会議
コンラット皇国の消滅から数日が経っていた。
ユークのお膝元セルト王国では、連日コンラットの今後と冒険者ユークへの対応の仕方について3国の王侯貴族での会議が行われていた。
セルト王国からは、ヴィンラント国王を始め、レイチェル王女、デズモント宰相、ユージン団長、ラクト司書長他数名の貴族が参加していた。
フルール王国からはエルマー国王、アイザック宰相、バッカス騎士隊長ほか貴族が数名参加している。
マホガリア聖王国からは、ブライアン=C=ウィンボルト聖王、フィオナ王女、ガストン宰相、他騎士隊長や貴族が数名参加すると言う過去に類を見ない大規模な会議だった。
コンラットの後始末は何処かに吸収させるか、新しい国を作るかで揉めていた。
吸収するなら隣接するセルトとマホガリアが半々と成るのだが、それだとセルトの利が大きいのだ。
セルト側にはグラン鉱山が有るからだ。
それに吸収にするとフルールには全く関係の無い話になるのも問題がある。
だからと言って、誰かに任せるのも考えものだった。
コンラットは元々Sランクの魔物も多く、土地も貧困で旨みの少ない国だ。
いっそユークに任せれば良いと言う意見も出るが、本人に打診したところ全く興味もないと断られた。
それだけでなく、ユークに任せると他国の依頼にも支障が出るだろうと言う意見も多かった。
現状、ユーク以上にSランクの魔物を討伐出来る冒険者が居ないのが原因の一つで各国も少なからずSランクの魔物の被害が有るからだ。
コンラットは各国から貴族を一時的に派遣して復興させている段階だった。
「やはりユーク殿に治めて頂くのが宜しいと思います」
デズモントが何度目かの事を口に出す。
結局のところユークが納得しないと全く話が進まないのだ。
だからと言って、貢ぎ物や支援を申し出てもユークは受けないので、しつこくすると機嫌を損ねる事になってしまうのだった。
この様に堂々巡りの会議が4日も続いていたのだが、ユージンの言葉で大きく動き出すのであった。
「宜しいでしょうか」
ユージンはある事を思いだし発言の許可を求めた。
許可を受けユージンが発言する。
「ユーク様は何時ぞや、火竜をペットにしたいと仰っていました。その時は流石に無理だと言ったのです。まずSランクの魔物が近くに住む等国が認め無いだろと忠告したのです。街の者も近くに住めなく成るとも言いました。そこで、ユーク様の国なら自由に飼えると進言すれば納得して頂けるのではないでしょうか」
ユージンの発言にガストンが答える。
「確かに良い案だが王だけが居ても国民が居なければ国は成り立たんぞ!その様に危険な国に住む市民がいるとは思えんが」
「確かにそうですが、このままでは何も話が進みません。しかしユーク様がペット化に成功すれば国力はかなりの物になるでしょう。またはペット化に失敗すれば今後はSランクの魔物をペットにしようともしなく成るでしょう。その時は既にユーク様は国王ですから続投して頂けば市民も集まるのでは無いでしょうか」
「遊ばせておくなら試すのも良いと言うことじゃな」
エルマー王が聞いた。
「はい、それにユーク様の国なら高名から冒険者も集まると思います。」
ユークに弟子入りしたいと言う冒険者も多くセルトに集まってきているのだ。
「冒険者がユーク様の国に集まりすぎる問題も出てくるでしょうが、ユーク様なら各国の依頼もしっかり受けて下さるので、国から冒険者が居なく成ったとしても依頼は問題なく解消出来ると思います」
ユージンの言う通りだとユークをよく知るセルトとフルールの者は納得した。
だがユークとそれ程繋がりのないマホガリアのブライアン聖王は悩みどころだ。
「仮にユーク様が何処かで、ペット化の実験を強行したとしてもユーク様を止められる人が居ますか?止めようとして反感を買うとコンラットの様に国が無くなる事も考えられるのですよ。それ程の人物ですからこの機会に上手く治めて頂くのが得策だと思われますが」
「王よ、ユーク殿と交流の機会を増やし友好を結べば懸念も減るでしょう、このガストンもユージン団長には同意しても宜しいかと思います」
ガストンの発言にブライアンも納得する。
建国には各国が引き続き支援をして国の中枢にも各国から優秀な者を移籍させる事で会議はようやく終了を迎えた。
ユークの説得は親友とも呼べるユージンが立候補し、ユークの国の騎士団長にも名乗り出たのだった。
翌日ユークの屋敷をユージンは訪ねていた。
「今日はユークに聞きたいことがあってな」
「聞きたいことですか?」
「ああ、以前火竜をペットにしたいと言ってただろ」
「あ~、そう言えば言いましたね」
「そこで名案が浮かんだんでな、ユークの意見を聞きたかったんだ」
「はい」
「昨日までコンラットの今後についての会議が有ったのは知ってるよな」
「はい、何度か国王に成って欲しいと言われましたからね」
「そうだな、そこでだ各国の方達にもしユークが火竜をペットにしたいと言ったら国として認めるか聞いてみたんだ」
「どうしていきなり聞いたのですか?」
「それはな、もしユークが火竜をペットに出来たら面白いと俺も思ってたから聞いてみたんだ」
「そうだったんですか?」
「ああ、だがやはりと言うべきか前例の無い事だから断られたよ」
ユークも以前話をした時に難しいだろうと聞いていたので、半ば諦めていたのだ。
「だがな、コンラットなら今は誰も居ないから試しにやるなら構わないと各国に了承してもらったんだ」
「本当ですか?」
「ああ、土地を遊ばせておく位ならユークの実験の場所にしても良いと許可を貰ったんだ」
「それは有難いですね」
「だろ、上手く行かなければお前も諦めるだろうし、上手く行けば各国も真似をするかも知れんが国力も上がる。一石二鳥だろ」
「そうですね」
「どうだ、やってみたくないか?」
「是非やりたいですね」
「ただな、国を何年も復興させないのも困り物だから、ユークには代表に成って貰う」
「それって、結局国王にに成れって事じゃないですか」
「あぁ、しかしなお前が国王ならペットの実験に誰も口が出せ無く成る。しかもだユークの実験や国の建国も各国が支援してくれる事を約束して貰った。」
「しかし、僕に国政なんて無理ですよ」
「そこも各国から優秀な人を派遣して貰うし俺もお前の近衛として移住する許可を貰った。ユークは今まで通り冒険者として暮らせば良い。」
「それでは、国王の意味は無いですよね?」
「いや、国の運営は優秀な者がしてくれるが最終的な判断はユークがするんだ」
黙って聞いていたミーシャ達も良い話だとユージンを支持していた。
「コンラット皇国の名前もユークが決めて良いし、国の法律も優秀な奴と話し合って決めればいい。お前なら国民にも優しい良い国を造れるだろうしな」
ミーシャ達は思い思いに国名を付けて楽しんでいた。
「ご主人様が国王なら住み良い国になると思います。」
ミーシャの意見に全員が納得していた。
「城や街の復興も各国が支援してくれるし、お前の国なら貴族もお前が選べるからカルロスの様な奴は居なく成るだろう」
早く決めないとそれだけ着工に遅れが出るからとユージンに言われたので、了承する事に成った。
国名はコンラット国とほぼ変更は無しという事にした。
後日復興に掛かる日数の概算が届けられた。
城の建立に半年、街の復興は随時するとしてペットの方は王宮内に特別に囲いを作り勝手に飛んで逃げない様な施設を作る事に成った。
火竜の大きさから 高さも30m広さも500m位の円形のドームだと言う事だ。
移住は城の建立が完成してからという事になったので、早くて半年後だろう。
各国の王宮やユークの元には移住希望の書面が多く届けられていたのであった。
ユークは、アルバや妻達の親にも声を掛けたが故郷は別に有る方が良いと断られたが、リオとレミーの実家は王都に移住する事となった。
ドリーがかなり心配だ。
勿論アベル一家も一緒に住む事が決まっている。
申し込みの書類だけを見ていても以前のコンラットよりも遥かに多い人数が暮らしたいと希望してきていた。
解放された奴隷達もユークの奴隷になら喜んで成りたいと言う嘆願書もかなりあった。
商人や冒険者ギルドも再編成される事になったので、マスターや職員の選抜も各国のギルドが行ってくれる。
ユークは安全な行路の確保が第一とグラン山脈に新行路を造る事にした。
ユークは現在セルトとコンラットを直線で繋ぐグラン山脈の麓に立っていた。
「行くよ」
同行してるミーシャに声を掛けて、【震地】をかけた。
3回も掛けると目前が谷に成り最短距離の道が造られる。
「いつ見てもすごい魔法ですね」
「だね」
「ご主人様そのものの様な魔法で、私は好きですけど余り使えませんね」
「威力が凄いからね」
山脈が何処に消えたのかと言うと地下に有る空洞に流れ込んだのだと考えると解りやすいと思うのだが。
ユークがここで行路を作った事により、魔素の流れが変わり今までコンラットに無かったダンジョンが数年後に出来る事になる。
流石に全ての山が平に成る事も無いのだが、残った山は丸ごと西に有るマホガリアに行く行路の難所、グラン大湿地にワープさせて道を作ったのだ。
まさに出鱈目な力であった。
しかし行路がしっかりと出来た事により貿易もし易くなると更に多くの移住希望者が来るのであった。
行路の確保も終わり屋敷に戻る。
「お帰りなさいユーク様」
戻ってきたユークに気づきレミーが迎えてくれた。
カーラが寝室で掃除してると言うのだが疲れたので休むと言い寝室に行く。
「カーラ、ご苦労さま」
「旦那様、お帰りなさい」
「ただいま」
「どうかなさいましたか?」
「疲れたから少し寝ようと思ってね」
「そうですか」
カーラに告げてベッドに入った。
何故かカーラも一緒に入ってくる。
「ん?カーラも寝るの?」
「いえ旦那様が眠る迄、抱き枕の代わりです」
いつもはミーシャに抱きついて眠るユークだがカーラの抱き心地も最高だ。
くっ付いて目を閉じているとまた誰かがベッドに入ってくる。そのまま気にせずに意識は無く成った。
食事だと起こされ目を開けるとカーラの替りにクララを抱きしめて眠っていたのだった。
何もしてないとは思うけど・・・
カーラに聞いたが遊びにきたクララがそのまま一緒に寝ると言うので、カーラは掃除に戻ったのだそうで、全く知らないと言う。
クララは何度もキスしたと言いこんな風にとユークの口に吸い付いて来た。驚いたのは舌を絡ませて来た事だろう。
多分カーラと間違えてユークからキスしたのだろう。
この日を境にクララは毎日会う度にキスをしてくる様になった。(舌付きで)
来月はクララの10歳の誕生日だ。
エルダがサプライズの企画を計画してるとミーシャに教えて貰った。




