第十三章-5 助ける力を持つ者は……
「大丈夫かな……まぁ大まかに言えば何とかなるかもしれないけど」
咲倉さんから明日の仕事内容を先に伝えられた俺は、その作戦の要になる部分に不安を感じていた。なんせその要となる部分担当が俺とステラさんだけなのだから。
肝心の作戦を実行するのはステラさんだが、その作戦の説明は俺からうまく伝えることとなった。長い付き合い(二週間近く)だから説明もしやすいだろうという考えらしい。が、彼女の世界に無かった物を説明するのは難しい。
「……最終手段はあるけど、彼女が乗ってくれるかな……」
その前に俺が上手くその構図を思い浮かべることが出来るか。
「問題は山積みだ。でも、それを全部終わらせないと、まずは安住を手に入れないと、次に進めない」
異世界の時もそうだった。まずは世界に慣れてから、元に戻る手段を探し始めた。そこに至るまで要した時間と比べたら、まだまだ序の口、異世界で言えば山賊の存在と対峙した位だ。それが終わったら戻る手段を、未来の技術を信じるか、例の懐中時計を探すかしよう。
そのためにはまずは、休もう。
そして、明日の作戦に挑もう。
俺は自室に近づき、その足を止めた。
感じる。この感覚は。
聞こえる。寧ろ、こっちの方が的確だ。
「私が討伐してきた魔物たちにも子供がいた。その子供たちの未来を奪った……。私が討伐してきた賊たちにも親がいた。その親たちの希望を奪った……。私は他の人に安寧を与えるために、制裁という名の残虐を繰り広げていたのですか? でも、でも、だからといって私は賊の仲間になればいいのですか? ケイタさんは、サクラさんは、子供たちを賊のような扱いをした。なのに私はそんな子供たちを助けようとした。私は悪に手を貸しているの? それとも、ケイタさんやサクラさんが実は悪? そんなはずはない。助けてくれた。私を助けてくれ。でも、それが私を騙す手順だったら? 騙そうとしてるのは子供? 皆? それとも、私?」
部屋を覗くと、そこには咲倉さんに会いに行くと外に出たときと同じ格好をしているステラさんの姿があった。
ずっと問答をしていたのか、或いは避難していたのか。彼女の背後に天使と悪魔の彼女が言い合っているのが見えた気がした。
「まっずいのかな……」
俺は顔をしかめた。
俺は彼女の悩みを悟れるほどの聖人君子ではないし、正しい道へと導ける聖者でもない。
ましてや、
「明日、盗みに行くんだよな……」
次の作戦が、今日まさに起きた悪を再現するものだったからだ。




