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短編練習  作者: 太川るい
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昔々

 昔々あるところに、見知らぬ二人がいました。この二人はお互いのことを良く知りませんでしたが、他の人もまたこの二人については何も知らないのでした。単に近いところにいるということが、この二人のただひとつの共通点でした。


 二人は顔を合わせようとしません。知らないのだから、それも当然でしょう。しかしたしかに、お互いの存在はなんとはなしに気にしているのでした。


 一方に、別なところからやってきた人が話しかけます。一方の話す口ぶりは、おだやかで、落ち着いていました。


 もう一方は聞いているわけではありません。ですが耳に入ってくるので、邪魔をしないように少し離れたところへと動きました。


 話を終えた一方は、もう一方がやや遠くに行ったことに気がつきました。


 気がついたところで何をするでもありません。一方はそのままでいました。


 二人の距離は離れました。この二人がまた顔を合わせるかは誰にも分かりません。


 ただいつか、二人がまた互いの存在を気にかける時が来るとすれば、その時にはなつかしい気持ちが頭をもたげてくるでしょう。


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