第十二章-3 守る為には……
ステラさんに使っていた丁寧な言葉はどこへ行ったのやら。男と女で扱いが違ううざ男のような対応には下心以外の完全な悪意を感じた。
そして誰でも分かることだが、こいつは危険だ。
ここにあるものをありったけ、つまりどの弾丸でも扱うことが出来るということだ。
弾丸にはそれぞれの銃の経口。弾が出てくる場所の直径で使えるものが決まっている。俺の背に突きつけている銃。恐らく小型で見えにくいハンドガンかマグナム。それしか持っていないのであれば、それだけ持っていけば十分なのだ。
「早く入れるんだ。町の人間ならこれくらいの店、丸々買える金はあるだろ?」
後ろから突きつけられている銃口の押し込みが強くなる。
焦っていない辺り、やろうと思えばこの男は本気で俺をやるつもりだ。
そうすればこの男はすぐにでもお尋ね者になる。それを恐れる傾向がないということは、既に追われている身ということか。
俺は言われたとおりに弾丸の入った箱を手に取る。
手に取ったのは悠さんが俺にくれたハンドガンの弾と同じ物。
そして、何気なく見たとある部分に手が止まる。
あの時は簡単に手渡されたからその重要性をよく理解していなかった。が、咲倉さんがこれを託してくれたのは、それだけの信頼に値するからだった。
「無理です」
「何?」
「今あるこのカードの残高を理解しています。これでは買えません」
弾丸の価格は、先程の宿と大差が無い物だった。
日本では、俺のいた日本では買うことさえできなかったのでこれが高いのかやすいのかは理解できない。
それでも言えるのは、今手に持っている箱を籠に入れた時点で、カードの残高はほぼ尽きる。
「嘘をつくな。お前ら町の人間がこのくらい買えないわけがないだろ?」
「残念だが俺は町の人間じゃない。レジスタンスに拾われた身だ。このカードもレジスタンスが極秘で手に入れたものだから残高も始めから多くなかった」
「ちっ。外のハイエナにやたら優しかったのは出が一緒だったからか」
男が始めて苛立ちを露わにした。これは予想外だったのだろう。全てが水の泡になったのだから一からやり直しだ。
ここで俺の価値を捨てることも出来るが、店内にはステラさんもいるし、アンドロイドの店員もいる。騒動を起こせば圧倒的力の勇者が立ちはだかるか、緊急事態により招集されたアンドロイドたちにリンチにされる未来しか無い。
「どういたしましたか? なにかお困りごとでもありましたか?」
追い風、男にとっては向かい風が更に吹き荒れる。
何か店内でトラブルがあったと気づいた店員型アンドロイドが俺たちの知らないうちに
かなり近くにまで寄っていた。これだけ至近距離なら少しでも変な動きがあれば、俺が緊急を要す事態だと気づいてくれるに違いない。
「はぁ。回りくどかったか」
男は諦観した。
「元々嫌いなやつに世辞はいらねえよな!」
いや、吹っ切れた。
ダーンッ!




