お屋敷
翌日、少し遅めの朝食を済ませ、レミーの避妊術を施して貰う為に医者を呼んでいた。
魔法による避妊術など初めて知ったのだが、呆れる程簡単に終わった。
お腹に手を翳し、呪文を唱えるだけと言ういたってシンプルなものだったのだ。
聞いた所、女性の卵巣機能を冬眠状態にするだけで、受精しなくなると言う事だった。
解除も同様に簡単なので、何時でも来て下さいと言われた。
こんな簡単なのに70万Gも支払い、半分詐欺かとも思ったが、値段が安いと勝手に解除しに行く人も多いからだと説明された。
納得するしかないので、挨拶をして送り出しレミーを労ろうと休む様に言ったのだが。
早速可愛がってくれとせがまれ、協議の結果風呂で1回だけ可愛がることになり、レミ-と2人だけで風呂に入った。
レミーも初めてだったので、無理しない様に優しくゆっくり、時間をかけて愛し合った。
行為も終え、今日の予定を済ます為に用意を整え、外にでた。
今日の予定は、レミーのクローゼットの注文と、レミーの念話所得とランク上げだ。
レミーはFランクなので、2ランク位なら簡単だろうと、Dランクの所得を目指す予定だ。
先ずは注文と、ドルトスの店に向かった。
「いらっしゃいませ、ユーク様」
「こんにちわ、ドルトスさん」
「本日は、どの様なご用向きですか?」
「じつは、彼女が新しく僕の奴隷と成ったので、クローゼットの注文と、彼女が家政奴隷なので顔繋ぎにきました」
冒険者のユークは外出が多いので、レミーに来客や商品の受け取りなどを任せるので、顔を覚えさせたいと考えていたのであった。
「レミー」
レミーを呼び、隣にたたせる。
「彼女がレミーです。 以後よろしくおねがいします」
レミーも頭を下げ、ドルトスと挨拶を交わした。
「ユーク様の奴隷の方は、お綺麗な方ばかりで羨ましいですな」
素直にお世辞を受け取り、本題のクローゼットの話に戻る。
「クローゼットですが、前と同じでは無くて、3台分位の大型のが欲しいのですが」
「そうですか、ユーク様は衣装持ちでらっしゃるのですね」
「衣装持ち?」
意味が解らず聞き返す。 決して言葉の意味が解らない訳では無い。
服なんて、此処に居る全員の分を合わせても、20着も持ってないからだ。
「そんなに持ってませんよ」
「それなら、クローゼットは必要ないのでは?」
「どう言う意味ですか?」
「ユーク様のお屋敷は、私が斡旋させていただいた物で御座います」
その通りだ、ドルトスとの付き合いもその時からなのだから。
「あのお屋敷には、家具のクローゼットは確かに置いてませんでしたが、3階に洋服の部屋が有ったと思うのですが」
「3階なんて、有りませんって言うか、階段も無いですよ?」
「権利書に、間取り図も載ってたと思うのですが」
ユークは、権利書の名前の所だけ確認して、後は全く見ていなかったので、把握できてなかったのだ。
「階段が見つからないのは、廊下の突き当りに隠し扉で、隠されているからですよ」
流石に斡旋しただけはある。 ユークよりも詳しいのであった。
「壁の近くに押し込みのスイッチに成ってる部分が有ると思います」
開閉の方法まで、教えてもらった。
その他にも、地下室も有ると言われ急遽予定をずらし、先に屋敷の探検をする事にした。
まずは3階からと、壁のスイッチを探す。
突き当りの右側の壁に、小さく四角い切れ込みが有った。
「これかな?」
ゆっくり押してみた。
突き当りの壁が横にスライドして階段が現れた。
みんなで、歓声を上げ薄暗い階段を上っていく。
3階は、1,2階よりも天井が低く、屋根裏部屋という印象だった。
ドルトスに聞くまで、存在すら知らなかったのだが、外から屋敷を眺めると、確かに3階にも窓が有ったのだ。
如何に屋敷に興味が無いとは言え、お気楽な天然の母譲りの無頓着さだった。
3階は高さは無いのだが、廊下が有り、左右に部屋が7部屋も有ったのだ。
階段を上がり、右側に3つ、左に4つだ。
廊下に出た所に鍵束が掛けてあった。
最初にこの鍵束も一緒に渡されていたらとも思ったのだが、後の祭りである。
鍵束を持ち各部屋を見て回る、左の4部屋は全てがウォークインクローゼットに成っていて、各部屋が2階の客間と同じ位の大きさが有った。
越してきてまだ日が浅いので、うっすらと埃がある程度で、使う部屋から掃除しておくようにミーシャ達に頼んでおいた。
右の3部屋は奥の1部屋が一番広く、書斎に成ったいた。
執務用の机に、ソファーのセット、入ってないが本棚も備わっていた。
残りの2部屋は、普通の部屋で、ミーシャ曰く使用人の寝室では無いかと言っていた。
小さなタンスと、シングルの質素なベッドが各部屋に2台づつ備わっていた。
こちらの部屋も、直ぐには使わないので、暇な時に手入れをしておく様に指示して、下に戻った。
今度は地下室の探索だ。
キッチン横の倉庫部屋から行けると聞いていたので、早速調べてみた。
倉庫部屋に備え付けて有った大きな収納を横にずらすと、階段が現れる仕組みに成っていた。
ライトの魔法で灯りを確保して、ゆっくりと降りていく。
地下だけに、少し気温も低く湿気も有るようだ。
階段を下りると、扉があった。
鍵は掛かって無かったので、入っていった。
中は、地下牢が2つと物置部屋があり、物置部屋の外に机が1つ置いてあった。
これは牢の監視者が使ってた机だろうと思われた。
なぜなら地下牢に向かって、椅子があったからだ。
机の上に牢の鍵も置いてあったので、牢を開けて中も調べた。
壁に金属の鎖が垂れ下がり多分手を拘束出来る様になっているのだと思う。
同じ様に足元にも拘束具が有り、壁に繋がっていた。
触って調べたが使われた形跡は見つからなかったし、牢も拘束具もまだ使える事が解った。
使う事も無いだろうと放置する事にした。
物置小屋は、湿度も少なくなっていて、食料庫に良いのではと全員の意見が一致した。
家事の責任者はレミーになるので、好きな様に片付けておく様に指示して探検は終了した。
「こんなに部屋って、有ったんだね」
居間で、お茶を飲みながらユークが呟く。
確認の不備を誰も責める事も無く、同意してくれた。
掃除や片付けは後回しにして、本日の予定通りにランク上げに行こうと用意させる。
4番ダンジョン最下層で、オーガの討伐だ。
直ぐに見つけた1匹をサンダー2発で瞬殺した。
これだけで、Fランクのレミーは赤に成った。
直ぐに屋敷に戻り、全員で冒険者ギルドに行きレミーの覚醒をすませた。
可愛そうだが、レミーは青に成っていたのだ。
どんなに頑張ってもDランクにしか成れなかったのである。
大怪我までして、Cランクの白を目指したのに無駄足だったとはっきりしてしまったのであった。
落ち込むレミーにミーシャ達が、あの怪我が有ったから、今ご主人様の奴隷に成れてるのよと、若干意味の解らない励ましを送っていた。
気を取り直して、近くの小道から、ワープで、先程の場所に戻る。
同じ様に、オーガを瞬殺していき、レミーの腕輪が赤になるのを確認しながら倒していく。
レミーの腕輪が赤に成った時に、ミーシャも赤に成っていた。
流石に同じ日に、2回も覚醒するのは目立つだろうとパーンの冒険者ギルドの倉庫にワープした。
レミーとミーシャの覚醒を終わらせ確認した。
ミーシャ 16歳
ランク C (白)
獣族
パーティー
ユーク 人族
リオ エルフ族
レミー 人族
主人
ユーク 人族
体力 330
魔力 170
所持魔法
生活魔法 2
魔法
ウォーター
ウォーターストーム
特殊スキル
剣技・探索・念話・ダンジョンウォーク
レミー 20歳
ランク D (黒)
人族
パーティー
ユーク 人族
ミーシャ 獣族
リオ エルフ族
主人
ユーク 人族
体力 250
魔力 100
所持魔法
生活魔法 2
魔法
なし
特殊スキル
念話
と成っていた。
ミーシャはAランクの確定が出たが、レミーは成長が止まった。
レミーに商人に変更させるからと告げて、そのまま商人ギルドに向かい、レミーのギルドの変更を済ませた
レミー 20歳
D (黒)
ランク F (白)
人族
パーティー
ユーク 人族
ミーシャ 獣族
リオ エルフ族
主人
ユーク 人族
となった。
ランクの所は、どちらにも登録をするとこう言う具合に表示されるらしい。
上が冒険者で下が商人、ランクの文字がある方が現在の所属ギルドらしい。
ユークも確認してみたが確かに下にFと出ていた。
全ての手続きが終わり、レミーとの念話のテストも終わらせ商人ギルドの転移用の部屋から屋敷に戻った。
夕食の買い出しをリオとレミーに任せ、ミーシャと3階の掃除をする。
ミーシャには、ゆっくりしててくれと言われたが、手持ち無沙汰なので、強引に手伝ったのだ。
衣装部屋から掃除して、終わった所でミーシャが下から服を移動させていった。
2部屋目の掃除が終わった頃に、ミーシャも移動させ終わったのか合流してきた。
3部屋目の掃除も適当にミーシャが甘えて来るので、2人っきりだしと、抱き合いキスを交わしていたのは、リオ達には秘密だ。
部屋が増えて、(本当は変わってないのだが)掃除や管理が大変では無いかと皆と相談した。
この屋敷は、元が貴族の屋敷なので、かなり大きい。
門にも、本来なら警備常駐する詰所も完備されている。
庭にも、小さいながら馬房に小間使いの住む家も有った。
全く手入れもしてないので、荒れ放題かと言えばそうでもなく、管理人だったドルトスがしっかり手入れもしていたので、綺麗なものだった。
屋敷は、今の人数でも何とかなるのだが、全体を見ると庭師や警備員、小間使いと最低でも後4,5人は必要だろうと言う意見になったのだが、パーティー以外の奴隷は、増やして欲しくないと皆に嘆願されたのだった。
小間使いに女性を雇っても良いが手出しも禁止と言われた(主人なのに・・・)
庭師に雇える奴隷となると難しくなる、男の奴隷だと、ミーシャ達に被害が出ることも無いとは言い切れない。
実際には無いらしいのだが、ユークは心配になるのも仕方がない。
だからと言って、女性にすると、手を出すのも否定できない。
幾ら禁止されたと言っても、主人が手を出すなら、ミーシャ達は何も文句は言えない。
滅多に居ないが、夫婦で奴隷に成ってるのも居るらしいが、結局主人が手を出そうとすると拒めないので、解決策には成らなかった。
貴族区の仕来りがここでも頭を悩ませるのであった。
いい解決策も浮かばないので、後日詳しい人を訪ねようとユージンを尋ねることにしたのだった。




