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神様の棄児  作者: ryo-KK
2章 仲間
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大怪我

朝食を食べながらその日の予定を話すのも、毎日の決まり事にになりつつある今日この頃


「今日は何か、良い依頼が有ったら行ってみようか?」


「「はい」」


朝食を食べ終えてギルドに向かう。


覚醒の日からも10日程経ったのだが、未だに注目を集めるのでギルドにも2回程しか行ってなかった。


ギルドに着いたが、今日もレミーの姿は見えなかった。


(シフトが夜なのかな?)


2回の依頼でかなりの報酬も経ていたので、来る必要も無かったのだが、レミーの事も気がかりだったのでギルドに来たのだが、あの騒動以来レミーの姿は確認していなかった。



「今日も居ませんね」



ミーシャが主人が気になってるのを知ってるので、先回りして聞いてきた」


「そうだね~」


聞いてみたほうが良いかと思い、カウンターで聞いて見る事にした。


「すいません、少しお聞きしたいのですが」


「はい、なんでしょう」


「レミーさんって、お休みなんでしょうか?」


「あれ? 貴方彼氏さんじゃなかったの?」


「彼氏では無いですけど・・・」


「違ったの!それじゃあ知らなくても仕方ないのかな~」


意味深な言葉に3人で顔を見合わせ、先を促す。


「レミーちゃん、辞めちゃったのよ」


「「「えっ!」」」


「ほんとうですか? それって、いつの事ですか」



「辞めたのは、この前、貴方達がここで騒いでた日よ。」



約2週間位前の話になる。



「レミーさんは、今何処に?」


「寮も出ちゃったから、住所までは知らないけど、たまに此処にも来てたけど、ここ2,3日は見てないわね」


「レミーさん冒険者に成ってるんですか?」


「依頼を受けてたから、そうだと思うわよ」


ユークが知る限りレミーは、大の運痴である。


ギルドの職員なので、冒険者の登録は義務なので、登録だけはしていたが全くの初心者のはずだ。


ユークみたいに、最初からある程度の装備を整えられたらましなのだが、レミーがそこまでの装備を揃えられたかが疑問であった。


なぜならレミーは、ギルドの安月給で何時も休みだけどお金がないと、言っていたからであった。


お姉さんに礼を言いギルドを出た。


「気になりますねご主人様」



ミーシャの問いかけに答えるユークだが、リオも同じ感想の様だった。


「何度かギルドに来てたって事だから、近くの宿屋を探してみよう」


「「はい」」


虫の知らせ的な何かにとらわれ、急がないといけない感じがして、手当たり次第に探すことにした。


レミーが宿泊している宿屋は、予想を反して2軒目で見つかった。


「すいませ~ん ここにレミーさんが泊ってませんか?」


「ギルドに居たレミーちゃんならここに居るよ」


レミーの泊まっていた居た宿屋は冒険者ギルドから徒歩3分の格安の宿屋だった。


「今、レミーさんって部屋にいますか?」


「あんた達知らないのかい!」


「何がですか?」


「レミーちゃん大怪我で、今動けないんだよ」


「「「えぇぇっぇぇぇ~~!」」」


「面会って出来ませんか?」


「本人に聞いてくるから、ちょと待ててくれるかい? ところであんた名前は?」


「僕はユークといいます。」


「ユークさんだね、聞いてくるよ」


そう言い残し宿屋の女将は2階に上がっていった。


しばらく待って、女将が降りてきた。


「ごめんよ。会いたくないから帰ってって、言ってんだよ」


まさか断れるとは思っていなかったユークは、女将に怪我の状態を確認してみた。


「レミーさんの怪我って、どんな状態なんでしょう?」


女将さんの話しでは、かなりの大怪我で、死んでいてもおかしく無かっただろうと言う事だった。


詳しい内容は解らないらしいのだが、同じ宿の冒険者が、たまたま依頼の帰りに見つけて救けてくれたらしいのだ。


現在手持ちの薬草は飲んだらしいのだが、数も買えなくて効果は低かったらしく、今も全身包帯だらけだそうだ。


「僕なら治癒魔法使えますから、治せると思うのですが、部屋に案内して貰えませんか?」


「本人は会いたくないって言ってんだけどね。治癒魔法使えるなら直接話してみるかい」


女将さんの好意で、レミーの部屋の前に案内される。


扉をノックして、レミーに声を掛けた。



「レミーさん、僕だよ、ユーク」


「ごめんなさい。こんな姿見せたく無いから帰って」


力のない返事が帰ってくる。


「女将さん、僕は、レミーさんのフィアンセなんで、入らせて貰いますね」


女将さんが朝食を運んだようで、扉が少し空いてたので、断ってから返事も待たずに押し入った。



ベッドに横たわる彼女は、痛々しく全身包帯だらけで、至る所に血が滲んでいた。


「レミーさん、ごめん入ったよ」


「見ないで!帰って!」


力ない怒声が響くが、怪我の治療が最優先と、無視してベットの横に跪いた。


「無視してごめんね、嫌われても良いから、僕が治療するよ」


レミーは嗚咽を漏らしていたが構わずに治療を始めた。


レミーの怪我は、ヒール位では埓のいかない程ひどい怪我だった。


リオにもそれが解ったみたいで、足元からハイヒールで、治療していた。


ユークもハイヒールで、頭部から順番に傷を塞いで行く。


10分程かけ続けた所で、リオの魔力は枯渇した。


「リオも有難う、僕がやるから休んでて」


「すいませんご主人様、お力になれなくて」


「助かったよ、ありがと」


リオに声をかけ、休ませながらも治療を続けていく。


全体敵に傷は消えたと思うので、ミーシャに包帯を外して、寝巻きか服を着せるように指示して、一旦外にでた。


ミーシャの合図で部屋に戻り、今度は折れた骨等を直していった。


1時間位ハイヒールをかけ続け70%位の魔力を使った所で、何とか治療は終了した。


普通の冒険者なら、SSランクの魔力量でも足りない程の怪我だったと思う。


「レミーさんどう?まだ痛いところある?」


怪我は治ったのだが、かなりの出血だったみたいで、体が動かしづらい様だが何とか無事なようだ。


「明日も来るから、今日はしっかり食べて、ゆくり休んでね」


女将さんに感謝されるも『当たり前の事をしただけ』とレミーの食事を頼んで、屋敷に戻った。



屋敷ではレミーに何が有ったのか色々話したが、明日本人に聞けばわかると早めに休むことにした。



翌朝はかなり早く目が覚めたのだが、気がはやってるので、朝食も取らずにレミーの所にむかった。


受付の女将から、しっかり食事も取ってたからもう大丈夫だろうと、太鼓判を貰いレミーの部屋に向かった。


ノックの音で起きたのか、起きていたのかは解らないが、レミーはすでに起きていた。


「おはようレミーさん、具合はどんな感じ?」


「「おはよう御座います」」


「ユーくん、ミーシャさん、リオさん 昨日は本当に有難う、帰っれって言って御免なさい」


泣きながら謝るレミーを励ましつつ、ゆっくり寝かせた。


「もう少し休んでたほうが良いですよ」


ミーシャの言葉に、更に泪を流しながら従った。


「何があったか聞いていい?」


少し落ち着いたところで、ユークが聞いた。


レミーの話だと、ギルドの騒動の後、自分は戦いに向いてないのが解っていたので、奴隷に成るしか無いと思ったそうだ。


奴隷商人に貴族区へ行きたいから奴隷に成りたいと言ったのだが、ユークが来る前に違う買主が見つかれば行かなければ成らない。

仮にユークと一緒に来て、売買が成立したとしても、教育が有り直ぐには渡されないとも言われた。

それだけでは無く、商品なので検査もされると言われ、ユーク以外に見られるのも触られるのも嫌だったので、奴隷の道は諦めるしかなかった。


その後、商人なら、住めるのでは?と商人ギルドで聞いてみたのだが、最低でもCランクの白が必要と言われたのだ。

冒険者と違い、商人のランクは、売り買いの金額の10%が経験値として溜まっていくので、莫大な時間とお金が掛かってくる。


持ち合わせも少ないし、ギルドの変更手数料もとても払えなかったので、冒険者に成るしか無かったのだ。


退職金の制度もないので、いきなり辞めたレミーは、殆ど持ち合わせもなく、宿代と、銅の片手剣を買うのが精一杯だった。


Fランクなので、依頼も雑務系ばかりで、経験値も0に近く、魔物を探して狩るしかなかった。

最初の内は、一角兎を討伐出来ていたので、頑張って倒していったのだが、このままだとCランクまで、3年以上掛かるだろうと思い、比較的弱くて纏まって出てくる、ワイルドウルフに的を絞り倒しに出かけたのだ。

しかし考えが甘く、一角兎でも1匹づつしか倒していなかったのに、さらに強いワイルドウルフで、群れと来れば勝てるはずもなかった。


囲まれ嬲り殺しにされかけてた所を、たまたま依頼が終わって帰宅途中だった、この宿屋の冒険者に助けて貰ったのだが、怪我の酷さから、助からないだろうと、女将さんに丸投げされたのだ。


女将さんも諦め半分で、レミーのリュックの中に有った、薬草を有りっ丈飲ませたのだそうだ。


多少の効果は有ったのだがユークの声に、死に行く姿を見られたくなくて、力を振り絞り答えたのが、昨日のやりとりだったのだそうだ。


多分あと1日遅くユークが到着していれば、レミーは間違いなくこの世に居なかっただろうと思われた。


ヒールでは切り傷程度なら治せるが、噛みちぎられた肉や折られた骨は、ハイヒールでしか治らない。

薬でも同等の効果のある物も存在するが、高価で手が出ない品物だった。


レミーの言葉に誘ってくれればと思うも『奴隷以外とはパーティーを組まない』と宣言してるので、言い出せなかった。


(追い込んだのは僕なんだ・・)


そう思ってしまいレミーに謝ることしか出来なかった。


体力の回復が第一なので、そのまま安静にして、2,3日ゆっくり休むように言い部屋を出た。


女将さんに部屋代と食事代と言って、ユークが5日分支払った。


屋敷に戻り、色々解決策を相談したが良案は浮かばなかった。











































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