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神様の棄児  作者: ryo-KK
4章 王国
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ドラゴン部隊

コンラット国が新しく成って2年の歳月が流れた。


この2年で大きく変わった事は1つだけだ。


それは、コンラットに火竜部隊が出来た事だろう。


リーダ格のピエールは体長も20mを越し実に立派に育っていた。


その他にも火竜が5匹部隊には居るのだ。


ピエールはユークと妻達専用で、アリシアが騎乗する【ルクス】と、クレアが騎乗する【テラ】、その他にも【モモ・ルーシー・ムータ】の火竜が居る。


王都の守りはユージンが騎乗する水神竜のウィン他2匹が堀を巡回して守っていた。


コンラットには鉱山が5ヵ所有るのだが各地を地竜が完璧にガードしてて、それまで多く出没していた、ワイルドベアや狼系の魔物も姿を見せなく成り安全に採掘が行われる様になったのだ。


特に火竜部隊は他国からSランクの魔物の討伐にも呼ばれるようになっていた。


依頼の無い時はコンラットの領域を巡回して魔物や新しく出来たダンジョンから魔物が出てこないか警戒をするのが任務だった。


「アリシア!」


巡回の最中にユークが声をかける。


アリシアは自分の相棒【ルクス】に指示をしてピエールの側に寄っていく。


「ユーク様、なにか?」


「ダンジョン方面に魔物の気配がある。任せてもいい?」


ユークは皆に秘密で、とある計画を進めていたのだ。


「はい解りました。ユーク様、単騎でいけそうな気配でしょうか?」


「いけるだろうけど念の為にクレアを連れていって!」


「了解しました。」


アリシアはユークの指示を聞き終わりクレアの元にルクスを向かわせた。


「ルクス、テラの所へお願い」


「ぴぇ~~」


ピエール以外の火竜は人の名前を覚えていないのだ。


騎乗する主人の名前位は解っている様だが、クレアの騎乗している【テラ】に近づこうと『クレアの所に』と、言うと全く違う所に行ったりするのだ。


しかし火竜の名前で指示すると正しく従うのだった。


だが、どの火竜もユークとクララだけは理解しているらしく絶対に間違えたりしない。


「クレアは私に付いて来て!、他の者はユーク様と帰還する様に!」


アリシアは部隊員に指示を出して、【クレア・テラ】ペアを連れてダンジョンの方に向かっていった。


少しアリシア達と離れてからユークは部隊員に先に王都に戻る様に指示してダンジョンの方に行く。


「ご主人様も行かれるのですか?」


帰ると思っていたのでミーシャが訪ねた。


「うん、これはアリシア達のテストだからね!」


「テスト?」


全く聞かされていなかったのでリオが聞き返した。


「うん、今までは僕が付いて行くから何も問題は起きてなかったけど、アリシア達がどれだけ戦えるかのテストなんだ。」


ユークはダンジョン近くに野生の地竜を一匹ワープさせていたのだ。


ルクスとテラの力なら問題なく倒せる大きさの地竜なのだが、火竜とのコミュニケーションが取れてないと倒す前に逃げられるのだ。


地竜は足は遅いのだが地下に潜られると火竜では手が出せない。


連携で挑発しつつ倒すのが今回のテストの正解なのだが、火竜便りだとブレス攻撃だけで倒そうとして、逃げられるのがオチだとユークは考えていた。


ユークはアリシア達よりも遥かに高い高度で待機して見学する。


一方、アリシア達は目的のダンジョン付近で戦う騎士隊を発見した。


これはユークが地竜を逃がさない為にと用意してた騎士隊なのだ。


「皆、後は任せて!」


アリシアは空から騎士隊に声を掛けた。


「クレアは地竜の後方からブレス攻撃!」


「はい」


クレアは大きく返事をして、テラに回り込む様に指示を出した。


10m級の地竜がゆっくりとアリシアとルクスを見た。


火竜相手だと地竜は分が悪いと知っているのだ。


地竜の攻撃方法にはブレス等の遠距離攻撃が無いからだ。


アリシアは逃げる事など百も承知とばかりにルクスを移動させる。


「ルクス、地上に一度降りて!」


ルクスは指示された地竜の前15m程の位置に着地する。


その時テラがブレスを後方上空から地竜に浴びせたのだ。


地竜は首を大きく後ろに向けようとした。


「ルクス、今よ!」


ルクスも正面からブレスを浴びせた。


怒った地竜はルクスのに向かって突進してくる。アリシアはルクスから降りてルクスだけを飛び上がらせた。


飛び上がったルクスを地竜は首だけで追いかける。


伸びきった首にアリシアが剣で攻撃をいれた。


直ぐ様アリシアは地竜から離れて距離を取る。


そこにテラのブレスが命中した。


もう一息とアリシアはルクスにブレスの命令を出した。


「ルクス、もう一度ブレスよ!」


ルクスはアリシアに当たらない角度でブレスを吐き地竜の首が届かないギリギリの位置まで近づいてくる。


地竜はルクスに噛み付こうと必死に首を伸ばすのだが届かない。


アリシアはまたも伸びきった首に剣を当てた。


その後も数回同じ攻撃を繰り返し最後はアリシアの剣で地竜は力尽きたのだった。


アイテムを回収している時にユーク達が降りてきた。


「ユーク様!帰られたのでは無かったのですか?」


帰ったと思っていたユークが現れて驚くアリシアにユークはテストだと説明する。


ルクスとテラも近くに着地してユークの近くに寄ってくる。


「アリシア、そしてクレア、見事だったよ!」


「「有難う御座います」」


「アリシアはルクスとの連携も完璧だったね!」


言いながらユークはルクスの首を撫でた。


ルクスはユークに撫でられて羽をばたつかせて喜んでいた。


「クレアも見事な操作だったよ。」


「有難う御座います。」


クレアが褒められて自分もとテラがユークに首を伸ばした。


ユークはテラも褒めてやりアリシアに報告するのだった。


「今日の戦い方なら問題無い。アリシア!」


「はい」


「今日から火竜部隊はアリシアに任せるから、頼んだよ」


「えっ」


「これからは各地の依頼に僕は付いていかない。ダンジョンの攻略に専念する。ピエールも部隊から外してアリシアとルクスが隊長として頑張って欲しい」


「私がですか?」


「うん、元々アリシアは騎士隊の隊長だったからそのまま火竜部隊の隊長に就任して貰う。副隊長はクレアに任せる。」


「はい、隊長の任、お受けします。」


アリシアは認められた事が嬉しく大きな声で返事をしたのだ。


「卵を発見したら僕が回収に行くけど、それ以外はアリシアの判断に任せるから宜しく頼むよ!」


アリシアはクレアとがっちり握手を交わして最後にルクスとテラにも『よろしく』と、言った。


こうして、コンラットドラゴン部隊が正式に稼働する事になった。


「ピエールはどうなさるのですか?」


ダンジョンにピエールは入れ無いと解ってるので疑問に思ったのだろうアリシアが聞いて来た。


「ピエールは、貿易の為に仕事をして貰うんだ。」


「貿易ですか?」


「今、コンラットの外交はカーラが一手に引き受けている。ピエールならフルールまでも1日とかからないから移動の足になって貰う」


大きさも文句なく最大級のピエールなら荷物の運搬もお手の物だしアリシア達が倒した地竜クラスなら簡単に倒してしまうのだ。


知能の高いSランクの魔物でユークに散々鍛えられたピエールに勝てる魔物はたぶんいないだろうとユークは思っていた。


「地竜と水神竜はもう増やさないけど火竜部隊はこれからも増やしていくから、新人の指導もしっかりやって欲しいんだ。」


アリシアとクレアは大きく頷いた。


火竜部隊は現在5名の竜騎士と予備に10名の騎士が居るのだが、半数は他国にも火竜部隊を作る為に派遣されてきた隊員なのだが、火竜に乗る為にはユークに抱かれないといけないと言う制限が付いてくる。


予備の騎士達は全く拒絶してないのだが、ミーシャ達に火竜がいないのだから抱く必要が無いと止められているのだ。


新しい火竜が生まれる度にミーシャとリオに厳しく面接されてユークに抱かれる騎士が決められて来るのだが、その面接にユークは参加させて貰えないのだった。


理由は全員合格にしてしまうからだとミーシャは言うが、合否の基準すらユークには解らないし教えて貰えない。


王都に戻りセドリックにテストの合格を知らせ、正式に就任式が行われた。


火竜部隊と言う名前もドラゴン部隊と一新された。


「竜騎士、アリシアよ、本日を持ってドラゴン部隊隊長に任命する。」


「はい、謹んでお受けいたします。」


続いてクレアも副隊長に就任されて就任式が終わった。


アリシアとクレアはその後に相棒の元に行き手入れをする。


火竜の手入れは予備の騎士達の仕事なのだが、アリシアとクレアは自分達でやる事で連携も上手く行くと理解しているのだ。


他の隊員もアリシア達に習って自分の火竜の世話は人任せにしていない。


全魔物の面倒はクララが見ているのだが、クララは地竜の世話で鉱山に出かけることが多く城の水神竜や火竜の面倒がおろそかになりがちなので部隊員で面倒を見る様になっていたのだった。


だからと言って、地竜が城に帰って来ないと言う訳でも無い。


週に2回はユークにワープで戻して貰って、しっかりと手懐けているのだった。


実際火竜の操作はユークよりもクララの方が上手かったりもする。


「クララ様!ルクスの体を洗うのでブラシを貸していただけますか?」


地竜に乗って遊んでいたクララにアリシアが声を掛けた。


「アリシアさん、仕事は終わったの?」


「はい」


クララが聞いたのはユークが帰って来てるかの確認だとアリシアも解っている。


「先ほどユーク様もお部屋に戻られました。」


「そう、それでは後をお任せしても構いませんか?」


地竜から降りて、ユークの元へ行く気なのだ。


「はい構いませんが、ピエールはどうするのですか?」


ピエールだけはクララが世話をする事に成っている。


「あっ、そうだったわね。ピエちゃん!おいで!」


クララはピエールを呼び寄せた。


「ぴえちゃん、忘れててごめんね!」


ピエールはクララがユークに早く会いたい事も理解していて、クララを首で扉の方に押し『行って良いよ』と促すのだった。


クララはピエールに『有難う』と、言って首に抱きついた。


「アリシアさんピエちゃんも綺麗にしてあげてね」


「はい解りました。」


クララはアリシアに頼みユークの元へ駆けていった。


アリシアは相手がユーク様だから仕方ないねと、ピエールと顔を見合わせた。


「ピエールもユーク様とクララ様には優しいね」


「ぴえ~~~」


ピエールはアリシアの言葉に一鳴きしてアリシアに頷くのだった。


アリシアはピエールとルクスの体を丁寧に洗い隊舎に戻った。


隊舎ではアリシアとクレアの就任祝いがユージンの企画で執り行われた。


「アリシア隊長とクレア副隊長、就任おめでとう!」


ユージンが祝いの言葉を言ってくれる。


「有難う御座いますユージン統括!」


「今回のテストの事は俺がユーク様にお願いしたんだが、上手くいって良かったよ」


「そうなんですか?」


クレアが聞き返した。


「ああ、新しく出来たダンジョンの攻略が思うほど進んで無くてな、このままだと大きくなり過ぎるからな。」


「それでユーク様はダンジョンに専念すると仰られたんですね?」


「そうだ。ユーク様なら攻略も早いだろう。一度攻略してしまえばダンジョンの成長は止まるからな」


ユージンの言う事はある意味では間違っている。


ダンジョンは攻略しても放置しておくとどんどん成長を続ける。


ユージンが止まると言ったのは、攻略されたダンジョンは大量に魔物が沸く事も無くなるので、冒険者が攻略し易く成り、成長し難く成ると言いたかったのだ。


しかしこのダンジョンはユークが地形を変えたから出来たと地上界では考えられていたがそうでも無かった。


それはユークにとって、否、地上界にとって重要な災いの元となるのだった・・・。

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