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神様の棄児  作者: ryo-KK
4章 王国
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誘拐

ユーク達が挨拶から戻った日の翌日。


時間は丁度お昼になろうとしていた。


庭でクララの戦闘訓練チャンバラに付き合っていた。


「あなた~お昼ご飯よ~」


レミーがふざけて(本気?)呼ぶ。


そのせいかクララまで呼び方が変わってきた。


「あにゃた~ごはんできちゃっていっちぇるわよ」


「あはは、それじゃぁお昼食べようか。」


近くで見ていたミーシャにも声をかける。



「はい、あ、あ、あ、あなた」


顔を真っ赤にしてミーシャまでクララに付き合う。


(恥ずかしいなら言わなきゃ良いのに。でも可愛い)


左手でクララと手を繋ぎ、右手でミーシャを抱き寄せて屋敷に入って行く。


最近はクララも昼食は屋敷で食べるのが当たり前に成ってた。


座る場所はリオとユークの間、コーナーの所に陣取っていた。


リオも流石に子供のクララには文句も言えずにいた。


この後も予定が無いのでクララの戦闘訓練チャンバラの続きだ。


クララはユークと行った火竜の依頼でのユークの姿を、ヒーローのように捉えていて真似をするのにハマっていた。


全く様にも成って無いのだが、ユークが上手く合わせて殺られた振りをするので気に入っている様だった。


装備は木の枝と鍋の蓋の2つだが、枝が折れると投げつけて逃げると言うリアリティーにも目覚めつつあった。


そうして日々は過ぎ去っていく。



その頃コンラット皇国で、ある動きがユークの知らない所で行われていた。


それは、ユークを縛り付けて言う事を聞かせミーシャを陥れようとするアレックスの企みだった。


王から許可を得たアレックスは、騎士団に命じてリオの両親ダンとアンナに物資の返還を求めていた。


既に村で消費していた物資を村で弁償すると言うのだが、ダンとアンナに渡した物だから2人で返せと村の訴えも無視していたのだ。


直ぐに返せる筈も無く【横領罪】と、難癖を付けて拉致監禁していたのだった。


レミーの両親もコンラット領に居るのだがギルド職員のチャックだとユークに早く知られるからとリオの両親が狙われたのだ。


もしもの為にレミーの両親にも極秘に監視が付いていた。


ダンとアンナはアレックスが用意した王都の倉庫に監禁されているのだが、まともに食事も与えられずにいたのだ。


アレックスはアラン王と宰相のシザーに今回の作戦を説明する。


「ユークって奴は知り合いがピンチだと放って置けない甘ちゃんだ。こっちに奴の奴隷の親が捕まってると教えればこっちの言う事を聞くしか無くなる。奴の奴隷を攫っても良かったがパーティーなら【念話】も使えるから危険だ。しかし流石に親まではパーティーに入れてる訳がねぇ」


「なるほど、居場所が解らなければ救出も出来無い。親を殺さずにおけばこちらの言い成りと言う事ですな。」


「ああ、だがそれでは面白くない。おれは奴のクソ奴隷にも侮辱されてる交渉するのはミーシャとか言うクソ奴隷だ。」


「奴隷と交渉成されるので?」


「ああ、奴隷にお前が俺の性奴隷に成るなら両親は開放してやると伝えるだろ、ユークって奴は絶対納得しないよな」


「そうですね」


「だが奴隷はどうだ?ユークに迷惑はかけられないと自分からこっちに来るはずだ。」


「ですが開放したらそのあとに報復が来るのでは?」


「誰が開放するかよ、やつが惚れてる奴隷を根こそぎ性奴隷にしてから俺に仕えるなら返してやると言えば奴は必ず俺の手下になるさ」


黙って聞いていたアランは何か穴が無いかと考えていた。


「本当にそれで大丈夫か?監禁場所が見つかれば全てが終わるぞ」


「それも大丈夫だ、明日には王都からグラン山脈の鉱山に連れていく。あそこなら絶対に見つからん確認もしたがあの夫婦は念話のスキルは持ってなかったよ」


「おぉ、これであのユークもコンラットの言いなりか! 散々働かせてSランクの魔物と戦わせよう」


翌日アレックスは部下に命じてダンとアンナをグラン山脈の鉱山に移送した。


食事も満足に与えられない状態のダンとアンナに逃げるだけの体力は無かった。


鉱山に着いたダンとアンナは騎士に尋ねる。


「ここは何処の鉱山でしょう。物資の弁償分をここで働いて返せば村に戻れるのですか?」


「ああ、ここはグラン山脈東の鉱山だ。横領分ここで働けば開放して良いと命令は受けている。最低2年ここで働けば帰れるだろう」



ダン夫婦は罪で囚われたと思っている。


これがまさかユークをハメル為だとは露程にも思っていなかった。


ダンとアンナは諦めて働くしか無かったのだ。


移送を任せた騎士からアレックスに移送完了の報告が届いた。


アレックスはアランの執務室を訪ねて作戦の開始を告げたのだった。



最初は地竜や火竜の討伐と言う自然な依頼をメインで出す。


余り早くにコンラットが脅してるとバレない様にするのが目的で他国の介入を出来るだけ避けようといているのだ。


ミーシャがアレックスの奴隷に落ちたらユークと交渉して、ユークをコンラット王家の手下にして後は飼い殺しにしようという考えだった。



ユークの元に依頼が届いたのは5日後だった。



ギルドマスターに呼ばれて今の所被害は出てないが火竜が目撃されたので討伐して欲しいという依頼だった。


これがセルト王経由の依頼なら受けてただろうが直接の依頼だったので断る事にしたのだ。


この前の馬車を断られた因縁も有るからだ。


依頼を断って4日後に事件は動き出したのである。


4日後マホガリアの商人からコンラッドの依頼と同じ依頼がユーク指名で届いたのだ。


最初は違う依頼かとも思ったのだが、内容が全く同じで報酬も相談と成っていたのだ。


何か怪しいと思い火竜関係の依頼は断るとマスターに告げて屋敷に戻った。


屋敷に戻るとミーシャは居なかった。リオに聞くと来客があり出かけたそうなのだ。


ユークは『ふ~ん』と納得してミーシャの帰りを待った。


しかしミーシャは中々戻ってこなかった。


心配に成ったユークはミーシャを念話で呼んでみた。


(ミーシャ?)


暫く待ったが返事がない。


流石におかしいと思いもう一度呼んでみた。


(ミーシャ聞こえる?)


(は、はい、ご主人様)


繋がった様だ。


(さっきも呼び掛けたけど反応が無かったから心配したよ)


(す、すみません考え事をしてたものですから)


(そうか、今どこにいるの? 相談したい事があるんだ)


(は、はい、もう少ししたら戻ります)


何か様子がおかしいと思いミーシャに問いかける。


(ねぇミーシャ、何かあった?)


(い、いえ別に、な、何も有りません)


明らかにおかしいとユークは思った。


(ミーシャ、僕に隠し事でもあるの? 僕はミーシャにだけは全てを打ち明けてるよね?)


暫く沈黙が続いた。


(ミーシャ、ミーシャが黙ってるって事は僕にも関係が有る事だよね? ミーシャが一人で解決しようとしてるのだと僕は思うけど、相談位はして欲しいな、もし緊急事態なら早い方が解決も早くなるから)


(はい、隠してすみません、正直に話します。)



ミーシャの話ではマホガリアの商人と名乗る男が来てリオの両親が捕まったと教えられたのだそうだ。それも例の物資を受け取った件でだと言う事だそうで、もし本当ならユークが何とかするだろうとも思ったのだがとある貴族がミーシャを気に入ったから1晩言う事を聞いてくれたら肩代わりしてくれると言う事だった。


現在もその商人と話している最中だという。


ユークは場所を聞き急いで向かった。



カフェでミーシャは商人と話していた。


偶然を装いミーシャの席に行く。


「おや、ミーシャ知り合いか?」


「ご主人様」


商人はユークがいきなり現れた事に驚き話題を変えたのだろう


「そう言う事ですから私はこれで」


そう言って帰ろうとする


「お待ち下さい、僕はミーシャの婚約者なんですが彼女が何か頼んだのでしょうか?」


商人は逃げるのもまずいと思ったのか席に座り直し家の模様替えを頼まれましてと嘘を並べた。


「そうなんですか?そんな事聞いてなかったから驚きました。まだ新築なのに改装するの?」


ミーシャにむけて聞いてみる。


「えっあの」


当然言葉に詰まる。


「そうか!もうすぐ結婚するから改装するんだね」


白々しくユークは納得と言う風に言葉を繋げた。


商人はミーシャが喋ら無いと怪しまれると思ったのか話を合わせてきた。


「そ、そうなんです。ミーシャ様は婚約者様に内緒で寝室を改装して欲しいと仰いまして。 もうすぐご結婚だそうでおめでとう御座います」


「有難う御座います。 僕もこんな美人な妻を貰えて幸せです。」


「そうでしょう、私も長い間商人をしてますがミーシャ様みたいな美人は見た事も御座いません」


調子に乗って話を合わせる商人だった。


「それなら内緒にしなくて良いからどんどんやって下さい。そうだ来年には新居も立てるつもりです。その時の為にあなたのお店を教えて貰えますか?来年建てる予定の家は予算が閃貨100枚位の家がいいですね」


閃貨100枚と聞いて商人の目の色が変わった。


「閃貨100枚ですか、豪邸ですね、」


「ええ、僕はこれでもAランクの冒険者ですからそれくらいの家に住まないと格好が付きませんから」


「ですとも高名に成れば成る程住まいにも拘る物です。」


「そうですね、できれば再来月辺りから工事を初めて欲しいのですよ。 できれば貴方の様に信用の出来る商人に頼みたいのです」


「そうですか解りました。私の店はコンラットに有ります。これをお持ち下さいと名前入りの封筒を渡された。」


「有難う御座います。ぜひ近い内にお邪魔します。」


そう言ってミーシャを連れて店を出たのだった。


屋敷に戻りミーシャに詳しい話を聞く。


ミーシャが言うには貴族と言うのはアレックスでは無いかと言う事だ。先程の商人もマホガリアと言っていたのにあっさりとコンラットと認めていた。


そもそも物資の提供もコンラットしか知らない事だミーシャはリオの両親が心配で確かめたかったと言う。


返事は明日のお昼に同じ店でと言う事らしい。ミーシャに勝手な行動を取ろうとした事だけを怒り後は任せて欲しいと言う。


リオの両親が心配なのとユークに黙って行動しようとした事でミーシャは泣き崩れたがユークは優しく抱きしめてミーシャに告げた。


「心配しないで、アポリウスさんも言ってたでしょ、この世界だと僕は既に無敵だって」


ミーシャは泣きながら頷いた。


「勝手に国を相手に行動を起こすと面倒になるから今からヴィンラント様とエルマー様に相談してくる。だからミーシャは今は黙って静観してて欲しい」


「解りました。」


ユークは直ぐ様ワープしてセルト王の執務室に移動した。


流石に執務室にいきなり現れたユークにデズモント宰相は文句を言ったが緊急事態だと事情を説明した。


「暫くその商人を泳がせるのも良いが時間の余裕も無いのが辛いの~」


「ユーク殿はどうするおつもりですか?」


「この後一度リオの家に行って確認してきます。もし本当なら交渉してみますが、恐らく弁償には応じないでしょう。」


「そもそも勝手に送りつけた物に弁償も無いだろうが、コンラットはユーク殿を良い様に使う為の人質を取ったという所じゃな」


ヴィンラントもデズモントも同じ意見みたいだ。


「もしそうなら国から干渉って出来ませんか?」


「それは難しいですね、内政干渉と言われれば手が出せないですし」


「そうですか、最悪国が一つ消えるかも知れませんよ!」


ユークは脅迫の意味も込めて聞いてみた。


「明日の昼までに答えを出すからそれまで待ってくれんか」


ヴィンラント王に言われ『解りました。明日また来ます』と、言ってフルールのエルマー王の執務室にワープした。


エルマー王にも同じことを伝え、明日また来ると言い残しアーテ村に移動した。


ダンとアンナの家は誰も居なかったので村の人に話を聞いた。


皇国騎士が連れて行ったと聞かされたので真実だと理解して屋敷に戻った。


屋敷ではミーシャが暗い表情でいたので皆が心配していた。


ユークは事のあらましを皆に話してリオを落ち着かせた。


「ユーク様はどうするつもりなの?」


レミーが聞いて来た。


「まずは、お父さんとお母さんの救出が最優先だから、明日のヴィンラント様とエルマー様の返事待ちだけど相手はコンラットって解ってる訳だから賠償に応じてみて駄目なら別の手を考えるしか今は無いかな」


「やっぱりご主人様に迷惑がかかりました」


リオが謝るがユークはリオに責任は無いと言って話を続けた。


「そもそも初めから仕組まれていた事だと思うから半分は僕の責任だよ、どうにかお父さん達の居場所が解ればなんとか成るんだけど」



その頃セルトではユージンやラクトその他の貴族も呼ばれ会議が開かれていた。


「ユーク殿が言った国が消えると言う事は、本気で力を使うと言う事ではないですか?」


ラクトが逆に好機では無いかと発言した。


「それは以前言っていた<神がかり>とか言うスキルの事ですか?」


ユージンの言葉にラクトは頷き続きを話しだした。


「私の推測が正しければですがユーク殿が<神がかり>を使えるならコンラット王都位なら壊滅するのも訳は無いでしょう」


他の貴族からは、国が消える等有り得ない事だと言う発言が飛び交っていた。


「問題はコンラット皇国が消えると言う事ですが、これについては何か意見はありますか?」


デズモント宰相の問いかけに『手を出すなと言う忠告を無視した奴が悪い』だの『やり方が卑怯だ』だの『あの国は元より必要無い』だのと、消えても良いとの意見しか出なかった。


「では、ユーク殿の事由にさせると言う事で、宜しいですね」


ユージンがこれで良いかと告げるが何の罪もない市民はどうなる?と、言う意見も出たのだ。


「ではユーク様に一般市民に被害が出ないならコンラットがどうなっても良いとお伝えしましょう」


万条一致で可決された。


フルール王国でも非が有るのはコンラットだから出来るのなら潰しても良いと言う意見で一致した。


セルト、フルールの両国はワープが使える冒険者にマホガリア聖王国にもこの度の事件の報告と両国の決定を伝え、マホガリアの同意を得たのだった。



ユークの家でも話し合いは続いていたのだが良い方法も中々出ないので、ゆっくり休んで、両国の結果を聞いてから判断しようと言う事に成ったのだった。

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