいミーシャ様は前回のガーゴイルの時も御側に控えて居ました。ユーリア様の事をユーク様以外で知ってる唯一の人物だとも言ってましたから間違いないと思います。」
「そう、ユークちゃんが私の子供だって知ってるのね?」
「はい」
ユーリアは暫く考えてアポリウスに聞いてみた。
「結婚したなら子供は?」
「それはまだ居ませんでした。」
「そう、そのミーシャちゃんが産んでくれるとユークちゃんも嬉しいでしょうね」
「そうですね。ミーシャ様もさぞ喜ぶでしょうが無理です。」
「どうして~~?あっ、ミーシャちゃんって男の娘とか?」
「どこでその様な言葉を覚えてくるのですか!違います。ミーシャ様は獣族で、種族が違うから懐妊はできません。」
「あら、ユークちゃんは神族と魔族のハーフだから問題無い筈よ!どんな種族とでも子供は作れるはずよ?」
「お忘れですか?今のユーク様は人族です。身体機能は確かに神族に近いですが肉体は人間なのですよ。」
「あれ~~そうだったかしら~~~」
ユーリアは自分が人族にした事すら忘れているのだ。
ユークが生きていた事で、全ての行いはどうでも良くなっていた。
その時神官が駆け込んできた。
「ユーリア様全ての準備が整いました!」
「そう、すぐに行くわ~、待機しててね~~~ん」
神官が立ち去った後にアポリウスはユーリアに聞いてみる。
「何の準備ですか?」
「あ~、ハーデスちゃん対策よ~~」
アポリウスは何を始めるのか気に成ったがユーリアが決めた事ならと後を付いて行くのだった。
アポリウスがユーリアに付いてたどり着いたのは世界樹と呼ばれる樹の前だった。
「ユーリア様ここで何を?」
「あ~私も動ける様に天上界から切り離すのよ~」
ユーリアが言うには天上界と繋がってる為にユーリアはここから離れる事が出来無い。その意思を切り離し何時でも出撃出来る様にしておく為に此処に来たのだ。
ユーリアの意思は世界樹を介して天上界に繋がっている。
「しかしユーリア様の意思を切り離すと天上界は崩壊しませんか?」
「ええ、だから身代わりに神官100人の意思をつなぐのよ~」
ユーリアの考えた計画だと確かに上手くいくだろうと思われた。
しかし天上界の崩壊を防げる程度だ。
魔界の監視や結界の維持までは回らないのだ。
しかしユーリアは何度もハーデスに結界を破られて後手に回っているのだからと強攻策に出たのだった。
ハーデスの監視は神官達に任せて、魔族の結界の近くにも神官を派遣して直接監視をする様にヨルムとも話はついていた。
切り替えは無事終わりユーリアは自由の身となったのだった。
「アポリウス?」
「はい」
「ハーデスちゃんは地上界を壊そうとしてる訳ではないと思うのよね~」
「では何故何度も結界を開けて地上界に行こうとするのでしょう?」
「今回はハーデスちゃんの知らない所で起きた事になってるわ、でもムリルちゃんが勝手にやる筈は無いもの。考えられるのは地上界に女の子を捕まえに行かせたって所かしら」
「なりほど、そこにユーク様が現れてミーシャ様をムリルが要求して怒ったと考えれば納得できますね」
「でしょ!ユークちゃんがアポリウスの言う様にミーシャちゃんの事を特別だと思ってるなら怒っても不思議ではないわよ」
「そうですね」
「でもユークちゃんをそこまで本気にさせてるミーシャちゃんも気になるわね。どんな子なの?」
「そうですね、お顔は地上界なら綺麗なお顔かと思いますが、神界の女神とはまた違うものですから私には解りかねます」
「そう、今度何か有れば私が行ってみるのも面白いわね~」
アポリウスはユーリアが単純にユークに会いたいだけだとすぐに解ったが言わなかった。
ユーリアはハーデスに意思を切り離した事を告げて、今度何か問題を起こせば魔界の崩壊も覚悟する様に通達したのだった。
一方魔界では、ムリルが倒された事を神界からの報告で知ったが、それはアポリウスに倒されたと言う隠された真実だった。
「ヨルムよ」
「はいハーデス様」
「賭けは俺の負けだが何を賭けるか決めってなかったから無効だな、はははは」
全く今回の事にも反省などしていないハーデスであった。
「しかしユーリア様の今回の行動は完全にハーデス様への牽制です。以後注意しないと流石にユーリア様に出てこられると魔界は消えてなくなりますよ」
「ま~、成る様になるさ!それよりムリルの代わりに魔女の管理をする奴を決めておけよ」
ハーデスはヨルムに命令だけするとまた女を探しに街へ出かけていったのだった。
残されたヨルムはハーデスが新たな計画を考えてることなど全く知らずにムリルの交代要員を探すのに走り回っているのであった。




