表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/253

第六章-2 求める為に必要な物は……

 魔物はウルフ複数と緑色の人型をした化け物(ゲームで良く出てくるゴブリンのような存在)が二匹。対して兵は二人。

 あれくらいなら二人で――と勝手に判断しかけた所で勝手な自己判断を否定する。この世界では向こうの常識は通用しない。ウルフは何度かセイスキャンに来る途中で退治した記憶はあるが、ゴブリンに関しては無知だ。とんでもない能力を持っているかもしれない。


「せめてウルフだけなら」


 俺は窓を開けて、護身用に常に持つように心がけていたボウガンを構える。

 ウルフはすばしっこく動き回っている。ここら辺のウルフは人を恐れないのか? 確か傭兵の恰好の練習相手とされているから、人間には畏怖を感じ、対抗できないと分かるまで襲ってこないはずなのに。

 俺の記憶に間違いはないはずだと再確認している間にもウルフは傭兵の一人を襲い、足を負傷させる。

 更に別の一匹は家の中に逃げ遅れた女性に襲いかかっている。幸いにして家の中から出てきた男性に引っ張られたことによってスカートが引き裂かれるだけで、九死に一生を得て家の中に避難された。

 が、このままでは兵の全滅は時間の問題であり、門が閉められない以上増援の危険はいつまでも続く。

 しかし、ウルフがどうして人を恐れない?

 兵は別段弱くない。負傷していない方は次々ウルフに傷を与え、倒していく。

 が、傷を負ったウルフは血を流しながらも攻め込む。飛び込むウルフの息の根を止める一撃を兵が放つ。と同時に兵の後方から別のウルフが飛び掛かってきた。

 間一髪の所で気付いた兵が振り向きざまに剣を盾代わりに構えるが、僅かに手を負傷させられた。もう一方の兵に関しては足を狙われた為自由に身動きが取れなくなっており防戦一方だ。

 ウルフが巧みに連携を取っている。

 俺が初めて異世界に来た時やセイスキャンへの道中でも群れで行動をしていたが、ここまで苦戦するようなことは無かった。それだけステラさんが強かったのだろう。

 いったい彼女はどこへ行ったのだろうか?

 彼女はセイスキャンを守るために自ら名乗り出たはずなのに。

 俊敏に動くウルフに的が絞れない。このままじゃ兵が疲弊してしまう。ウルフの数は減っているが、ゴブリンは未だに健在。と言うよりも無傷のままだ。奴らが襲いかかれば。


「ん? 何であいつら襲いかかってこないんだ?」


 素朴な疑問だった。

 ウルフたちが張り切っている中でゴブリンたちは何一つ動かない。よく見れば奴らの後ろには逃げ遅れた子供が茂みに隠れている。

 けど、そいつらには目もくれずに高みの見物をしているかのようにウルフたちと兵の戦いを見ては、声援を送っているかのような手振りを見せる。

 これは。

 俺の中で一つの可能性がよぎる。

 兵の一人が動きを見せる。自身の得物であり身を守る道具である剣を投げたのだ。

 捨てたわけではない。

 剣先には、ゴブリン。

 が、その剣が届く前にゴブリンの前に何かが現れる。ウルフだ。自身の身を呈し、ゴブリンを守ったのだ。


 俺は確信した。

 ボウガンを構え直し油断しきったゴブリンに狙いを定める。

 そして、ゴブリンの頭を打ち砕いた。


「ギギィッ⁉」


 もう一匹のゴブリンがそれに狼狽えた。

 と同時に、ウルフたちの動きも怪しくなる。あたふたする様子は光源を失った蛾のようだ。

 それを好機と見なしたのは、剣を投げた騎士。剣が刺さったままのウルフに颯爽と近づき、剣を取り上げる。と、同時にゴブリンへと接近する。危険を察したゴブリンが逃走を謀る。

 行き先は()()()()()()()だ。


「グギッ」


 既に装填済みで狙いをそこの一点に集中させていた俺に隙は無かった。バゼラの時以来先読み打ちがだいぶ上手くなった。

 どこから狙撃されたのか。それを把握することもままならず、ゴブリンは仰向けに倒れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ