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仮面のない空へ:常闇編  作者: R


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第29話

【常闇の王】


黒い城。


空を貫く巨大な塔。


アルカディア城。


その最上階。


巨大な玉座の間。


静寂が支配していた。


玉座には


一人の男が座っている。


常闇の王。


アルカディア。


黒い仮面。


その存在だけで


空気が重くなる。


その時、


闇が揺れる。


一人の女が姿を現した。


第四席。


魅惑の仮面 リリス。


彼女はゆっくり跪く。


「ただいま戻りました」


アルカディアは動かない。


ただ一言。


「見たか」


リリスが微笑む。


「ええ」


「とても面白い子でした」


アルカディアの仮面が


わずかに動く。


「時空の仮面」


リリスが頷く。


「カナタ」


「まだ未熟ですが」


「確かに可能性があります」


静かな沈黙。


アルカディアが言う。


「侵食はどうだ」


その言葉に


後ろの影が動く。


一人の男。


仮面。


黒い侵食。


第八席 シオン。


シオンは壁にもたれていた。


腕を組んでいる。


リリスが振り返る。


「ちゃんと見てたでしょう?」


シオンは少し笑う。


「まあな」


アルカディアが聞く。


「どう思う」


シオンが答える。


「弱い」


その言葉は


迷いがなかった。


リリスが言う。


「でも」


「あなたの仲間だったんでしょう?」


シオンの目が


わずかに動く。


「昔の話だ」


沈黙。


アルカディアが立ち上がる。


その動きだけで


空気が震える。


彼はゆっくり歩く。


巨大な窓の前。


外には


黒い世界。


アルカディアが言う。


「世界は」


「もうすぐ完成する」


リリスが聞く。


「残る障害は?」


アルカディアが答える。


「時空の仮面」


その声は


静かだった。


「放っておけば」


「いずれ覚醒する」


シオンが言う。


「なら」


「俺が殺す」


リリスが笑う。


「ずいぶん冷たいわね」


シオンは答えない。


アルカディアは少し考える。


そして言う。


「まだいい」


シオンが眉を動かす。


「なぜだ」


アルカディアが振り返る。


仮面の奥の目が光る。


「覚醒するか」


「見たい」


その言葉に


玉座の間の空気が


さらに重くなる。


リリスが小さく笑う。


「アルカディア様らしい」


アルカディアは言う。


「だが」


「もし覚醒したなら」


静かな声。


「その時は」


シオンを見る。


「お前が殺せ」


沈黙。


シオンは少しだけ笑った。


「いいだろ」


そして窓の外を見る。


遠く。


荒野の向こう。


小さな影。


カナタ。


シオンが呟く。


「次は」


「逃げない」


黒い城の中で


常闇の計画は


静かに進んでいた。

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