里帰り1
新婚4日目
「旦那様、起きて下さいね。」
「う~~ん」
「早く起きないと・・・」
<ちゅ~~~っ>
長く口を塞がれて息ができない。
<ぷはっ>
「あら、旦那様起きましたね。うふっ」
今日はカーラが最初に起こす。
暫くカーラとイチャイチャしているとミーシャ達が入って来た。
「カーラ時間かけすぎよ!」
ミーシャに言われてもお構い無しにユークに抱きついている。
「せっかく私が1番なんだからもう少し良いじゃない。」
「皆、待ってるんです!早く代わって下さい」
リオに言われても離れる気配すらない。
ミーシャはカーラを無視してユークに抱きつきキスをしてくる。
「ご主人様もカーラに時間を掛け過ぎですよ。私達も居るのですからね」
「御免ね、ミーシャ、」
ミーシャに謝りキスを交わす。
リオとレミーにも同じ様に注意された。
最後にもう一度カーラとキスをして皆に『おはよう』と告げて着替える。
結婚してから今日まで、日替わりで1人だけと愛し合った。
朝は一緒に寝た者が1番最初に儀式をする資格が得られると成っていたせいで、ミーシャが1番と言う絶対の規律が特例として無くなった。
ミーシャ以外の妻達にしてみれば唯一自分が1番に成れるチャンスとばかりに何時もより長く甘い朝の儀式が繰り返されていたのだ。
だが今朝でそれも終わり、今晩からは元の4人一緒に戻るのだ。
しかし、朝のユークの着替えはミーシャの役目だった。
ユークが着替えてる間にリオ、レミー、カーラの3人は、朝食の準備だ。
着替えが終わるとミーシャと腕を組みながらキッチンに降りていく。
朝食を食べながら今日の予定を話す。
「今日からミーシャ達の実家に挨拶をしに行くから全員用意しておいてね。」
4人は頷き朝食を済ませた。
カーラがおもむろに聞いて来た。
「旦那様の実家にはいつ行かれるのです?」
ユークは自分の家の事をすっかり忘れていた。
「別に最後で良いと思うよ」
「こ主人様の実家が1番最初です!お母様に1番に報告するのが当たり前ではありませんか!」
ミーシャの発言に4人の妻達は一同に頷いた。
「私は旦那様のご両親に初めてお会いするので緊張します。」
「お母・・・アルバ様もセイ様もとてもお優しい方ですから緊張しなくて大丈夫ですよ。」
カーラの言葉にミーシャが返した。
改めて訪問する順番を決めた。
ユーク・ミーシャ・リオ・レミー・カーラの順番だ。(予想通りだ。)
アベル達に理由を話し留守を頼んだ。
クララも行きたがったが、エルダに引き止められ諦めたみたいだ。
ワープでブラハ村に移動した。
日も登り出して少し経っているので村の人達はそこいらに見受けられる。
突然現れたユークと美女の一行に驚いていたが、ユークだと解ると気軽に話しかけてくるのだ。
「ユーク元気にしてたか?ところでその美人達は誰だ?」
村人に笑顔で頷き結婚をしたことを報告し妻達だと紹介する。
実家の近くまで行くと周りの騒がしさでセイが出て来ていた。
「ただいま父さん!」
「ユークか、今日はどうしたんだ?」
セイは、ユークを見た後ミーシャ達にも『元気にしてたか』と、声を掛けた。
セイの視線がカーラで止まる。
「ん?ユークこの娘は?」
「ああ、後でちゃんと話すから中に入れてよ」
周りが騒がしくゆっくり話も出来ないからと家に入れて貰った。
中では、アルバがのんびりとしていた。
「母さん、ただいま!」
「ユーク、どうしたんだい依頼で来たのかい?」
「いや、父さんと母さんに話があって来たんだ」
アルバは兎に角座れと椅子を薦めた。
「で、話って何だい?」
「うん、僕結婚したんだ」
セイとアルバは一瞬理解出来無いと言う感じだったが直ぐに気を持ち直して『そうか』と、解ってくれた。
「この前はまだまだ先と言ってたから驚いたよ。 でもおめでとう!」
「うん、思う所もあって決めたんだ。」
ユークの言葉に納得して、妻達に視線を向けた。
「ミーシャちゃんにリオちゃん、レミーちゃんに・・・か、カーラ王女!?」
母さんは流石にカーラの事も知っていた。
「うん、元だけどカーラで間違いないよ」
「お父様、お母様、初めてお目にかかります。カーラです。この度ユークさんの妻に成らせて頂きました。これからは宜しくご指導お願いします」
「は、はい、こ、こちらこそ・・・」
セイもアルバもカーラに戸惑っていた。
「色々あってカーラとも結婚する事にしたんだ」
「そうなのかい、ミーシャちゃん達も勿論なのよね?」
「「「はい」」」
カーラの存在には戸惑ったみたいだが、ミーシャ達とも結婚したと聞いて安心したみたいだ。
アルバは、すくっと立ち上がりミーシャ達4人に頭を下げた。
「いきなり4人と結婚する様な息子ですけど、宜しくお願いします。ユークの事頼みますね」
アルバの言葉にミーシャ達も頭を下げて『こちらこそ宜しくお願いします。お母様』と返事を返していた。
その後もユークの自慢話や悪口、癖等で、嫁と姑は大いに盛り上がっていた。
ゆっくりして行けと言うセイの言葉もあったのだが、この後みんなの家を回るからと断った。
「お父様、お母様、またセルトの方にも遊びに来て下さい、」
ミーシャが代表して告げて別れた。
ワープでミーシャの実家が有るマホガリア聖王国、神秘の森の集落に移動した。
ボリスの家に行き挨拶をする。
「ユークくん、今日も依頼ですか?」
優秀な冒険者として有名なユークだから突然訪問すると依頼だと思われるのだろう。
「いえ、今日はボリスさんとジーナさんに個人的なお話があって伺いました。」
ユークの声にジーナも姿を見せダイニングに通された。
「個人的な話と言うと?」
「はい、ミーシャさんと結婚させて頂きました。事後報告ですがこれからも宜しくお願いします」
ユークは一気に話し頭を下げた。
「ユークさん、約束をも守ってくれたのね。 ミーシャもおめでとう。」
「お母さん有難う、ご主人様と結婚出来て本当に幸せなの」
「ユークさん娘を宜しくお願いします。幸せにしてやって下さい。」
「はい、ボリスさんとジーナさんに負けない位幸せにしてみせます」
「ご主人様」
「ユークくん、ミーシャを頼んだ」
ボリスは一言だけ告げて奥に行ってしまった。
ミーシャはボリスを追いかけた。
「お父さん」
「ミーシャが幸せならそれでいい。 ユークくんなら父さんも安心だ幸せにな」
ミーシャはボリスに頭を下げた。
「お父さん今まで育ててくれて有難うございました。私はご主・・・ユーク様の妻になりました。お父さんとお母さんに負けない位幸せに成ります。今まで本当に有難うございました。」
ボリスとミーシャの目には大粒の涙が流れたがボリスは上を向き『たまには帰って来いよ』と言っただけだった。
奥の部屋からミーシャが戻ってきた。
ミーシャは目を赤くしていたが誰も何も言わなかった。
ジーナにもう一度挨拶をしてミーシャの実家を後にした。
次はリオの実家だがまだ行った事は無い。
リオの自家はコンラット領のアーテ村だ。コンラットの辺境にある村だ。
コンラット王都からなら馬車で1日で着くらしいので王都迄ワープした。
到着したユーク達は商人ギルドに向かい馬車の手配をするつもりだった。
しかし商人ギルドに行き馬車を頼んだのだが馬車が無いと言われたのだ。
ユークの知名度が上がってから断られたのは初めての事だった。
ユークは余り気にしてなかったが、ミーシャは怒っていたのだ。
ミーシャを何とか落ち着かせて、ユークは王宮に頼みに行く事にした。
コンラットの王家とは直接のやり取りは無いのだが、セルト王経由で何度か依頼も受けていたので1日位なら馬車を出して貰えるだろうと思ったからだ。
しかし話は簡単には行かなかった。
城門で名前を告げて要件を伝えた。
待たされること1時間、ようやく門兵が戻ってきて今は忙しいから後日来る様にと言われたのだ。
これには我慢していたミーシャが反論した。
「貴方達兵卒では話に成りません。 もっと上の人を連れて来なさい。」
騒ぎを聞きつけたのか皇子のアレックスが出て来た。
「誰だ、入り口で騒いでるのは」
門兵は敬礼して説明したのだった。
「そうか、お前がユークとか言う冒険者か」
ユークの事を元から認めてないアレックスはユークに媚びるつもりは全く無かった。
「俺はこの国の皇子アレックスだ、馬車を出して欲しいと言う事だが、一冒険者が王宮に頼みに来る等王家を舐めてるのか」
この言葉にミーシャの怒りは完全に爆発した。
「ご主人様に言い寄って来るのはコンラットの方では有りませんか!ご主人様はコンラット王家の依頼も何度か受けてます。馬車を1日貸す位したって文句は無いはずですが」
「何だお前、ご主人様って、あ~あそうか、お前がユークとやらが溺愛してるって言う奴隷か、顔だけの女に溺愛するユークとやらもたかが知れてるな」
ミーシャを侮辱されてユークも反論しようとしたがミーシャに遮られた。
「ご主人様に何度も助けて頂いてるのにその恩すら解らないなんてこの国の王家は無能の集まりですか。皇子がコレだとこの国も終わりですね」
ミーシャはアレックスを馬鹿にしてからもう一言付け加えた。
「こんな国を助ける意味も無くなりました。ご主人様歩いて行きましょう。無能な人間の国なんて長居は無用です」
ミーシャはユークを引っ張り来た道を足早に戻っていった。
無能呼ばわりされたアレックスは門兵に八つ当たりして殴り飛ばし城に戻っていった。
「あの奴隷、絶対許さん」
馬車も無いので、歩きでアーテ村に向かうことにした。
「歩いても2日だから良いけどミーシャは少し言いすぎだよ」
「すいません、あのバ、あの皇子がご主人様への恩も忘れて馬鹿にしたものですからつい」
「ミーシャは間違って無いわよ!調子良く贈り物までして取り込もうとして来た癖に全くユーク様がなびか無いからってあの態度は無いわよ」
レミーがミーシャを擁護する。
リオやカーラも同じ考えらしい。
「ミーシャが間違った事を言ったとは思って無いけどね。だけど相手は王族だから言葉はもう少し選んだ方が良いと思うよ」
「はい、以後気をつけます」
「別に怒ってないから気にしなくていいよ」
しかしこの話はこれで終わりでは無かった。
ユーク達が王都を出てアーテ村に向かっていた頃、王宮では・・・
アラン王と宰相のシーザーが執務室で頭を抱えていた。
「どうにかならんのか」
「難しいですね、ユーク殿本人の事ならまだ許しもするでしょうが、ユーク殿の奴隷を馬鹿にしたと成ると困りましたね。」
「馬車が望みだったのなら、追いかけて謝罪して馬車を差し上げるのはどうじゃ」
「何処に向かったか解りません」
「ん~~あのバカ息子がぁ~~」
王と宰相が頭を抱えている時、当のバカ皇子は恥をかかされたミーシャに報復を考えていた。
王に呼ばれて執務室に向かったアレックスは王と宰相にこっ酷く注意された。
「どう言うつもりなのだアレックスよ」
「そうです。アレックス様、我が国がユーク殿を取り込もうといったい幾ら使ってるかお解りですか」
「親父もシーザーもあの冒険者を買いかぶりすぎだろ!俺に馬鹿にされても奴隷の影に隠れて出て来れない奴だぜ。」
「しかしアレックス様ユーク殿の実力は本物です」
「そこが納得出来ね~のよ、確かにガストンは凄い奴だったけど40超えてたんだろ。おおかた引退の理由でも探してたんじゃねーの。地竜だってユークとか言う奴を売り出す為にセルトが胡蝶してるだけだと俺は思うけどね」
言われて見るとその通りだが、ガストンとの手合わせで見えない動きをした事を王達は見ていた。
「伊達でもAランクの冒険者の動きを冒険者でも無い親父やシーザーが見えなくても当然だろ。」
「アレックスはユーク殿は偽物だと申すのだな?」
「何が偽物かは知らね~が、たいした実力はね~と思うぜ}
「しかしはっきりと確定してませんから現状は余り刺激しない方が良いと思うのですが」
「おいおい、シーザー、俺がこの目で見て言ってるんだぜ、あんな奴にビビってどうするよ」
「アレックス、お前なら確かめられると申すのか?」
「ああ、親父が許可さえくれれば、直ぐにでも化けの皮を剥いでやるよ」
「解った。この件については後ほど連絡する。下がって良いぞ」
「俺の意見が正しいと直ぐに解るさ、せいぜい相談でもして決めればいいさ」
アレックスは言い残し自室に戻った。
アレックスは侍女のビアンカを呼び付け、嫌がるビアンカを弄ぶのだった。




