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神様の棄児  作者: ryo-KK
4章 王国
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クララの誕生日の前日屋敷はドタバタと忙しくしていたのだ。


誕生会の準備もそうなのだが、明日は新コンラット城で働く侍女の面接も行われるのだ。


募集して来た侍女が500人 執事が200人、庭師や馬の世話係と言った使用人が200人騎士候補が400人も募集して来ていたのだ。


採用するのは侍女が30人 執事が3人使用人10人 騎士が200人と言う所だろう。


ユージンが言うには侍女が少ないと言う事だが、ミーシャ達がユークの世話は自分達でやるからと大幅に削減されたのだ。


ミーシャ達は実質王妃なのだがユークの世話をしていたいらしい。


使用人のトップはアベル一家が勤めてくれる事に成っていた。


騎士団長にはユージンが就いてくれる。


宰相等はまだ決まっていないがデズモントが代理をしてくれていた。


流石に1日では面接も終わらないので数日に分けて行われる。



事件後、強制労働をさせられていた犯罪者達はセルト王国が責任を持って罪の再調査をしてくれている。


大半が濡れ衣で拘束されていたので開放されたのだった。


鉱山の警備兵にも王家と同じ考えの者がいたので、処刑されたりした者もいた。


法の整備も着実に進んでいるのだが、貴族区とかの差別化は除外した。


細かな法律の基本はセルトに真似ているが最終決定はまだまだ先の話しだ。


兎に角明日のクララの誕生会を夕方に行う為には、面接をそれまでに終わらせないと行けない。まとめて面接を行う為にオークション会場を借りたりと大忙しで準備をしていたのだ。


準備が終わったのは深夜になっていた。


翌朝、日の出と共に面接は始まった。


面接官はユーク、ミーシャ、リオ、レミー、カーラの5人とマルリだ。


何故マルリが入っているかと言うと、奴隷商としての目利きが役に立つからだ。


面接は順調に進んで行くが想像通り多種多様だった。


完全にユーク狙いの女性が多いのだが、中にはミーシャ狙いの強者もいたりする。


半分の250人の面接が終わったのは昼を少し回った頃で、このままではクララの誕生会が遅くなると思われた。


少し急ぎ足で面接をしようと思った組に何故かドリーが入っていた。


少しでもユークの近くに居たいからと面接を受けに来たのだそうだ。


即効でレミーにX印を入れられていた。


何とかペースを上げて面接を進めたのだが、最終組にクララの姿があったのだ。


遊びに来たのかとも思ったが、しっかりと書類も手元にあったのだ。


全面接が終わりクララの誕生会の時にエルダに聞いてみた。


「クララが面接に来てたんですけどどうしてですか?」


「このままユーク様に甘えていてはクララは何も出来ないまま大人になってしまいます。それに成人の時にクララがユーク様を好きなら嫁に貰ってくれると言われました。クララの気持ちが変わらないのならこのままでは何も出来ないままユーク様の嫁に成ってしまいます。お手伝い程度では無く、きちんと仕事を出来る様になるには3年では足りないかもしれませんがしないより良いと思い働かせる事にしました。」


「慌てて働かさなくても良いと思いますけど」


「まだまだ子供ですから心配もあります。ですからユーク様の侍女なら少しは安心だと思い私が応募しました。勿論クララにも話してあります。」


「クララはそれで良いの?別にお手伝い程度でもいいよ」


「わたちもユークちゃまのおやくに立ちたいです」


「今までの様に遊んだりも出来無く成るよ?」


流石にそれは嫌みたいだ。


「クララと結婚したらその時にミーシャ達に鍛えて貰えば良いからもう少し僕の遊び相手になってよ」


ユークの説得とミーシャ達のお手伝いをこれからはもっとするという事でエルダにも納得してもらった。


クララの誕生会も滞りなく終わりに近づいて行きプレゼントを渡す事に成った。


ユークはクララに洋服をプレゼントした。クララはすぐに着替えてユークの膝の上にちょこんっと座る。


皆で最後に『おめでとう』と、言い誕生会は終了した。


ミーシャ達のサプライズだと言う事で、ユークの横で寝る事が許可されたのだ。


何事も無くユークの腕の中でクララは寝息を立てていた。


一体エルダのサプライズは何だったのかと聞いたのだが全く解らなかった。


後日聞いたところユークにクララを抱いて貰う事だったそうだがユークは流石に出来なかった。


翌日はクララのキスで目覚めたのは言うまでもない。


クララはこの1年で成長期に入り体つきも一気に成長するのだがそれは今後の話の中で確かめて欲しい。


今日は執事と使用人の面接だ。


面接官は昨日の5人とアベルとデズモントの7人だった。


執事の面接だがミーシャ達ばかりを意識してる男ばかりだったので、全員不採用に成った。


使用人はアベルの意見を最優先に予定通りの人数の採用を即決した。



翌日は騎士隊の面接だがユージンの意向で、練兵場で実技の試験を行うことになった。


大半は即戦力からは程遠かったのだが中に1人凄腕の女剣士が居たのだ。名前をアリシア、エルフ族15歳の少女だった。


ミーシャ程では無いが素早い身のこなしと、風になびく青い長髪が印象的な美女だった。


15歳と言う年齢からは考えられない程の剣捌きで時折ユージンを追い詰めそうに成ったりもしてた。


ユージンが即採用と決定してた。


騎士隊の面接には、魔法騎士も多く来ていて大半を採用する事にした。


少し増えたが250人の採用が決まったのであった。


騎士隊に合格した人は本採用まで毎日セルトのダンジョンに入る事を義務付け少しでもランクupできる様にと伝えたのであった。


しかし騎士隊の応募に集まった中にはもう一人ユークと縁の有る女性が応募していたのである。


名前をポプラでドワーフの女性だ。


覚えているだろうか、ユークがブラハ村を旅立ちパーン商業都市に向かった時にセルラト平原の入り口で出会ったアルザスと言う冒険者の奴隷だった女性だ。


当時は18歳だったが現在は19歳アルザスに奴隷から開放されて冒険者として頑張っていたがDランクから上がるでもなく悩んでいた所に今回の話を聞いて応募してきたのだそうだ。


彼女はユークがあの時の少年だとは全く気づいて無いのだがユークは初めて見た奴隷と言う事で覚えていた。


面接の時に気づいたユークはアルザスの事を訪ねたのだが、ポプラは『何処かでお会いしましたか?』とまさか国王になる人と自分が顔見知りだと思いもしなかったのだ。


ユークは出会った時の事を話したがポプラは全然思い出せないでいた。


「確か槌使いでしたね。騎士隊に槌使いって余り聞かないですが大丈夫ですか?」


「槍も使えますから応募しました。」


ユークはユージンを見たが『問題ない』と答えたので採用にしたのだ。


ユージンか言うには騎士隊に応募してくるのは男が圧倒的に多いらしいのだが、今回応募してきたのは3/4が女性だった。


ミーシャはご主人様の魅力に集まったのでしょうと軽く流すのだが。


レミーは、ユーク様モテすぎと呆れて言うのだ。


ユークに全く責任は無いし事実がどうなのかも解らないのに濡れ衣だ。


余談だがドリーは全職種に応募してきていて、ことごとくレミーに不採用を通告されていた。


 

時間は流れ遂に練兵城兼実験場兼ペット小屋?のドームが完成したと連絡が入った。


ユークは各国が調べてくれていたSランクの魔物の巣を周り卵の回収に向かう事になる。


報告のあった翌日にドームを視察しにミーシャ達全員で向かった。


「大きいですね」


全員の意見が一致した。


高さが30m広さが直径500mのドームで、かなり大きい。


だが火竜を飼うとなるとこれでも小さいかも知れないのだ。 


地竜なら十分の広さだろうが火竜は飛行するので高さが微妙なのだ。水神竜なら深くして池を作らなくてはいけなくなる。


考えられるのは地竜か火竜のどちらかしか飼えない。


ユークはどちらかと言えば火竜が欲しかった。


なぜなら背中に乗って空を飛んでみたいと言う憧れがあったからだ。


それに移動手段としても使えると思っていた。


火竜に的を絞り火竜の巣を回る事にした。


勿論討伐もして行くつもりだ。


火竜等のSランクの魔物は基本は巣を作らない。


テリトリーをウロウロとしてるだけなのだ。


巣を作るのは繁殖の時だけで、年に1回か数年に1回卵を産むのだ。


しかしユークがかなりのSランクの魔物を倒しているせいか数がかなり減ってきているので、種の存続の為に巣が多く確認されていた。


自国になるコンラットの鉱山付近に確認された巣から向かうことにした。


鉱山はコンラットの重要な産業なので、安全の確保をする為に討伐を兼ねて向かうことにしたのだ。


確認されている火竜の巣はコンラットに3つ、セルトは0、フルールに2つ、マホガリアに2つだ。


比較的新しく発見された北西の巣から確認に向った。


見事にビンゴだ。


1箇所目で卵は発見された。


今日は、戦闘に不向きなカーラやレミーも一緒に来ているので安全には特に気を配る。


ミーシャに前、リオに後を注意してて貰いユークは単身火竜に向かっていった。


実際は全くミーシャ達には被害は出なかったのだが・・・。


さっくりと討伐を完了して、ドロップアイテムを集め卵を抱えて戻ってくる。


「「うわ~~大きいですね」」


初めて見るレミーとカーラが声を揃えた。


卵は長さが1m弱の楕円形で、茶色に赤い模様が入っている。


重さは20kgとい言ったところだ。


まだほのかに暖かいので、直ぐ様小屋?に戻り用意されていた藁の上に置き上にも藁をかぶせた。


どれ位で羽化するかも解らないが一つだと失敗も有り得ると思われたので、もう1つ探す事にして残りの巣に向かったが結局集まったのはドロップアイテムばかりだった。


合計11匹討伐したが火竜の肉ばかりだ。巣の数と討伐数が合わないのは孵化してた巣が3つ有りそれだけを討伐したからだ。


まだ卵を産む可能性の有るところはそのままにしてきたのだ。


ドームに戻りここだとユークが行き来するのに面倒だと言う事で、屋敷に持って帰ることにした。


孵化するまでは何の心配もないからだ。


孵化してからドームに持っていこうと考えたのだった。


隣の寝室に卵を寝かせて布団を掛けて置く。何かで聞いた事があったので1日一回卵を動かしたりしている。


それから毎日ユークの日課に卵の移動と言う仕事が増えたのは言うまでもない。


孵化してからの事も考えないと行けない。


ミルクがいるのかも解らないし毎日の餌も解らないのだ。


ラクト司書長にも聞いたが幾つかの事しか解らなかった。


解った事は成体の事しか解らないのだが、餌を取ってる姿を確認された事は無いと言う事と、火竜同士での争いも確認されてない事、火竜は巣の場所を選ばない事くらいだった。


魔物同士は同種だと争わないのだろう。


以前も水神竜と蛇竜の戦いを見たが同種は連携もしてたので間違いないと思われる。


巣に関しても今回見た限りも森や火山、岩場、草原とバラバラだった。


ラクトの話では水神竜は水場、地竜は岩場か山岳地帯と決まっているらしい。


餌が一番問題なのだが有るヒントも貰えた。


魔物全般に言える事だが、他種を餌にする魔物は存在していないと言う事だ。


以前レミーが死にかけたのも敵の排除の為に殺されそうに成っただけで、餌として狙われた訳では無いのだ。


好んで他種を襲うのは、人型の魔物だけで繁殖の為に女性を襲う位だと言う事だった。


食事と言う概念が有るのは人だけだという事なのだ。





卵に何の変化も無いまま忙しく月日は流れていった。


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