第十五章-1 苦難乗り越え分かったことは……
「よう。腫れはひいたか? それとも限界に達してもげたか?」
「いつの話してんだって――つうか見るなよ!」
「いいじゃねか。どうせ、減るもんじゃねえし」
俺は一人いる哲也を発見し、男だけの秘め事をしあっていた。
まぁ――立ちションなんだけどな。
「レジスタンスの人達はどうやって排泄してんだろうな?」
「入って五日の俺が知るかよ。恵太は見てねえのか」
「さん付け。――知りたいから見せてくれって言うのは流石におかしいだろ」
「減るもんじゃないってさっき言ったのお前だろ。見せてもらいなよ、怪力女がしてるとこ」
「何で咲倉さん何だよ! てか、その呼び方止めとけって前も言ったよな? ガチでもぎ取られるぞ?」
「こんな所誰も来ないからいいだろ。あぁ、もしかして。彼女のを見る前に他の女のを見ちゃうと気まずいとか?」
「止めろその言い方‼」
レジスタンス、と言うよりかは町の中に入れて貰えない人たちは衛生上例のスーツを着ているのかと言われるとそうでもない。と言うのもあれは貴重な物であり、そう易々と手に入る物では無いと言う。
故にこうやって連れションする仲と言えば最近仲間入りした元孤児たちのみとなる。
けど、自分たちがあれを着るかどうかに関しては問題がある。悠さんも言っていたが、性的なあれが――ね。
ちなみに孤児たちの清潔、お風呂事情についてだが、彼らは綺麗そうな川や湖を発見して普通に沐浴していた。なお大丈夫か大丈夫じゃないかの判断はリーダー、哲也の勘であり、そのせいで身体中に謎の発疹が出来たこともあったと言う。
その習慣はレジスタンス入りしてからも変わらなかったが、問題が起きなくなったのは一重に同行者が一人増えたからと言える。便利だよな、滋養強壮補助魔法。
「もしくは彼女にエロスーツ着てほしいの? 恵太変わった性癖持ってるからな」
「ステラさんは元々あの服装がベーシックな場所出身なんだよ! そういう哲也はエロスーツに執着してるけど、真美ちゃんのは毎日見ても飽きないほど魅力的なのか?」
「な、何言ってるんだ!」
ステラさんと勘違いとは言えラブホに入って秘密の戯れ言(このことは哲也も知らない)があったことを哲也に茶化される。その替わりと言わんばかりに哲也が最近気になっているレジスタンスの子の名前をあげる。
「これどう扱っていいからわかんねぇよ! とか言いながら手作りの花のブーケ渡す人間がどこにいんだよ?」
「あれは市江が作って俺に……」
「そうだったよな。作り方聞いて「どうしてそんなこと聞くの?」って聞かれて返答に困ってたよな?」
「お前どこから見てたんだストーカー!」
「リーダーから俺の任務の一つに哲也の監視が追加されてんだよ。お前が起こしたんだからお前が責任を持てって。面倒なことになっちまったな」
「それも怪力女のせいか!」
確かに面倒ごとは増えた。
けど、問題ごとが起きていないのは嬉しいことだ。先に伴う面倒より、後に伴う補修の方が時間もかかるし、最悪取り返しのつかない事態を巻き起こすこともある。勿論、俺も出来ることなら前者を選ぶ。
しかし、どうしてもやむを得ない時が存在するのもまた然りだ。
どれだけ僅かな面倒であろうと、重要な面倒であろうと、近くにそのことがちっぽけに見えるほどの脅威が迫ってきたら、後者を選ぶしかなくなることがある。
「ふぅ……」
思わずため息が出てしまった。近くには哲也がいたが、用が済んだことに一息ついたものだと解釈し、追及は一切行ってこなかった。
今回の行動は正しかったのか自分に問いただしても、これしか道は無かったとしか返答することが出来ない。
俺は気にしていた。
俺たちが帰る為に必要な物を失ったであろう地点から、どんどん離れていっていることに。




